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牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ《ダムとトリチウム水》 [北海道大停電]

前回の続きです。

またまた、牧田寛氏が書いたハーバービジネスオンラインの記事で、このブログのアクセスが増えてきたようです。
内容があまりにも…なので、まともに反論しようという気はないのですが、私自身の備忘録としてさらっと勘違いを指摘しておきます。

さて、現在の最新記事は、台風19号でにわかに注目を浴びた治水問題のようです。

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2019.10.16 被害収まらぬ中飛び交う「ダム翼賛論」が間違いである理由
2019.10.17 八ッ場ダム、スーパー堤防……。幼稚な翼賛デマは防災・治水を軽視する愚論

実は、これらの記事に初歩的な間違いがあることは、Wikipediaで簡単にチェックできます。[わーい(嬉しい顔)]

まずは、最初の記事ですが、

ダム湖が満水になり、流入水量の減少も見込めない場合、ダムは緊急放流=ただし書き操作をはじめます。ただし書き操作では、流入量と放流量が等しくなるように放流しますので、簡単に言えば、ただし書き操作に入った時点でダムは存在しない状態となると考えれば良いです*。
(中略)
ダムは、設計をこえる洪水には対処できず、治水機能を短時間で失います。結果として下流には急激な大洪水が押し寄せて町も何もかも沈み人が死にますが、それは仕方ないのです。ダムとはそういったものです。

とあります。
この大して長くもない文章の中には、少なくとも2つの間違いがあります。

では、Wikipediaで「ただし書き操作」を調べてみることにしましょう。すると、なぜか「特例操作」という項目に転送されます。
その理由は、

ただし書き操作(ただしがきそうさ)と呼ばれていたが、2011年(平成23年)に国の通達により呼称が変更されており、従来のただし書き操作(異常洪水時防災操作・特別防災操作)に加え、河川環境の維持のための放流(いわゆる「フラッシュ放流」)を併せて「特例操作」と称することとなった[1]。

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[1]ダム操作に関する用語等の見直しについて(改訂)- 平成23年4月1日付国河流第4号 国土交通省河川局河川環境課流水管理室長発通知

ということですから、「ただし書き操作」は現在では「特例操作」と呼ばれているのです。
つまり、牧田氏の知識は10年近く前のものということになります。
ダムの技術が日進月歩なのに、「専門家」が10年前の知識しかないというのは問題ではないでしょうか?

また、「ただし書き操作(ママ)に入った時点でダムは存在しない状態となる」ともありますが、Wikipediaの「特例操作」にはこうあります。

この操作[特例操作]は、ダムの放流によって下流の洪水を増幅させるものではない(ダム建設反対派により「ダムの建設により洪水が増幅される」との主張がなされることがあるが、上記どおりの運用がなされる限りこれは誤解であるといえる)
(中略)
ダムが無い時と異なり、洪水の来襲の予測を立てられ、来襲までの時間が稼げるので、その間に河川管理者は下流住民に対して迅速な避難誘導、逆流による氾濫を防ぐために樋門を閉じるなどの仕事をすることができる。

特に、「洪水の来襲の予測を立てられ、来襲までの時間が稼げる」は非常に重要な点で、ちょっとでも防災に関心がある人なら、ほんの少しでも「時間が稼げる」ことがいかに貴重であるかは言うまでもないでしょう。
しかし、牧田氏の記事には、肝心のこの点が「治水機能を短時間で失います」とあるだけで、ほとんど触れられていないのです。

とりあえずこれだけにしますが、牧田氏の記事の内容があまりにも…なので、これ以上読み進める気にはなりませんでした。[あせあせ(飛び散る汗)]

また、10月17日21時現在のハーバービジネスオンラインのトップページには、1年ほど前に牧田氏が執筆した記事、

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2018.09.04 東京電力「トリチウム水海洋放出問題」は何がまずいのか? その論点を整理する

