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9/27 朝日新聞「弥生人」とは何者か 急速に進む核ゲノム分析、見直し迫られる通説 [ゲノム解析で古代史]

9/27付けの朝日新聞の記事です。

「弥生人」とは何者か 急速に進む核ゲノム分析、見直し迫られる通説

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 「弥生人」とは何者か。縄文時代から日本列島に住む在来の人々と、海外から先進技術を持ち込んだ渡来人が徐々に混血しながら弥生文化を担う――。そんな人類学上の通説だった弥生人観が、近年急速に進む核ゲノムの分析で様変わりしようとしている。
(中略)
 ところが、2010年代に登場した核ゲノム分析でこれが揺らぎ始めた。ゲノムとはすべての遺伝情報のこと。細胞の核が持つ情報量は、それまで分析対象の主流だったミトコンドリアDNAよりもはるかに多い。不可能と思われてきた古人骨の核の遺伝子分析を最新機器が可能にした。


とありますが、縄文人が朝鮮半島に進出したとすれば、極めて単純明快で、余計なことを考える必要は何もありません。

「専門家」もそろそろ出口戦略を考え始めたんですかね?

なにしろ、朝鮮半島は8200年前から2万年前ぐらいまでほぼ無人だったのだから、それ以前に「渡来人」が日本列島に来ることはあり得ない。

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記事の内容に新味はありませんが、この話を大手マスコミが取り上げたことは、通説に疑問を抱かせるに十分で、非常に意義があると思います…[手(チョキ)]

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「縄文人と弥生人に分断はない」教科書で習った定説覆す日本人のルーツ [ゲノム解析で古代史]

自分のための備忘録です。

世界「民族」全史 ――衝突と融合の人類5000年史

世界「民族」全史 ――衝突と融合の人類5000年史

  • 作者: 宇山 卓栄
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2023/01/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

しばらく前のダイヤモンドオンラインに、宇山卓栄さんのこんな記事がありました。

「縄文人と弥生人に分断はない」教科書で習った定説覆す日本人のルーツ

二重構造説に懐疑的な立場から最新の研究成果を数多く上げている国立科学博物館の篠田謙一副館長によると、「二重構造説では、アイヌ民族と沖縄の人々の近縁性を指摘していますが、両者のハプログループ(共通の染色体を持つ集合のこと)は大きく異なっていることもわかっています」とのこと(2019年)。つまり、遺伝子サンプルの採取の仕方、近似基準の取り方によって、結果が大きく異なるということが示されています。
いずれにしても、一般に流布している「アイヌ民族・琉球人近似説」は極めて怪しいものであることは間違いなく、それを論拠にしている「二重構造説」もまた、信用するに値しない破綻した説といえるでしょう。

でも、篠田謙一さんは「二重構造説」は、少なくとも公式には否定してなかったはずですが…。

ひょっとして、プライベートでは否定してたんでしょうか?

それと、あくまで個人的な印象ですが、二重構造説は東大の埴原和郎さんの説なので、東大系研究者の支持が多いような気がします。

日本人の誕生―人類はるかなる旅 (歴史文化ライブラリー)

日本人の誕生―人類はるかなる旅 (歴史文化ライブラリー)

  • 作者: 埴原 和郎
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 1996/11/01
  • メディア: 単行本

ちなみに、篠田謙一さんは京大です。

もっとも、学閥はあまり関係なさそうな気もするのですが、正直なところわかりません。

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「正反対の者同士は惹かれ合う」は真実ではない? [論文]

恋愛関係に関して昔から言われる「正反対の者同士は惹かれ合う」という説は、実際には正しくないようだ。何万組ものカップルを対象に130種類以上の特性について相関を調べた結果、正反対の者同士が惹かれ合うという主張を裏付ける結果は得られなかったことが報告されたのだ。米コロラド大学ボルダー校のTanya Horwitz氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Human Behaviour」に8月31日掲載された。
https://job.mynavi.jp/conts/medical/news/0764/

元の論文
https://www.nature.com/articles/s41562-023-01672-z

コロラド大学のプレスリリース
https://www.colorado.edu/today/2023/08/31/news-flash-opposites-dont-actually-attract

