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全ゲノム解析で明らかになる日本人の遺伝的起源と特徴 [ゲノム解析で古代史]

あちこちで新聞記事になっていた、理研の「三重構造説」のプレスリリースです。
英語で読むのは大変なので、日本語のプレスリリースは助かります。

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テクニカルな解説はそのとおりですが、この記事に書いてないことも結構あります。

1. 「二重構造説」の拘束が緩くなってきた

二重構造説は、東大の埴輪教授が提唱した説です。
しかし、最近のゲノム解析で事実と合わないことが増えてきました。
東大系の研究者は現在でも二重構造説が主流ですが、そうでない人は結構自由に物が言えるようになってきたのかな(?)という感じがします。

2. Admixtureでは「クラスター分析」を行う

Admixtureは、クラスター分析を行うソフトです。
このソフトは、最初に何グループに分けるか設定するようになっています。
言っては悪いですが、3グループと設定すれば、きれいに結果が出てきます。
この論文にもあるように、感染症などによる自然淘汰があった場合は、その結果が妥当かどうかは慎重な検討が必要です。

3. 本当に「関西地方は漢民族と遺伝的親和性が高い」のか?

ゲノム解析でそう出ても、漢民族が大陸から大量に来た証拠は発見されていません。
逆に、Y染色体を調べると、縄文人と現代人は結構共通しています。
関西地方は漢民族と遺伝的親和性が高いのは、実は「他人の空似」なのか、それとも大量の移民があったからなのかは、この研究だけでは分かりません。
他の分析との緻密なクロスチェックが求められます。

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