SSブログ
ゲノム解析で古代史 ブログトップ
前の10件 | -

7300年前頃の鬼界アカホヤ噴火後に「縄文人」が「無人」だった朝鮮半島に渡った?【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

雑記帳1.JPG
元論文はこちらです。
そして、その元論文の根拠となった、同じ著者らによるデータ↓

雑記帳2.JPG

IntCal20で補正すると最古は安島の8200年前です。
しかし、多くは6500yBP前後(7300年前頃)。
アカホヤ以前に少数が渡っていたが、7300年前に加速度的に増えた、というのが一番もっともらしい解釈だと思います。

データソースはこの論文。
Jangsuk Kim, Chuntaek Seong
Final Pleistocene and early Holocene population dynamics and the emergence of pottery on the Korean Peninsula
https://doi.org/10.1016/j.quaint.2020.10.049

seong.png

【参考】山下大輔 鬼界アカホヤ火山灰の年代

https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/records/19751
関西大学.png

【2024.3.17追記】

雑記帳3.JPG

↑の朝鮮半島の地図は次のとおりです。

seong2.JPG

【2024.3.18追記】

seong.png

↑のデータは、IntCal20で補正(経過年数が+800年)した後に、海水リザーバー効果(経過年数が-数百年)でもう一回補正する必要がありますね[たらーっ(汗)]
全く気が付きませんでした…。

結局、プラスとマイナスがちょうど相殺されて、ほぼuncalの値でいいようです。
なんじゃそりゃ[わーい(嬉しい顔)]

これで、アカホヤ後に縄文人が朝鮮半島に渡ったのはほぼ確定です[るんるん]
コメント(0) 

3/17 21:00- NHKスペシャル 古代史ミステリー 第1集 邪馬台国の謎に迫る【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

どんな内容なのでしょうか?

NHKスペシャルのサイト

NHKSP.jpg

ちなみに、第2集は3/25 ヤマト王権 空白の世紀 とのこと。

ソース:Impress AV Watch
NHK、邪馬台国はどこにあったのか? 卑弥呼の謎に迫る「古代史ミステリー」17日から

【2024.3.17追記】

見てみましたが、「普通の人」向けに、専門家の意見を尊重して無難にまとめたという感じです。
特に新しい情報はありませんでしたが、まとめ方は参考になりました。さすが皆様のNHK!

もっとも、ミスター邪馬台国の安本美典紙が登場しなかったのは少々不自然ですが、「皆様のNHK」だからしょうがないのかな? あとは、ドラマ仕立ては時間がもったいないので止めてほしいです。
コメント(0) 

歴史的事象を分析するためのSimulation GIS【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

これはすごい!邪馬台国はどこなんですかね?

【2024.3.18追記】
これも凄いですね!

コメント(0) 

ゲノムのフォーマット(Assembly)を変換する [ゲノム解析で古代史]

前回の続きです。

古代人と現代人を併合した主成分分析がうまくいかなかったのですが、どうやら、ゲノムのフォーマット(Assembly)を変換する必要があったようです[たらーっ(汗)]

古代人のゲノムは(なぜか?)GRCh37らしいのですが、現代人は最新のGRCh38(例:1000 Genome Project)です。

ネットで探したら、一番簡単そうなのが↓

macでインフォマティクス
EnsemblのGenomic feature座標変換機能(CrossMap)

トップページからEnsembl Toolsを選択します。

ensmbl.png

そして、Assembly Converterを選択します。

AsssemblyConverter.png

残念ながら、エラーになってしまいました[もうやだ~(悲しい顔)]

本当にうまくできるのかな?

【追記】

URLを直打ちしたらうまくいきました[グッド(上向き矢印)]
https://grch37.ensembl.org/Homo_sapiens/Tools/AssemblyConverter?db=core

たまたま?