同じ血液型の中国人は結婚しやすい?
https://abofan.blog.ss-blog.jp/2023-03-09

となると、やはり↑の中国の論文は正しい?
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私の動画にコメントが付きました [動画]

自分のための備忘録です。

珍しく、私の動画にコメントが付きました。

ゆっくり解説 血液型と性格に関係がある理由 性格テストはウソだった!?

youtube 101.JPG

youtube 102.JPG

以下はテキストにしたものです。

4 か月前(編集済み)
現在では、「血液型と性格」は、結構な権威のあるジャーナルの英語論文で実証されています。
否定的な日本の心理学論文、例えば相当有名な縄田氏の「血液型と性格の無関連性」(心理学研究 2014年)などは問題になりません。次はその例です。
1. Shoko Tsuchimine et al. ABO Blood Type and Personality Traits in Healthy Japanese Subjects. PLOS ONE. 2015年 (権威ある英語ジャーナル)
2. Yao Hou et al. Assortative mating on blood type: Evidence from one million Chinese pregnancies. PNAS. 2022年 (権威ある英語ジャーナル、サンプルサイズ100万人以上)
3. Masayuki Kanazawa. Pilot Analysis of Genetic Effects on Personality Test Scores with AI: ABO Blood Type in Japan. 2023年 (AIによる検証、サンプルサイズ1万人以上)
さすがに、これらの論文は否定派の心理学者も認めざるを得ず、ほとんどが沈黙してしまいました[ウッシッシ]

@takatoji4202
1 日前
論文1の投稿が「Feb.25, 2021」で、アクセプトが「Accepted:Mar.6, 2021」というのは、異例の早さです。どのようにして修正の必要のない論文だと査読者や編集者が判断したのでしょうか。マイナーrevisionの指摘すらなかったのでしょうか。

@abofan1865
1 日前
@takatoji4202 すみません、2021年の論文はないし、私は査読者でも出版社でもないのでお答えできません。参考までに、1~3の論文のいずれも、掲載されたジャーナル「格」の目安となるh-indexで、縄田氏の「心理学研究」を大幅に上回っています。

@abofan1865
1 日前(編集済み)
@takatoji4202 すみません、縄田氏の論文のh-indexが大幅に低いことはどうお考えですか?

@takatoji4202
1 日前
@abofan1865 血液型の研究が世界的には注目度が低く、性格とは無関係という既知の事を改めて示してもインパクトがないということだと認識しています。

@abofan1865
1 日前
@takatoji4202 否定する英語論文はかなり出ています。そして、縄田氏のものだけダントツにh-indexが低いのです。正直、なぜそこまで重要視するのかわかりません。

@abofan1865
1 日前
@takatoji4202 h-indexが低いからとは言いたくないのですが、統計的に有意だろうが、性格を直接的に測定してなかろうが、「性格の無関連性」というタイトルを付けてしまうのはいかがでしょうか。
ちゃんと査読しているのか不安になります。日本人としては非常に残念としか言いようがありません。

@takatoji4202
1 日前
@abofan1865 では日本心理学会とScientific & Academic Publishingの査読について入念に調べてみますね。アドバイス頂きありがとうございます

《参考》

prtimes3.PNG
出所:PR TIMES

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同じ方からで、私以外の方の動画もあります。

youtube 103.JPG

こちらのコメントは次のとおりです(全体のスクショが撮れないので…)。

@abofan1865
8 か月前
次は代表的な論文です。
ABO Blood Type and Personality Traits in Healthy Japanese Subjects
Shoko Tsuchimine,Junji Saruwatari,Ayako Kaneda,Norio Yasui-Furukori

@takatoji4202
5 日前
No relationship between blood type and personality: Evidence from large-scale surveys in Japan and the US Kengo Nawata

@abofan1865
4 日前
縄田氏の論文の考察には、質問項目が「性格の測定を目的としたものではなかった」とあります。

@takatoji4202
4 日前
@abofan1865 生活態度に対する68項目の質問で、わずかな差でも検出できるはずの大規模なデータセットでもほとんどの項目で有意差が得られないことは、血液型と性格の無関連性を強く示します

