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岡山大学文学部名誉教授・長谷川芳典さんの「じぶん更新日記」【追記あり】 [サイト紹介]

以前議論させていただいた、岡山大学文学部名誉教授・長谷川芳典さんの「じぶん更新日記」の血液型判断資料集を見てみました。

そうしたら、いつのまにか統計的には「関係ある」(少なくとも見かけ上は)と、自説を全面改訂(?)されていた模様です。

関係部分です。

【2021年9月】新型コロナとABO血液型

(4)「免疫学からみた血液型と性格」(2)

ABO血液型の違いによって、ある傾向(免疫力、あるいは何らかの行動傾向)に有意な差が見られるかどうかという調査は、このような、未知のメカニズムを発見し応用に役立てるという点では大いに意義深いと思う。反面、

・血液型信奉者が好むような「血液型と性格は関係があるか、ないか」というような二者択一型の不毛な議論
・「X型者はQという傾向がある」という予測ツールにすり替える論法

は、今後とも生産的な方向には発展しそうにもない【←なので、私は、血液型喧伝者から議論をふっかけられても一切相手にしない方針を貫いてきた。】

(5)「免疫学からみた血液型と性格」(3)

昨日も述べたように、ABO血液型の違いによって、ある傾向(免疫力、あるいは何らかの行動傾向)に有意な差が見られるかどうかという調査は、未知のメカニズムを発見し応用に役立てるという面で大いに役立つ可能性がある。但しこれはあくまで、「何らかのバイアスがかからず、かつ、結果を左右するような別の諸要因の影響を取り除いたうえで、統計的に有意な差が得られた時」に限定される。

まず、しばしば指摘されているように、自己成就現象の影響がある。質問紙型の性格検査では、しばしば自己評定型の質問が並べられているため、血液型本やかつての血液型性格判断喧伝番組を繰り返し視ていた人は、質問項目のなかで自分の血液型に合致する行動傾向があるかないかを問われた時に「あてはまる」と答えやすくなる。そういう人たちが調査対象に1割でも含まれていれば、見かけ上、血液型による有意な差が確認される可能性が高い。このほかにも様々な要因が考えられるがここでは省略する。

これで、他の否定論者もほぼ沈黙してしまった理由がはっきりしました。

ただ、不思議なのは、

1) 『「関係があるか、ないか」というような二者択一型の不毛な議論は一切相手にしない』とありますが、なぜ相手にしないのか?
➠相手にしないと、「認めた」「負けた」と言われるリスクが上昇するから、明らかに不利

2) 差が「バイアス」だと主張するなら、心理学的に実証すればいいだけのに、なぜそうしないのか?
➠心理学では実証できないと疑われるから、これも明らかに不利

ということです。

一番もっともらしい思われるのは、この2つは心理学的に実証できないか、下手すると言い負かされる可能性がある…ということでしょう。

それを裏付けるように、血液型判断資料集ページ冒頭には、

定年退職により隠居(隠遁?)生活に入りましたので、メールの交換や取材はすべてお断りします。

とあります。定年退職したから、現役時代に興味があったトピックのコメントお断り、というケースはゼロではないでしょうが、非常に珍しいと思います。普通はメールの交換や取材は大歓迎ではないでしょうか?

学問を極める(ちょっと大げさ・笑)という意味ではちょっと残念です。

ただ、長谷川さんは他の心理学者のようにガン無視ではなく、こう書くだけ正直だとは言えます。

【追記】

もう一度考えたら、「自己成就現象→差が出る」なんてことは、心理学者なら分からないはずがない。誰が考えても当たり前なので、いくらなんでも、大学の先生がこれが分からないほど頭が悪いことはあり得ない…。

しかし、心理学者仲間の手前、現役のときには正直に言えなかった(知らんぷり)、ということかと。確かに、こう考えた方がずっと納得できるものがあります。

もっとも、普通の心理学者は沈黙しているのですが、長谷川さんは正直なので、わざわざ公開したのでしょう。とは言っても、さすがにコメントは勘弁してほしいということで、「メールの交換や取材はすべてお断り」ということなのでしょうか。

ある意味、これは日本の心理学の問題、事実(科学)より仲間の評判が大事…ということを具現化したものとも言えるのかもしれません。

長谷川さん、すみません。

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