コメント(0) 

朝鮮半島古代人のDNAは縄文人・弥生人とほぼ同じ《謎3》 [ゲノム解析で古代史]

前回の続きです。

既出の歴博の論文、

国立歴史民俗博物館研究報告 第242集
[論文] 弥生人の成立と展開Ⅱ : 韓半島新石器時代人との遺伝的な関係を中心に
(2022年11月21日受付,2023年3月31日審査終了)
https://rekihaku.repo.nii.ac.jp/records/2000021

ですが、読み直して不思議なことを見つけました。それは冒頭にある図1↓です。

fujio.JPG
この図に示されている朝鮮半島南部の古代人のゲノムですが、安島(Ando)は「中国北部系」、獐項(Changhang)と欲知島(Yokchido)は「韓半島新石器系(西遼河系+古代東アジア沿岸集団系(韓半島新石器時代人))」とあります。

また、烟臺島(Yondaedo)と大中里(Taejungni→Daejungri)も同じ「韓半島新石器系」ですが、なぜか掲載されていません。

さて、この論文で参照されているNatureの論文↓、

Robbeets M et al. (2021). Triangulation supports agricultural spread of the Transeurasian languages.
Triangulation supports agricultural spread of the Transeurasian languages.
https://doi.org/10.1038/s41586-021-04108-8

のExtended Figureでは、「主成分分析」の結果の図↓があり、

triangulation2.JPG
Extented Figure 7

triangulation.JPG
Extented Figure 8

これらを見てみると、

Changhang(一部)、Yokchido →縄文人に最も類似
Ando、Changhang(一部)、Taejungni、Yondaedo →弥生人(現代日本人)に最も類似
※主成分分析は、分析の対象にするデータの選択により結果が変化することがあるため、上の2つの図の結果は必ずしも一致しない。

となります。また、歴博の論文の「古代東アジア沿岸集団系」はほぼ「縄文系」と同じなので、わざわざ言葉を区別する意味も分かりません。

なお、この論文の注釈(1)にはこうあります。

後期旧石器時代に東南アジアから東アジア沿岸を北上してきたホモ・サピエンスで,沿岸部や島嶼部に存在する。韓半島の新石器時代人や縄文人の共通の祖先である(古代東アジア沿岸集団)。

ところが、朝鮮半島の後期旧石器時代は「事実上無人」だったので、そもそも住民がいないのだからこの注釈(1)の記述はおかしいのです。

それにしても、烟臺島(Yondaedo)と大中里(Taejungni→Daejungri)も同じ「韓半島新石器系」ですが、掲載していない理由は不明です。

以上のことを素直に考えると、数千年前に縄文人や弥生人が日本列島から朝鮮半島南部に移住し(Taejungniは微妙)、その後に中国北部系と混血して現代韓国人になった、というのが最も可能性が高いシナリオになります。

実際にも、朝鮮半島には楽浪郡や帯方郡が置かれ、中国北部系と混血があったことは確実ですから、歴史書とも矛盾しません。

なお、韓国の地名ですが、アルファベットを漢字に直すと、

Ando→慶尚南道 統営市 安島
Changhang→釜山市 加徳島 獐項
Taejungni(Daejungri)→忠清南道 公州市 大中里
Yokchid→慶尚南道 統営市 欲知島
Yondaedo→慶尚南道 統営市 烟臺島

となります。

コメント(0) 

朝鮮半島古代人のDNAは縄文人・弥生人とほぼ同じ《謎2》【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

前回の続きです。

さて、前回紹介した東大の「二重構造説」の論文↓ですが、

縄文人と渡来人の混血史から日本列島人の地域的多様性の起源を探る
渡部 裕介(生物科学専攻 特任助教)
大橋 順(生物科学専攻 教授)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/8252/

原論文は↓で、

Modern Japanese ancestry-derived variants reveal the formation process of the current Japanese regional gradations
https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(23)00207-9

この論文が投稿されたのは「2022年9月26日」↓とあり、改訂版は2022年12月2日となっています。

date.JPG

ご存じのとおり、朝鮮半島古代人である「渡来人」が縄文人と混血して弥生人になった、というのが「二重構造説」のキモです。それなら、「朝鮮半島古代人」のデータがあれば、論拠は極めて強力になるはず。しかし(なぜか?)、そういうデータはありません。