@abofan1865
4 日前
本文を全部読まれて、検定結果のチェックはされましたか?
1. 縄田氏は、この論文の考察で「本研究で扱った質問項目は、心理学で扱われているような性格の測定を目的として測定されたものではなかった」と述べています。つまり、差が出なかったのは「性格」ではありません。
2. 同様に、考察では「血液型間の有意差が見られた国内研究としては,山岡 (1999, 2006) [6660人]やSakamoto & Yamazaki (2004) [3万人]が挙げられる」とあり、こちらは「性格」を測定しています。
よって、性格を測定したら差が出た、性格以外を測定したら差が出なかった、ことは明らかです。
3. 実は、アメリカのQ22: If you make a critical decision, take risks or avoid は、危険率0.7%で有意です。不思議なことに縄田氏は「差が出ない68項目」から除いています。
性格を測定していないのに「血液型と性格の無関連性」、差が出た項目は無視するなら、どんな主張でも可能なのではないでしょうか?

@1610frms
1 日前
@abofan1865 横からですが、冒頭部分でその意図は間接的に説明されているのでは。要は血液型を信じている人は性格を血液型の設定に[寄せる]傾向があると。より客観的な指標として生活態度を回答させたのは秀逸と思いますが

@abofan1865
1 日前
生活態度に限定するとしても、アメリカのQ22で有意差が出てるのに、しれっと無視してる時点で完全にアウトではないですか? どう思います?

@takatoji4202
1 日前
@abofan1865 アメリカのデータは性格に関する21項目ではないでしょうか(もし他にあれば、p値と効果量をご教示ください)。合計68項目あれば66.7%の確率で3項目が有意になると記載がありますし、その3項目については無視されていないと存じます

@abofan1865
1 日前
すみません、元の調査シートの質問や項目は確認されてますか? 阪大のサイトに公開されていて、数値も公開されているので、誰でも検算が可能ですが。

@takatoji4202
1 日前
@abofan1865 池田?大竹?筒井の論文も読みました。全質問の中で性格に関する項目は一部なので、アメリカのQ22として想定される項目とp値?効果量をご教示ください

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どちらも納得していただいたのかどうか、ちょっと気になりますね…。

これに関してですが…。

150605_226 【疑似科学とされるものの科学性評定サイト】
>[注:このη2 = .0030は間違いです。――とは、いったいどういう意味ですか?この論文のデータに誤りがあるということでしょうか?/Q22: If you make a critical decision, take risks or avoid は、危険率0.7%で有意で[…] ――こんな記述は当該論文のどこにも見当たらなかったのですが…。私が見落としていたのならお教えください。
――「アメリカ2004」のQ22は、原論文ではなぜか計算していません。しかし、原論文にはありませんが、縄田氏のサイトにはこうあります。
>【追加分析2】/⇒ さらに,この論文と同じデータセットで,その他の項目も追加分析を行いました。/以下の変数に関しては,「日本2004」,「日本2005」,「アメリカ2004」の*3つ全てのデータセット*で,血液型間に有意差が一貫して得られる項目はありません。[注:*は私が追加] http://nawatakengo.web.fc2.com/works/jjp2_abst_jp.htm
ところで、原論文の「効果量η2は.003以下」は*単独のデータセット*について記述です。しかし、なぜか追加分析2では、*3つ全てのデータセット*と大きく基準が変わってしまいました。なぜこのように基準を変えたのは不明ですが、原論文と同じ*単独のデータセット*なら、「物事を決断するとき、リスクを許容するか回避するか」の「アメリカ2004」(Q22)では明らかに有意差が出ています。なお、元データは大阪大学のサイトに公開されているので、誰でも計算可能です。http://srdq.hus.osaka-u.ac.jp
以上のことから、当初縄田氏が「アメリカ2004」(Q22)で有意差が出ていることを意図的に隠蔽したかどうかは不明ですが、追加分析2では意図的に基準を変えて、有意差が出ていることを隠蔽したことは明らかです。
余談ですが、この追加分析2は2014年8月23日付けですから、時期的には私のブログでの指摘(2014年7月12日付)の後ということになります。 http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12
私の指摘に彼が反応した可能性もゼロではありませんが、本当のところはわかりません。いずれにせよ、日本語の「査読付き」論文はこんなのばかりですので、全くもって信用できないのです(苦笑)。