が掲載されています。

ポイントは、「トリチウム水」を放出するのに、実際には30~40年かかるはずで、国と東電は7年と言っているのは辻褄が合わないというものです。

2年後にはALPS処理水は130万トン、トリチウムの全放射能量は1.3PBq(ペタ=千兆)と見積もられます。
福島第一原子力発電所は、事故前にはトリチウムを年間で2TBq(テラ=1兆)放出していましたので、通常運転時の500年分のトリチウムがタンクの中に存在することになります。現在も事実上の目安とされている福島第一の事故前のトリチウム放出管理目標値は、22TBqでしたので、この管理目標を遵守すると単純計算で約60年、実際にはトリチウムの半減期が約12年ですので、2020年以降の増加量も勘案して環境放出には約25~30年かかることになります。ただし、地下水などの経路からのトリチウム放出の分を加えなければいけませんので、実際には30~40年かかることになります。
国と東電は、7年間で海洋放出を完了するつもりですので、これもつじつまが合いません。

では、この内容に真っ向から対抗するアゴラの記事を見てみましょう。

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2019年09月09日
福島第一のトリチウム水にイチャモンをつける韓国は、その6倍以上のトリチウムを日本海に放出(改訂)
河田東海夫
元原子力発電環境整備機構(NUMO)理事

韓国は月城(ウォルソン)原子力発電所で4基のCANDU炉(重水炉)を運転していいるが(ただし1号機は昨年退役)、この型式の炉は軽水炉に比べてトリチウム放出量が一桁大きい。
月城原子力発電所からのトリチウム年間放出は、トリチウム回収設備の導入や一部原子炉の停止などで2010年以降半減しているが、2009年までは400テラベクレル[400兆ベクレル=400TBq]を超えていた。4基体制に入った1999年10月以降だけで見ても、これまでに累積で6,000テラベクレル[6,000兆ベクレル=6,000TBq=6PBq]を超えるトリチウムを放出してきた。
福島第一原発に貯留されている現在のトリチウム総量は1000テラベクレル[1,000兆ベクレル=1,000TBq=1PBq]なので、月城原子力発電所の累積放出量はその約6倍にあたる(注)。しかもその放出先は日本海である。

単純計算だと、韓国の月城(ウォルソン)原子力発電所が過去に日本海に排出した3年分のトリチウムの量は、福島第一原発のタンクにあるトリチウムの総量を上回ってしまうのです!
このことは周知の事実です。

また、このアゴラの記事には、その影響についてこうあります。

月城原子力発電所からのトリチウム放出の影響評価のデータが手元にないので、CANDU炉の本家であるカナダの例を借りると、オンタリオ州にあるブルース原子力発電所では年間600~700テラベクレルのトリチウム[年間600~700兆ベクレル=福島第一原発タンクにあるトリチウムの総量1,000兆ベクレルの約半分]を放出している。
カナダ原子力規制委員会の報告によれば、それによる近隣住民の年間被ばくは0.0015ミリシーベルト程度に過ぎない。日本人の自然界からの年間被ばくの2.1ミリシーベルトと比べ、まったく問題にならないレベルであり、健康影響など、心配するほうが損をする。

牧田氏は本当に大丈夫なのでしょうか?
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牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ《北朝鮮製新型ミサイル》 [北海道大停電]

1年ほど前の北海道大停電について、牧田寛氏のハーバーオンラインの記事についてコメントを書きました。
そうしたら、ピーク時には、まさかのSo-netブログのアクセスでトップになったのには驚きました。

で、最近、この記事のアクセスが妙に多いなと思ったら、牧田寛氏は今回「北朝鮮製新型ミサイル」のセンセーショナルな記事を書いていたのです。

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2019.09.11 北朝鮮製新型ミサイルの画期的性能は日本の防衛に何をもたらすのか?

この記事のポイントですが、問題の新型ミサイルの命中精度は極めて高く、日本の原発(たとえば大飯原発)は簡単に破壊できるため、万一攻撃された場合には大惨事が発生するというものです。確かに、彼の指摘が本当なら真剣に対策を考えるようでしょう。

しかし、そんな話は誰もしていません。なぜなら、この記事は、誰にでもわかる初歩的なミスのオンパーレードだからです(苦笑)。

もっとも、この記事の間違いは、北海道大停電よりはるかにわかりやすいです。
そこで、私的な備忘録として書き留めておくことにします。

【ごく初歩的なミス1】命中精度が極めて高い?