ところが、前回説明したENA↓のデータには、ちゃんと問題の朝鮮半島古代人のデータがあるのです。"ancient Korea"で検索すると数件が引っかかりました。
(日本なら、"jomon"、"yayoi"、"kofun"などで検索)

ENA: https://www.ebi.ac.uk/ena/browser/home

ena2.JPG

では、このデータはいつ公開されたのか?
↓の例では、「2022年6月22日」でした。この東大論文を投稿した2022年9月26日の「3か月前」なので、頑張れば内容に反映することは可能だったはずです。

ena3.JPG

仮に無理だとしても、改訂版は2022年12月2日なのですから、この時点で反映することは十分に可能だったはず。

念のため、この論文のプレスリリースの日付は、東大のサイト↓によると「2023年2月21日」です。

date2a.JPG

閑話休題。

もちろん、朝鮮半島古代人のデータが公開されたことを「うっかり」知らなかったという可能性もあります。
ただ、それにしても、プレスリリースの「2023年2月21日」時点で半年以上前の「2022年6月22日」公開のデータを知らなかったというのは、素人じゃないので考えにくいです(汗)。

やっばり、欧米人の論文じゃないとダメ?

実は、同じことは「2022年11月21日受付」の歴博の論文↓にも言えます。

国立歴史民俗博物館研究報告 第242集
[論文] 弥生人の成立と展開Ⅱ : 韓半島新石器時代人との遺伝的な関係を中心に
(2022年11月21日受付,2023年3月31日審査終了)
https://rekihaku.repo.nii.ac.jp/records/2000021

読めばわかりますが、やはり「2022年6月22日」公開のこのデータを知らなかったということになります。そして「2023年3月31日審査終了」だから、審査者も知らなかった…(汗)。

もっとも、歴博はゲノム解析の専門家ではないので、しょうがないのかもしれませんね…。

さて、日経サイエンス2024年2月号 特集:DNAが語る古代ヤポネシアでも、この1年半前のデータについては何も書いてありません。

さすがに、こうなるとステータスのある科学誌としてはいかがかと思いますが…(汗)。

結論として、これら最新のゲノム解析の結果が正しいとすれば、従来の「二重構造説」はほぼ完全に否定される…ということになります。[パンチ]

また、石井望氏のブログ記事には、

2000/12/01  
「古代朝鮮と日本との交流」――西谷正・九州大学教授
  (朝鮮奨学会「古代史シンポジウム」から)
朝鮮の南海岸地域にあたる欲知島では、縄文時代早期末の九州の轟式土器のほか、朝鮮で初めて縄文時代によく見る石匙(さじ)が出土している。
http://www.toyo-keizai.co.jp/news/culture/2000/post_3605.php

とあります。

よって、考古学的な知見からも、「朝鮮半島古代人のDNAは縄文人・弥生人とほぼ同じ」ということが裏付けられることになります。

やれやれ(汗)。

余談ですが、↑のENAから得られるデータはBAMなので、主成分分析をするためには、PLINKで扱えるVCFにする必要があります。

やり方の例↓
To go from .bam to .vcf, it is fairly easy using bcftools call: bcftools mpileup -Ob -o -f bcftools call -vmO z -o Taken from htslib website. https://bioinformatics.stackexchange.com/questions/18598/how-to-convert-a-bam-file-into-a-vcf-file/18603#18603


本当にできるのかな?

【2024.1.27追記】

そうしたら、2021年のNatureの論文↓には、朝鮮半島古代人のデータは、既に大部分が公開されていたのですね…。
Robbeets M et al. (2021). Triangulation supports agricultural spread of the Transeurasian languages.
Triangulation supports agricultural spread of the Transeurasian languages.
https://doi.org/10.1038/s41586-021-04108-8

間抜けなことに、私は知りませんでした。[たらーっ(汗)]
しかし、まさか東大の人間が「2021年のNature論文」を読まなかったとは思えません。
よって、知らなかったのではなく、朝鮮半島古代人のデータが公開されたことを知っていたにもかかわらず、意図的に無視した(?)可能性が極めて高いことになります。

ということは、冒頭に紹介した東大論文は、「二重構造説」を否定したくないための論文で、日経サイエンスも“同調”した可能性が極めて高いという結論になります。

本当なのかな?