あと、阪大の『質問紙法にもとづく社会調査データベース(SRDQ)』はとっくに閉鎖されてしまっていたようです。
スクショ撮っておけばよかった。

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卑弥呼=天照大神の文献学的に決定的な証拠!? [ゲノム解析で古代史]

前回の続きです。

以下は、自分のための備忘録です。

○天照大神のヨミは、「ひみこ」ということになります。

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出所 天照大神はなぜ日本神話の最高神なのか?|小名木善行

つまり、邪馬台国の女王「卑弥呼」とまったく同じなのです。

○邪馬台のヨミは、現地音だと「やまと」です。

○邪馬台国と比定される「山門」には、「大和」と多くの似た地名があります。
しかも、ヤマトから見た位置関係もほぼ一致
→卑弥呼の死後に、邪馬台国は東遷して大和(朝廷)になった。

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出所 九州と近畿の地名が一致?邪馬台国東遷説と神武東征【筑後山門】:第2回

○魏志倭人伝を素直に読めば、邪馬台国は北部九州となります。
当時は距離を10倍にしていたようです。
邪馬台国をめぐる1000年の謎を解く 「邪馬台国の全解決」 中国「正史」がすべてを解いていた (著者 孫栄健) を読む

○炭素14法では、箸墓古墳の実年代は邪馬台国と合いません。
箸墓古墳の実年代:歴博の炭素14年代測定による240~260年は根拠の間違いが明らかに

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国立歴史民俗博物館研究報告 2022 (第237集) 【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

国立歴史民俗博物館研究報告書 2022(第237集)を入手しました。
(一般には販売せず、ミュージアムショップのみの取り扱い)

rekihaku237.JPG

この報告書には、次の論文が収録されています。

藤尾慎一郎・篠田謙一・坂本稔・瀧上舞
考古学データとDNA分析からみた弥生人の成立と展開
(2021年11月26日受付、2022年5月23日審査終了)

実は、この論文には、韓国加徳島獐項遺跡から見つかった人骨のゲノム解析の詳しい結果が書かれているのです。やった!

rekihaku237p69.png

ちなみに、私の以前の2つの記事

6300年前の朝鮮半島に「縄文人」が住んでいた!?【追記あり】
6300年前の朝鮮半島に「縄文人」が住んでいた!?【訂正】

では、肝心の結果が書かれてないので苦労しました[もうやだ~(悲しい顔)]
自分のための備忘録として、ポイントだけ書き留めておくことにします。

篠田謙一氏らは、4体の人骨の調査を行い、うち2号と8号のDNAの解析に成功しました。結果は次のとおりです。

○ミトコンドリアハプログループ D4系統
→それぞれD4b1とD4aの祖型(東アジア集団で普遍的)

○Y染色体ハプログループ 不明(おそらく2体とも女性)

○核ゲノム解析 現代日本人や弥生人とほぼ同じ(以前の2つの記事でも既出)

○年代 約6300年前(出土人骨2体を炭素14法で分析した結果による)
→ただし、韓国の発掘報告書(2014年)に書いてある、人骨に伴った炭を炭素14法で分析した結果とは1700年違う。
(韓国の発掘報告書では8000年前らしいので、8000年-6300年=1700年という意味か?)

○人骨の人類学的調査の結果(山田康弘氏による) 縄文人とは違う
→長頭傾向、直線的ではない眉上隆起、頭部形態、大腿骨に柱状構造が見られない

○墓壙(墓穴) 弥生中期前半の九州北部の甕棺墓に見られるような列状配置

○黒曜石 遺跡からは、佐賀県の黒曜石も発見

○食性分析(瀧上氏) 海洋資源に大きく依存した生活[稲作はあまりない?]
→2号の炭素同位体比が47%台、8号が74%台。弥生時代の甕棺に葬られている炭素同位体比である20%台に比べてかなり重いため、海洋資源に大きく依存した生活[稲作はあまりない]。
(「炭素同位体比」の意味が不明。↓「炭素・窒素同位体比」なのでは?)