牧田氏によると、

イスカンデル系SRBMの性能を引き継ぐとされるKN-23は、命中精度をしめす半数必中界(CEP:半数が着弾する半径、例えば10発撃てば5発がCEP内に着弾する)が、5~7mと精密誘導巡航ミサイル並みの極めて優れた値とされています。

とあります。しかし、これはベストな状態の話で、現実に日本に飛んでくる場合には、この精度が保証されるわけではありません。

他のサイトを見てみると、

CEP(半数必中界)は、INS、グロナス併用で30m以内、光学センサー誘導では数mとされる。

とあります。

INSは慣性誘導装置、グロナスはロシア版GPSなので、これらは「標準装備」です。
光学センサーというのは、レーザー光線による誘導ということですから、現実には北朝鮮から日本に届くレーザーでもなければあり得ません。もちろん、そんなことは不可能です。
つまり、このミサイルの命中精度を示すCEP(半数必中界)は、牧田氏の言う「5~7m」ではなく、現実には「30m程度」ということになります。

もっとも、大飯原発の格納容器は直径45m程度ですから、精度が30mなら結構な確率でミサイルが命中しそうですが、実はそうではないのです。

この点を次に説明します。

【ごく初歩的なミス2】大飯原発を余裕で破壊できる?

牧田氏によると、大飯原発の構造は次のとおりです。

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大飯原子力発電所3,4号炉の格納容器は、外径45.6m、高さ65.6m、胴部が厚さ1.3m、ドーム部が厚さ1.1mのプレストレスト・コンクリートであり、更に内側を厚さ6.4mmのライナープレート(金属板)で内張りされています。

鉄筋コンクリート(RC)とプレストレスト・コンクリート(PC)の違いはありますが、1.8mの厚さのRCを2~9倍の余裕度で貫通するKN-23は、1.1mのPCを余裕で貫通すると考えて良いでしょう*。
<*改標2型PWRのPCCVには、密度のたいへんに高いコンクリートが使われている。従って、運動エネルギーが小さい軽量弾頭には持ちこたえる可能性はある>

これらの記述は、他のサイトと照合しても正しいようです。

では、ミサイルが格納容器を貫通して、弾頭が格納容器の内側で爆発するとどうなのでしょう?
牧田氏によると、

格納容器が貫通されると、内部で500kgまたは250kgの弾頭が炸裂し、格納容器内部を破壊されます。原子炉は、運転中に格納容器内部で数百キロの高性能爆薬が爆発することなど全く想定していませんので、100~300kgの高性能爆薬の内部爆発には耐えられません。原子炉は、想定を遙かに超えたきわめて甚大な打撃を受けることとなります。
大飯3,4と、同型の玄海3,4は、第二世代原子炉としてもたいへんによく出来た優れた原子炉ですが、双発大型航空機の突入には、燃料火災を除き耐えられると思われるものの、弾道弾の直撃では打ち抜かれ、破壊されます。

私は、この図を見たときに妙な感じがしました。
そこで、他のサイトで確認してみたところ、なんと肝心の「原子炉本体」(原子炉容器=次の図ので囲んだ部分)が描かれていないことに気が付きました。
原子炉のない原子力発電所なんて、原発とは言えないことはもちろんです。[あせあせ(飛び散る汗)]

次の図は、関西電力の大飯原発のサイトからです。

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残念ながら、この図には「原子炉容器」の大きさが書いてありません。
同じ加圧水型原発である川内原発のサイトによると、

SENDAI.JPG

原子炉容器は、重さ約330トン、直径約4メートル、長さ約12メートル、厚さ約20センチメートルの鋼鉄製・円筒形の容器です。

とあります。原子炉容器の大きさは直径4m、長さが12mとのことなので、これを精度30mのミサイルで狙ったら、まぁほとんど当たらないと考えるのが普通でしょう。

つまり、北朝鮮の新型ミサイルが原子炉に命中する確率は意外と小さいことになります。

それだけではありません。

厚さ1m以上のコンクリートで出来ている格納容器を貫いたミサイルが、そのまま直進して見事原子炉本体に命中すると考える人は…まぁ例外でしょう。[むかっ(怒り)]
また、仮に格納容器を貫通したとしても、首尾よく「重さ約330トン、直径約4メートル、長さ約12メートル、厚さ約20センチメートルの鋼鉄製・円筒形の容器」である原子炉容器を破壊できる…かどうかは、わざわざ考えるまでもないでしょう。[むかっ(怒り)]