【2024.2.17追記】

やり方の例↓

1. リファレンスゲノム配列を入手します。

リファレンスゲノム配列(GRCh38/hg38)と日本人基準ゲノム配列(JG2)
https://biotech-lab.org/articles/6389

Ensembl (EMBL-EBI):
http://ensembl.org/Homo_sapiens/Info/Index

スクリーンショット 2024-02-17 132240.png
→Homo_sapiens.GRCh37.dna.primary_assembly.fa.gzをダウンロードします。
※GRCh38ではダメでした…。[2023.2.18修正・追記]

2. bfctoolsを使ってvcfを作ります。

bcftools mpileup -Ou -f ref.fa map.bam | bcftools call -mv -Ov > var.raw.vcf
https://bioinformatics.stackexchange.com/questions/18598/how-to-convert-a-bam-file-into-a-vcf-file/18603#18603

コメント(0) 

朝鮮半島古代人のDNAは縄文人・弥生人とほぼ同じ《謎1》 [ゲノム解析で古代史]

前回の続きです。

そうしたら、中国人も同じような図を出してました。
The genetic structure and admixture of Manchus and Koreans in northeast China
https://doi.org/10.1080/03014460.2023.2182912

iahb_a_2182912_f0002_c.jpg

この図でも、朝鮮半島古代人のDNAを見ると、ほとんどが弥生人か縄文人です。
だんだんバカバカしくなってきますね。
知らないのは日本人だけなのか…(苦笑)。

ひょっとして、欧米人が同じ図を出さないとダメ?

これでわかったのは、古代人のデータはかなりの数が無料で入手できるということです。恥ずかしながら、私は初めて知りました(汗)。

例えば、

縄文人と渡来人の混血史から日本列島人の地域的多様性の起源を探る
渡部 裕介(生物科学専攻 特任助教)
大橋 順(生物科学専攻 教授)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/8252/

の原論文は↓ですが、

Modern Japanese ancestry-derived variants reveal the formation process of the current Japanese regional gradations
https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(23)00207-9

ここには、データの入手先として、

1000 Genomes Project Phase 3 ftp://ftp.1000genomes.ebi.ac.uk/vol1/ftp/release/20130502/
KPGP Korean genomes ftp://biodisk.org/Release/KPGP/KPGP_Data_2018_Release_Candidate/
Funadomari Jomon genome SRA: DRA008031
Ikawazu Jomon genome ENA: PRJEB26721
11 Jomon and 3 Kofun genomes ENA: PRJEB43762
GWAS summary statistics http://jenger.riken.jp/result

とあります。SRAとENAは↓のとおりです。

SRA: https://ddbj.nig.ac.jp/search

ddbj.JPG

→ここは三貫地縄文人のデータしかありません。

ENA: https://www.ebi.ac.uk/ena/browser/home

ena.JPG

→こちらは日韓中なんでもあり!

【続く】
コメント(0) 

日経サイエンス2024年2月号 特集:DNAが語る古代ヤポネシア [ゲノム解析で古代史]


日経サイエンス2024年2月号 [雑誌]

日経サイエンス2024年2月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 日経サイエンス
  • 発売日: 2023/12/25
  • メディア: Kindle版

この記事は、ある意味では非常に面白いです。
というのは、核ゲノムとミトコンドリアはきちんと解析しているのに、Y染色体については何も書いてないのです。
なぜなら、“渡来人”のY染色体は、かなりの部分が「縄文系」だからです[わーい(嬉しい顔)]
まぁ、なぜ書かない(書けない?)かは推測がつきますが、古代人のゲノム解析はタブーが非常に多いことがわかりました[たらーっ(汗)]
コメント(0) 

朝鮮半島古代人のDNAは縄文人・弥生人とほぼ同じ【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

【2023.12.31前書き追加】

この論文をよく読んだら、紀元前の古代朝鮮半島人のDNAって、すべて朝鮮半島南岸の日本寄りの小さい島で、しかもDNAはすべて弥生人か縄文人寄りなんですね。現代韓国人にも現代中国人にも全く似てない。
確かに、このデータを見たら、誰もが縄文人が朝鮮半島に移動したとしか言えないですね。ぐうの音も出ない[わーい(嬉しい顔)]