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出所 国立歴史民俗博物館研究報告書(第219集)

実データ→放射性炭素で海水大循環を調べる

見れば分かるとおり、炭素14法で分析した年代を無視すれば、人骨、DNA、墓壙は九州北部の弥生人そっくりとなります。
ただ、常識的に考えると、炭素14法で測定した6300年前という値は、どうみても2000年前にはなりそうもありません…。[最大限繰り下げても1000年程度]

炭素14の半減期は5730年です。いくら海産物を食べていたとしても、炭素14の摂取が半分になるとは考えにくいので。

参考1→箸墓古墳の実年代:歴博の炭素14年代測定による240~260年は根拠の間違いが明らかに

参考2→昌原三東洞甕棺墓(日本では弥生時代)

さて、この加徳島獐項遺跡に一番近い甕棺の遺跡は、「昌原三東洞甕棺墓」です。こちらは、原三国時代ということなので、日本では弥生時代となります。
ということなので、炭素14法の「6300年前」という結果がミスという可能性が高いとしか考えられません…。

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出所 弥生時代の鉄剣・鉄刀について

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出所 Google Map

閑話休題。

さて、この論文「考古学データとDNA分析からみた弥生人の成立と展開」ですが、はっきり言って論理が破綻しています。

いままでに書いたように、朝鮮半島古代人骨(渡来人)の核ゲノム解析の結果は、そのほとんどが「弥生人そっくり」です。
渡来人が縄文人と混血すると、主成分分析の結果はその中間にならないとおかしい。

しかし、実データによれば、渡来人と我々現代日本人(弥生人)のDNAはほぼ同じです。
これを論理的に考えると、渡来人が縄文人を駆逐して、現代日本人や弥生人になったはずですから、「二重構造説」は完全に否定されないとおかしい。

「二重構造説」への疑問

ところが、現実には逆に、現代日本人のY染色体やミトコンドリアのハプログループは、その多くが縄文人由来とされます。

結局、渡来人を前提として考えると、どうやっても実データと矛盾してしまうのです。

まったく逆に、縄文・弥生人が対馬海峡を渡って朝鮮半島に移住したとすると、ほとんどすべてが事実と整合的です。

○朝鮮半島南部から出土する古代人のDNAは、縄文・弥生人とほぼ同じ。
○朝鮮半島南部の前方後円墳は、日本より時期的に後
○朝鮮半島南部の水田稲作の開始時期は、日本より少し遅れる

などなど…。

余談ですが、Wikipediaの朝鮮民族によると、韓国人(朝鮮民族)のHLAを系統発生的に分析した結果、日本人と山東省の漢民族に最も密接な関連があったとのこと。
Anthropological analysis of Koreans using HLA class II diversity among East Asians

土井ヶ浜遺跡(出土した人(骨)は山東省から渡来)でわかるとおり、このルートは縄文時代から使われていたはずです。

HLAは感染症と密接に関係しているので、山東省から(水田稲作で)結核などの感染症が持ち込まれたことと関連しているのではないでしょうか…。

それから、朝鮮半島古代人のDNAですが、Y染色体ではO2が最大グループなので、箕子朝鮮、楽浪郡、帯方郡から中原の漢人のハプログループO2が流入したとすると、ほぼすべてのデータに辻褄が合ってきます。
なお、既出の記事のように、ミトコンドリアのハプログループは、中国大陸より日本に似ているので、男性は主に中国大陸から、女性は縄文・弥生人が多いと考えられます。
ただし、白村江の敗戦後、縄文系のY染色体ハプログループ(D1a2)は排除されたはずです。

しかし、なぜ専門家は「二重構造説」や「渡来人」が実データをまったく説明できないのに、これだけこだわるのでしょうか?

さっぱりわかりません。

【追記】

歴博のメンバーが、↑のような単純なことを理解できないはずはありません。
半島南部古代人のゲノム解析の結果は、ほとんどすべて一致しています。
考えるまでもなく、「二重構造説」は(少なくとも理論的には)完全に破綻していることは明らかです。

この論文は2021年11月26日受付だから、既に2年近くが経過していますが、その後の状況に変化は見られません。「血液型と性格」と同じで、もはやのメンツの問題なのかな?