北海道大停電のときもそうなのですが、なぜ牧田氏の論考がここまで間違っているのか、私にはまったく理解出来ません。[あせあせ(飛び散る汗)]
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牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ《日韓レーダー照射問題2》 [北海道大停電]

前回の続きです。

牧田寛氏のその後の記事は次のとおりです。

2018.01.30 レーダー照射問題、日韓双方の発表をとことん突き詰めてわかる8つの「ファクト」と「フェイク」

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ここでも、牧田氏の事実誤認について触れるだけにします。

さて、最も重要な論点である「火器管制レーダー照射」ですが、牧田氏は次のように書いています。
正確を期すために少々長く引用します。

 第六に、インシデントの核心である電探照射ですが、韓国、日本双方の公式発表と、日本側公表の映像からイルミネーター照射でないことは自明です。インシデント発生直後から「イルミネーターである」、「ロックオンである」、「引き金をまさに引く寸前である」といった防衛省、官邸への寄生者や政治業者などの発言はすべて嘘か、無知による根本的な誤りです。そして、それらの嘘や誤りをもとにしたデマゴギーです。

 防衛省は2018/12/21の最初の公式発表から、「火器管制レーダーを照射された」というたいへんに短い情報でこの点では一貫しており、2018/12/25岩屋毅防衛大臣記者会見でも記者からの質問に対して詳細は答えていません。

 また、2018/12/21記者会見では、本インシデントについて一切の言及がありませんでした。岩屋防衛大臣による言及は、前述したとおり12/21の夜でした。イルミネーター照射であったなら、このような悠長なことをするとは考えられません。なお、防衛省が問題とする電探照射がSTIRによるものであると公式に表明したのは2019/01/21の最終報告によってであり、日本政府はその後の日韓協議を一方的に取りやめましたので検証は不可能です。

 P-1乗組員の会話を映像で読み解く限り、戦術士は機長に「FC系レーダー波を探知」と報告していますが、それが何によるものか、何であるのかを確認していません。具体的にはイルミネーターか否か、射撃電探か、機種はなにか(この場合STIR-180、MW-08、ゴールキーパーCIWSが対象)を確認している様子がありません。また、機長はイルミネーター照射警報(レーダー警報)でなく戦術士からの報告ではじめて「FC系レーダー」で照射されていることを認識しています。これからもイルミネーター照射でないことは確実と言えます。

上の文章によると、防衛省は当初から、「火器管制レーダーを照射された」と発表しています。
しかし、牧田氏の見解では、これは「イルミネーター照射ではない」そうです。
つまり、彼によると「火器管制レーダー」と「イルミネーター」は別物であるということになります。

では、火器管制レーダーとは具体的に何を指すのでしょう?

韓国の駆逐艦「広開土大王」に搭載されているレーダーは次のとおりです(韓国海洋警察の三景号にはレーダーはありません)。

早期警戒用 AN/SPS-49(v)5 1基
目標捕捉用 MW-08 1基
対水上捜索用 SPS-95K 1基
射撃指揮用 STIR-180 2基

このうち、火器管制レーダーは、韓国側(=牧田
氏)の定義ではMW-08とSTIR-180の2種類あります。ただし、前者のMW-08は日本側の定義では「火器管制レーダー」ではありません。
CUES上の「火器管制レーダー」にMW-08は含まれるか

念のため、製造元のTHALES社のサイトを調べてみました。

MW-08 The MW08 is an all-weather G-band (C-band) 3-D medium-range surveillance and target acquisition radar based on the same techniques as SMART-S. →火器管制レーダー(FC radar or illumination radar)とは書いていない

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STIR-180 STIR is a medium-to-long range tracking and illumination radar system. →はっきり火器管制レーダー(illumination radar)と書いてある

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つまり、日本側もメーカーの定義も、はっきりと「火器管制レーダー」=「イルミネーター」=「STIR-180」≠「MW-08」ということになります。
牧田氏は、メーカーが発表しているスペックは調べなかったのでしょうか?