-----

面白い論文を見つけました。

縄文時代の人類集団の遺伝的構造と非縄文文化圏への遺伝的影響
https://sicambre.seesaa.net/article/202312article_26.html

元論文
An ancient genome perspective on the dynamic history of the prehistoric Jomon people in and around the Japanese archipelago
https://doi.org/10.47248/hpgg2303040008

著者たちは韓国人なのですが、なぜかデータはほとんど縄文人と現代日本人です。驚くべきことに、私が見たのは(韓国人著者では)初めてなのですが、縄文人が朝鮮半島に移動した可能性を示唆しています。

77f39449-0fdb-442a-965d-b46edcf32daf.jpg

ただ、朝鮮半島古代人のデータは3人なはずなのに、なぜか論文中のグラフにはYokjido_4000BPの1人(縄文人とほぼ同じ)しか示されていません。なんでかな?

HPGG2303040008f1.jpg

このうち、Janghang_6700BPは、弥生人=現代日本人と同じことが分かっていますが、残念ながらYeondaedo_7000BPは不明です。

よって、現在のところ、朝鮮半島古代人のDNAは日本人(縄文人か弥生人)とほぼ同じということになります。

【追記】

そうしたら、別の論文にありました!

Northeastern Asian and Jomon-related genetic structure in the Three Kingdoms period of Gimhae, Korea
https://doi.org/10.1016/j.cub.2022.06.004

1-s2.0-S0960982222009162-gr2_lrg.jpg

結論として
・Janghang (Chanhang 釜山市加徳島獐項遺跡) / Ando (全羅南道麗水市安島) → 弥生人(現代日本人)とほぼ同じ
・Yondaedo (慶尚南道統営市烟臺島) / Yokchido (慶尚南道統営市欲知島) → 縄文人とほぼ同じ

やはり、朝鮮半島古代人のDNAは日本人(縄文人か弥生人)とほぼ同じということになります。

場所が分からないので、Google Mapで調べてみたところ、すべて朝鮮半島南岸の島でした。やはり、どう見ても、鬼界カルデラの大噴火で北部九州から避難した縄文人かその子孫としか考えられません。
コメント(0) 

縄文人は初期から活発に交流していた [ゲノム解析で古代史]

縄文時代のミトコンドリア・ハプログループの大規模な研究です。

結論として、「少なくとも母系については他集団との活発な交流があった」とのことです。

これの解釈ですが、近親婚だと遺伝子が残らない可能性が高くなるので(淘汰圧)、その意味では妥当な結論だと思います。

Fuzuki Mizuno, Yasuhiro Taniguchi, Osamu Kondo, Michiko Hayashi, Kunihiko Kurosaki & Shintaroh Ueda (2023) Diversity in matrilineages among the Jomon individuals of Japan, Annals of Human Biology, 50:1, 324-331, DOI: 10.1080/03014460.2023.2224060

iahb_a_2224060_f0004_b.jpg

結論部分の仮訳です。

1. ハプログループM7aは日本列島全域に広く分布している。

2. ハプログループN9bは九州以南を除く日本列島全域に広く分布する。

3. ハプログループG1bとD4hは北海道にのみ分布する。

4. 地域差は認められるが、時代差は認められない(現時点)。

ハプログループM7aとN9bは、西日本を除く日本列島全域で同じ場所に共存している。

我々の知る限り、縄文時代前期に属する同一遺跡の複数の個体の全長ミトゲノム配列を決定した研究は本研究が初めてである。その結果、同じハプログループを持つ個体間であっても、全長レベルでの塩基配列は非常に多様であることが観察された。さらに、集団内の遺伝的多様性は縄文時代初期においても決して低くはなく、少なくとも母系については他集団との活発な遺伝的相互作用が示唆された。
コメント(0) 
前の10件 | - ゲノム解析で古代史 ブログトップ