ちなみに、血液型については、心理学者は個人的に信じている人も多いようですが、商売上「公式」には信じていないふりをしないといけません(苦笑)。少なくとも現役のときには…。

長谷川さんのように、もはや現役じゃなければ本音を言ってもいいんでしょうかね。

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NATROMさん「血液型と性格は関係ない…」 [サイト紹介]

自分のための備忘録です。
本文には、「血液型と性格の関連は存在しないか、存在したとしてもきわめて弱いものです」とあります。

ところが、記事中のNATROMさん(名取宏さん)の発言とは裏腹に、下のように「弱い関係は否定できない」と読める本人のポストもあります。 こちらでは、「血液型と性格に強い関連があるとする証拠を提出すべき」とあるのだから、弱い関係があっても不思議ではないわけです。

常識的には「弱い≠きわめて弱い」なので…。

よくわかりませんが、結構ブレてますね~。
大丈夫なのかな?

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朝鮮半島南部には弥生人がいた【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

去年の論文ですが、百済人(韓国・群山)のゲノム解析の結果です。

Don-Nyeong Lee, Chae Lin Jeon, Jiwon Kang, Marta Burri, Johannes Krause, Eun Jin Woo, Choongwon Jeong
Genomic detection of a secondary family burial in a single jar coffin in early Medieval Korea
Amerian Journal of Biological Anthropology
Volume179, Issue4, December 2022, Pages 585-597
https://doi.org/10.1002/ajpa.24650

見れば分かるとおり、核ゲノム解析の結果は、現代日本人(=弥生人)とほぼ同じです。しかも、現代韓国人(ウルサン)より似ているのです。

ajpa24650-fig-0003-m.jpg

なお、この論文には、Y染色体とミトコンドリアのハプログループも掲載されています。

BMC1.JPG

Y染色体のQ1aは3人で、日本には極めて少ない(コンマ以下)のですが、ゼロではありません。日本よりは、韓国や中国東北部に多いようですが、多くても数パーセントです。

O1b2a2a1a (O-CTS7620)は1人で、現代の日本に多いグループ(約30%)で、韓国では日本よりやや少なくなっています(約30%)。

ミトコンドリアはD4とB5なので、基本的に日本にも存在するグループです。

よって、Y染色体とミトコンドリアだけで判断するとちょっと迷います。

ただ、最初に書いたように、核ゲノム解析の結果が決定的なので、このグループはほぼ間違いなく「弥生人」でしょうね。

これで、朝鮮半島南部で発見された古代人骨は、ほぼすべてが弥生人ということになります。

そういえば、最近は渡来人が水田稲作を伝えたという話は、ネットではあまり聞かなくなった気がします…。こんな感じで、ゲノム解析の結果が続々発表されているからかな?

なお、現代韓国人は紅山文化と弥生人・縄文人の混血という話もありましたが、これはY染色体で否定されます。というのは、紅山文化の遺跡から発見された人骨は、多くはハプログループNだからです。

Y Chromosome analysis of prehistoric human populations in the West Liao River Valley, Northeast China.
Cui, Y., Li, H., Ning, C. et al.
BMC Evol Biol 13, 216 (2013).
https://doi.org/10.1186/1471-2148-13-216

ハプログループNは、古代の半島人ではあまり見かけませんし、現代韓国人でもせいぜい数%ですから、少なくともメインではありません。

Y染色体ハプログループの分布 (東アジア)

現代韓国人で多いのは、元々は中国の中原(黄河中流の長安・洛陽あたり)に多かったO2です。たぶん、ここの人々が中国全土、そして朝鮮半島にまで広まった可能性が高い。

→日本語の意外な歴史
パズルの最後の1ピースを探し求めて、注目される山東省のDNAのデータ

韓国高霊池山洞44号墳出土人骨のミトコンドリアDNA分析

→ Y-chromosome-based genetic pattern in East Asia affected by Neolithic transition
Shao-Qing Wen, Xin-Zhu Tong, Hui Li
https://doi.org/10.1016/j.quaint.2016.03.027