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牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ《日韓レーダー照射問題》【追記あり】 [北海道大停電]

※ダムとトリチウム水の話題はこちら
※北朝鮮新型ミサイルの話題はこちら

私のブログのアクセス数が、1月12日には1万PVを大きく超えて、So-netでまさかの1位になりました。

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最初は理由が全くわからなかったのですが、牧田寛氏が書いたハーバービジネスオンラインの「日韓レーダー照射問題」の記事があまりにも…なので、どんな人物なのかと思って見に来た人がほとんどだったようです。[たらーっ(汗)]

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こんなバカバカしい話はすぐに沈静化するはずだし、事実誤認を指摘するのも面倒なので無視していたのですが、私の希望的観測は見事に外れました。[バッド(下向き矢印)]

牧田寛氏は、この日韓レーダー照射問題の件で、現在までに6回の記事を執筆していますが、掲載されるたびに私のブログのPVが大幅に増加します。

どうやら、この調子ではまだまだ続きそうなので、私自身の備忘録としてまとめを書いておきます。
ただし、政治的な話ではなく、北海道大停電と同じスタンスで、「牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ」を指摘するだけです。

さて、1月25日までの牧田氏の記事の一覧は次のとおりです。

2019.01.08 日韓「レーダー照射問題」、何が起きていたのか、改めて検証する
2019.01.12 日韓「レーダー照射問題」、際立った日本側報道の異常さ。そのおかしさを斬る
2019.01.15 レーダー照射問題、「千載一遇の好機」を逃したかもしれない「強い意向」
2019.01.18 日韓「レーダー照射問題」、膠着状態を生み、問題解決を阻む誤情報やフェイクニュース
2019.01.21 レーダー照射問題、韓国国防部ブリーフィング全文訳からわかる、日本に跋扈するデマの「曲解の手法」
2019.01.25 レーダー照射問題、外交問題化した日本側が一方的に投げ出し。「威嚇飛行」も再発生!?

私が一番問題だと思うのは、牧田氏が「書いている」内容ではなく「書いていない」内容です。

次に3つほど代表的な例を取り上げます。

【問題1】韓国側は「レーダー照射」をしたと言っていたのか

★牧田氏の論考

広開土大王は、射撃追跡電探であるSTIR180による電波照射はしていない。

2019.01.08 日韓「レーダー照射問題」、何が起きていたのか、改めて検証する

【韓国側の主張】
遭難した北朝鮮籍漁船(1t未満の木造船)を広開土大王(韓国海軍)と参峰号(韓国海洋警察)が救難活動(SAR)中であった。
広開土大王は、射撃管制電探MW-08(3次元電探)も用いて捜索活動をしていた。
広開土大王は、射撃追跡電探であるSTIR180による電波照射はしていない。
P-1は高度150m、距離500mという至近距離を飛行しており、広開土大王側は、脅威を感じた。
かかる行為は極めて危険であり、抗議する。
日本側が根拠とするICAO条約は、民間航空機が対象であり、軍用機は対象とされない。
広開土大王は、日本側からの通信を国際VHS(FM変調)で受信していたが、受信状態が悪く“KOREAN COAST”(韓国海洋警察)と聞き取り、自艦への呼びかけとは考えなかった。
しかし、私がわざわざ指摘するまでもなく、去年の12月22日には、韓国側は堂々と自衛隊の哨戒機P1に「レーダー照射をした」と認めています。

★聯合ニュース 2018.12.22 10:01

北朝鮮漁船救助の際に日本哨戒機へ火器管制レーダー照射=韓国軍
【ソウル聯合ニュース】韓国海軍の艦艇が20日、東海上で漂流していた北朝鮮漁船を救助する際に火器管制レーダーを作動し、このレーダーが日本自衛隊の海上哨戒機[P1]に照射されたことが22日、分かった。
 韓国軍の消息筋は「漂流中だった北の漁船が近くの船舶に救助信号を送り、わが軍が海軍駆逐艦(広開土大王・3200トン)を派遣し、救助作業を行った」と述べた。また、「出動した駆逐艦は遭難した北の船舶を迅速に見つけるため火器管制レーダーを含むすべてのレーダーを稼働し、この際、近くの上空を飛行していた日本の海上哨戒機に照射された」と説明した。
 韓国軍は日本当局の抗議を受け、北朝鮮の漁船を救助する際に火器管制レーダーを作動させたと解明したようだ。岩屋毅防衛相は21日に記者会見を開き、「極めて危険な行為だ」として韓国側に抗議し、再発防止を求めたと明らかにした。