以上のことから、現代韓国人は、弥生人(縄文人)と中国人の混血であるという結論になります。

細かいことを言うと、女性由来のミトコンドリアは韓国は日本とさほど変わらず、男性由来のY染色体が多少違うということになります。

一方、中国本土に対してはこの逆で、女性由来のミトコンドリアは結構違いますが、男性由来のY染色体はそこまで変わらないということになります。

とここまで書いたら、時間になってしまいました。
卑弥呼=天照大神の文献学的に決定的な証拠?を見つけたはずなのですが、これは次回に。

【2023.10.4追記】

韓国の土壌は基本的に花崗岩が風化したものなので、日本と同じ酸性土壌です。
骨はアルカリ性のカルシウムからできているため、化学反応により短期間で溶けてなくなってしまいます。
だから、縄文人などの古代日本列島人の骨では、ゲノム解析が極めて困難なのです。

そんなことで、日本最古のゲノム解析の結果は、核DNAでは6300年前ものはなかったのではないかと思います(ミトコンドリアなら古いのもあります)。

また、炭素14法はコンタミネーション(汚染)に弱いので、地下水の浸透などで誤った結果が出てしまいます。地下水は何千何万年前のものが多く、炭素が含まれている場合は測定すると、見かけ上年代が古く出るからです(実例もあります)。

現場の情報がないのでなんと言えませんが、6300年前という結果はコンタミネーションによる可能性もあるのでは?

【2023.10.5追記】

韓国には、Y染色体のハプログループD(日本独自)が極端に少ないのですが、たぶん日本が白村江で負けたときに一掃されたのだと思います。

このことは、朝鮮半島古代人Yの染色体では、白村江以前はO1b2は今よりもずっと少なかったことを意味します。つまり、当時の朝鮮半島では、当時の日本よりO1b2はずっと少なかったはず。やはり、O1b2は日本列島が発祥の地である可能性が高い。

対して、ミトコンドリアのハプログループは日本とあまり変わらないので、白村江敗戦後でも、女性は現地で生き延びたということを意味します。


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Open InterpriterとAdvanced Data Analysis【追記あり】 [サイト紹介]

最近話題になっているOpen InterpreterやAdvanced Data Analysisですが、Linuxでしか使えないのかな?
後で試してみたいと思います。

Open Interpreterでアンケート分析をやってもらったら1時間以上かかる作業が一瞬で完了した。ヤバい
https://generativeinfo365.com/?p=1785

Excelで管理している売上データの分析をChatGPTに丸投げしてみた
https://generativeinfo365.com/?p=1462

【2023.9.17追記】

とりあえず、Advanced Data Analysisを試してみました。
ChatGPTの有料版でしか使えないようです(Web上でOK)。
これまた残念ながら、血液型のような微妙なものには、まだ歯が立たないようです。
ルーチン的な分析は十分可能だと思いますが。

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アイヌのミトコンドリア・ハプログループ [ゲノム解析で古代史]

自分のための備忘録です。

縄文人に多いY染色体のハプログループDは、本土の日本人よりアイヌや沖縄に多いのです。
だから、アイヌは現代日本人より縄文人に近いという話もしばしば聞きます。

しかし…アイヌに多いとされる、ミトコンドリアのハプログループYは本土や沖縄の日本人にはほとんど見られません。

EuflrDlVoAAalTd.jpg
出所 https://twitter.com/studying_Ainu/status/1362309943664156674

これは、学術研究でも確かめられています。

形態と遺伝子から解明する近世アイヌ集団の起源と成立史
研究代表者 篠田 謙一
近世アイヌ人骨122体を対象としてDNAを抽出し、ミトコンドリアDNAの解析を行った。最終的に100体からDNA情報を取得し、アイヌ集団の成立の歴史の解明を試みた。解析の結果は、北海道のアイヌ集団は在来の縄文人の集団にオホーツク文化人を経由したシベリア集団の遺伝子が流入して構成されたというシナリオを支持した。また同時に行った頭蓋形態小変異の研究でも、アイヌは北海道の祖先集団に由来するものの、オホーツク人との間の遺伝的な交流を持っていた可能性が示された。
出所 https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22370088/

また、このアイヌに多いとされるミトコンドリアのハプログループYは、縄文人にも見られません。

なお、血液型から見ても、アイヌはO型が多い点でオホーツク人と共通しています。

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