★鈴置 高史 早読み 深読み 朝鮮半島 2018.12.27

「現場の嫌がらせ」では済まないレーダー事件
韓国政府は事件を否認しています。
鈴置:初めは堂々と認めたうえ「大した話ではない」と言っていました。それが日本政府に追い詰められると説明を変え「レーダーを照射したことはない」と言い出したのです。

2018.12.30 Togetter 【セルフまとめ】韓国軍は、当初から一貫して「レーダーは使ってない」と言っていたのか?

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ハーバービジネスオンラインの牧田寛氏の記事がまたもや炎上!? [北海道大停電]

以前に北海道胆振東部地震による停電について議論をした牧野寛氏が、またもや炎上しているらしいです。
問題になっている記事はこれです。

ハーバービジネスオンライン
日韓「レーダー照射問題」、際立った日本側報道の異常さ。そのおかしさを斬る
牧田寛
2019.01.12

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昨日は、彼がどういう人間なのか調べるためのアクセスで、ユニークPVが爆発的に増加した結果、なんと1万以上(!)になりました。

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さっき見てみたら、So-netのアクセスランキングでも驚異的な1位になってました。

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ただ、私の血液型の記事を見に来たわけでは全然ないので、あまりうれしくはないですね。

どんなものかと思って、問題のレーダー照射の記事をチラっと読んでみたのですが、VHFをVHSと2回間違えたり、FM変調の特性を反対に間違えたり、全くひどいものです。

例えば、1/12の1ページ目には「FM変調のために混信に非常に弱い(弱肉強食特性)」とありますが、FM変調は弱肉強食特性があるので、混信に非常に強いのですから、完全に間違っています。まさに、「弱肉強食特性」とあるとおりで、強い電波があれば弱い電波は食われてしまって(強い電波しか)受信できません。

もし、高度150m、距離500mというような至近距離で電波が聞き取れないとすれば、それ以上に強い電波があるはずです。ひょっとして、韓国や北朝鮮の船が自分で強力なジャミング(妨害電波)でもしてたんですかね(苦笑)。

ところが、実際には聞き取れていたのですから、「弱肉強食特性」のために、少なくとも今回は混信はなかったのか、仮にあっても問題にならないので、全く話が逆さまです。

原子力と同じだとすると、この調子で最初から最後まで間違いだらけなので、全然読む気にはなりません。

あ~あ、とつい大きなため息が出てしまいます。[バッド(下向き矢印)]
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牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ《3》 [北海道大停電]

前回の補足として「所内単独運転」についてもう一度取りあげます。

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繰り返しになりますが、牧田寛氏は、私設原発応援団たちによる、間違いだらけの「泊原発動いてれば」反論を斬る(2018.09.20)の中でこう書いています。

私は宇佐美氏が持ち出したと聞くまで、PWR発電所で所内単独運転が実施されていることを把握していませんでした。なぜなら、所内単独運転による運転継続は、原子炉を運用する電気事業者は強く実現したがってきたことですが、原子炉を不安定な過渡状態に置くことは多重防護の第一層を壊す行為であるため、多重防護の第一層を守ると言う原則から、逸脱運転である所内単独運転で運転継続するのではなく、まずは原子炉を停止すると言う共通認識があったからです。(参考文献:原子炉の暴走―SL‐1からチェルノブイリまで 石川迪夫 日刊工業新聞社 1996/04)


原子炉の暴走―SL‐1からチェルノブイリまで

原子炉の暴走―SL‐1からチェルノブイリまで

  • 作者: 石川 迪夫
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 1996/04
  • メディア: 単行本

原子力安全の大原則として、多重防護の第一層を破壊する行為である低出力所内単独運転は禁じ手とされてきました。何か異常があれば「止める」です。多重防護の第二層です。

つまり、原発の「所内単独運転」は極めて危険だから全くの禁じ手だということです。

さて、牧田氏のこの記事がハーバービジネスオンラインに掲載されたのは2018年9月20日です。
ところが、驚くべきことに、記事が掲載翌日の9月21日0:45のツイートでは、牧田氏は実質的にこの主張を撤回してしまったようです!

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所内単独運転ですが、どちらかと言うと、原子炉と周辺機器がかわいそうなんですよ。かなり機器に無理がかかりますし、余分な熱をタービンで消費できないので熱の捨て先にも無理がかかる。BWRでは復水器に捨てるそうで、かなりいやな感じです。

このツイートでは、所内単独運転は「逸脱運転だから危険」という話はすっかり姿を消し、代わりに「かなり機器に無理がかかるから原子炉と周辺機器がかわいそう」なだけで、基本的に所内単独運転は可能だと読むしかありません。
つまり、以前とは180度主張が変わってしまったことになります。
私は狐につままれたような気持ちになりました…。[たらーっ(汗)]

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牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ《2》 [北海道大停電]

前回の続きです。

いろいろと調べてみたのですが、どうやら牧田氏の原発「専門家」としての知識はかなり疑わしいようです。
ここでは外部電源喪失時の「所内単独運転」を取り上げます。

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氏は、私設原発応援団たちによる、間違いだらけの「泊原発動いてれば」反論を斬る(2018.09.20)の中でこう書いています。

私は宇佐美氏が持ち出したと聞くまで、PWR発電所で所内単独運転が実施されていることを把握していませんでした。なぜなら、所内単独運転による運転継続は、原子炉を運用する電気事業者は強く実現したがってきたことですが、原子炉を不安定な過渡状態に置くことは多重防護の第一層を壊す行為であるため、多重防護の第一層を守ると言う原則から、逸脱運転である所内単独運転で運転継続するのではなく、まずは原子炉を停止すると言う共通認識があったからです。(参考文献:原子炉の暴走―SL‐1からチェルノブイリまで 石川迪夫 日刊工業新聞社 1996/04)


原子炉の暴走―SL‐1からチェルノブイリまで

原子炉の暴走―SL‐1からチェルノブイリまで

  • 作者: 石川 迪夫
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 1996/04
  • メディア: 単行本


原子炉は、送電線への落雷により外部への送電が出来なくなると、直ちにタービントリップし、原子炉もトリップ(PWRの“方言”。BWRではスクラム。緊急停止のこと)します。この際、非常用DGにより電源を供給しますが、原子炉は自動的に止まります。原子炉は超低出力運転や停止直後、核毒(中性子を吸収し連鎖核反応を阻害する)Xe(ゼノン、キセノン)が発生し、臨界の維持が困難な過渡状態になります。

原子力安全の大原則として、多重防護の第一層を破壊する行為である低出力所内単独運転は禁じ手とされてきました。何か異常があれば「止める」です。多重防護の第二層です。

つまり、原発の「所内単独運転」は極めて危険だから全くの禁じ手だということです。

→宇佐美氏のブログの関連部分 コロラド先生のデマについて 2018.9.12

なお泊原発は短時間であれば所内単独運転できるので周波数が乱れただけで即座に落ちるということはないことをあらかじめ指摘しておく。

宇佐美氏が根拠としているのは原子力安全・保安院の「北海道電力㈱泊発電所1号機及び2号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する審査結果取りまとめ(案)」です。
では、牧田氏が推薦する一般書と、原子力安全・保安院のどちらを信じるかと言うと、私のような普通の人は後者でしょう。[たらーっ(汗)]

とはいっても、日本の役所は「原子力村」だから信用できない、という反論があるかもしれません。

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牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ [北海道大停電]

★日韓レーダー照射問題に興味がある方は、よろしければ「牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ《日韓レーダー照射問題》」もご覧ください。

前回の続きです。

最近、牧田寛氏の北海道大停電についての一連の論考は、大手マスコミが「泊原発」をタブー視して、ほとんど情報が入手できない中、ネットを中心に大きな反響を呼んでいます。
これらは、9月10日からハーバービジネスオンラインハーバービジネスオンラインに掲載され、本当のことを知りたい人にとっては、非常に参考になる資料となっています。

北海道胆振東部地震「泊原発が動いていれば停電はなかった」論はなぜ「完全に間違い」なのか 2018.09.10

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私設原発応援団たちによる、間違いだらけの「泊原発動いてれば」反論を斬る 2018.09.20 
北海道電力は今回の震災を教訓として「常敗無勝国策」から脱却せよ 2018.9.22

ただ、「専門家」による技術的な見解としては、私のような「素人」でさえ、少々首をかしげたくなるものも少なくありません。
ここでは、それらの代表的なケースを備忘録として書き留めておきます。

1. 北海道胆振東部地震「泊原発が動いていれば停電はなかった」論はなぜ「完全に間違い」なのか

牧田氏はこう書いています。

北海道電力の特徴は、産炭地であったと言う歴史的経緯から火力発電所にしめる石炭火力発電所の割合が高いことです。石炭火力発電所は、負荷追従運転が苦手で、出力調整運転も余りしません。基本的に定格出力運転をする為に出力変動調整能力に欠けます。これは原子力発電所も同じで、日本の原子力発電所は負荷追従運転ができませんし、出力調整運転の認可を受けていません。結果、やはり定格出力運転のみを行います。 北海道電力は、電力需要が少ない一方で、需要に対して容量の大きな発電所が多く、それらは出力調整能力を持たない(あっても負荷追従が出来ない)と言う特徴があります。 結果、電力需要の少ない夜間に発電容量の大きな発電所が急に脱落すると出力調整余力がなく連鎖的に送電網が破綻してしまうという弱点があります。

実は、この中には明らかにおかしい記述が、少なくとも2つあります。

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泊原発が動いていれば停電はなかった!?《その2》 [北海道大停電]

前回の続きです。

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北電の強制出所:停電、3回目は不十分 ブラックアウト誘発か  2018.9.20 朝日新聞デジタル

9月21日に電力広域的運営推進機関の資料が公開され、午前3時8分に発生した北海道胆振東部地震により引き起こされた「全道ブラックアウト」の状況が徐々に明らかになってきました。

現在までに公開されている資料をざっくり整理すると次のようになります。

■3:08
・地震発生(総需要308万kW)
■3:08~3:09
・供給力減(△181万kW…苫東厚真2,4号機、一部の水力、風力全部などが停止)
・需要減 (△143万kW…1回目の強制停電実施[道東エリア]など)
・本州からの緊急融通開始
→本州からの緊急融通でカバーし需給が回復
■3:09~3:19
・需給が回復したため、3:09に強制停電[道東エリア]を解除
・照明・テレビ等で需要が増加
・火発を増力(伊達2号機、奈井江1号機など)
・本州からの緊急融通を最大限にまで増力
→火発増力と本州からの緊急融通で需給が回復したため3:09に強制停電を解除
■3:20~3:24
・供給力減(△20万kW…苫東厚真1号機出力低下)
・需要減 (△16万kW…3:22に2回目の強制停電実施)
→強制停電により需給が回復
■3:25
・供給力減(△10万kW…苫東厚真1号機停止)
・需要減 (△6万kW…3回目の強制停電を実施)
→供給が需要にわずかに不足し全道ブラックアウト発生
■その他
・苫東厚真1号機が不調でも発電を続けていたのは、旧式で自動停止装置がなく自動停止不可のため
・苫東厚真2,4号機は自動停止装置が動作し停止
・太陽光は深夜のため発電実績なし
・風力も停止

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定期検査と新規制基準適合性検査・審査は別物 [北海道大停電]

前回に引き続き、備忘録として書いておきます。

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私の不勉強で以前に池田信夫氏に指摘されたように、「定期検査」(現行の原子炉等規制法では第43条の3の15「施設定期検査」)と「新規制基準適合性検査・審査」は別物です。[たらーっ(汗)]

理由は、「科学的議論」としてのトリチウム水と北海道大停電《まとめ3》に書いたとおりになります。

では、定期検査で実際にどんなことをやっているかと調べたのですが、どうもよくわかりません。
私が一番わかりやすかったのは、池田信夫氏の解説【GEPR】原発はなぜ再稼動できないのかに紹介されている安念潤司氏の論文です。

余談ですが、この論文の概要には、

今日、日本国内の大部分の発電用原子炉が定期検査中であることになっているが、定期検査中であっても、原子炉の運転を停止しなければ実施できない工程が終了すれば、運転を再開することに法律上の支障は何ら存在しない。現下の停止状態は、法的根拠に基づくものではなく、単なる「空気」である。

とあります。論文の内容は相当に難解ですが、この概要(だけ…)はわかりやすいですね。[たらーっ(汗)]

では、本題に戻ります。

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