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「二重構造説」への疑問 [ゲノム解析で古代史]

自分のための備忘録です。

threepinnerさんの元ツイートは次のとおりです。 さて、現時点では、日本人のDNA構成で主流となっている学説は「二重構造説」です。
この説は、現代日本人のDNAは、それまで狩猟採集生活をしていた縄文人のDNAと、3000年前頃から、水田稲作技術を持って半島や大陸から渡来した弥生人のDNAとの「二重構造」になっているというものです。
オリジナルは、埴原和郎氏の「日本人の成り立ち」(1990年)にあり、1990年代に主流になったそうです。

日本人の成り立ち

日本人の成り立ち

  • 作者: 埴原 和郎
  • 出版社/メーカー: 人文書院
  • 発売日: 1995/11/01
  • メディア: ハードカバー

出所 斎藤 成也 国立遺伝学研究所
学術俯瞰講義 「いのち」のシステムを解き明かす ゲノムから読み解く 日本人の起源

以下に、二重構造説が妥当だと主張するBiBiさんのTweetを示します。 ただ、上の篠田氏の「二重構造説」ですが、「今の日本人の場合は9割方は弥生時代以降に大陸からやってきた人たちの遺伝子」なら、常識的には「二重構造」とは言わないと思います。
BiBiさんも書いているように、「Y染色体における現代日本人のうち本土人の縄文人由来遺伝子は35%」ですから、篠田氏の10%とは3倍以上も違うのです…。 BiBiさんに言われて気が付いたのですが、「新版日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造」(2019年)にある篠田氏のY染色体説明は、見事に間違っていました。

新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)

新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)

  • 作者: 篠田 謙一
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2019/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

そのためなのか?その後の『人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』(2022年)では、なぜかこの説明は「省略」されています。
人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (中公新書, 2683)

人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (中公新書, 2683)

  • 作者: 篠田 謙一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/02/21
  • メディア: 新書

結局、現代日本人のDNAについては、まだまた謎が多いということなのでしょうね。

以下は、篠田氏の主張の変遷の経緯となります。

次のように、「新版 日本人になった祖先たち」(2019年)には、現代日本人のY染色体は縄文人とは違うとあります。

IMG_0012.jpg
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IMG_0014.jpg

その根拠となる発表 礼文島船泊縄文人の核ゲノム解析(2016年)

shinoda5.png

なぜこんな初歩的なミスをしたのかは謎ですが、ハプログループの名称が頻繁に変わっているため、何か勘違いをしたのかもしれません。

shinoda3.png

Wikipediaにもあるように、現代日本人の3割程度が持っている、Y染色体ハプログループD1a2a系統は縄文系である、ということになります。
下にあるように、北海道・礼文島の縄文人人骨である船泊5号のY染色体はD1a2a系統となります。

shinoda1a.png

shinoda2.png
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置賜の「卑弥呼」のDNAがほぼ完全に解読【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

Yahoo!に、置賜の「卑弥呼」の動画と記事が載りました。

以下は、Googleの画像データです。

okitama.PNG

山形県米沢市の戸塚山古墳から弥生人女性人骨が出土し、DNAがほぼ完全に開土されたとのこと。
昨日11/12にシンポジウムで結果が公開されたようですが、まだネットには出てませんね。

関連する科研費のプロジェクトの中間報告です。

縄文人のY染色体は、やっぱりD1b(現D1a2a)が多いんですね。

へ~[ひらめき]

エミシとは誰だったのか:全ゲノム解析で明らかにする東北古代人の遺伝的変遷

・これまで報告されている縄文時代人のゲノムデータには、中部地方以西のものがなかった。我々は、佐賀県佐賀市の東名遺跡から出土した縄文時代早期人骨(約7800年前)について遺伝子解析をおこない、ミトコンドリアゲノムの全体、および核ゲノムの一部を明らかにした。
それと、外部からの人口流入もほとんどなかったようです。
・東名遺跡人骨のミトコンドリアDNAとY染色体のハプログループは、それぞれM7a1aの祖先型およびD1bであった。これらは、これまでに報告されている縄文時代人にみられるハプログループと類似していた。
・今回の東名人、北海道礼文島船泊遺跡人、および縄文時代最終期~弥生時代最初頭の愛知県田原市伊川津遺跡人の3個体の核ゲノムを比較した結果、日本列島内では縄文時代を通じて人々に遺伝的連続性があり、外来の人々との混血の明確な証拠は認められなかった。
・このことは、縄文時代人の遺伝的分化は、混血ではなく地域化の進行、即ち地域間の遺伝的交流が減少したことによって促進されたことを示している。

【2023.9.16追記】

担当の方に直接お話を聞く機会があったのですが、ゲノム解析の結果は「普通の弥生人」とのことでした。
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齋藤茂樹さん 理系脳で紐解く日本の古代史 [ゲノム解析で古代史]


理系脳で紐解く日本の古代史: 技術と交通インフラを軸に古代史を再考する!

理系脳で紐解く日本の古代史: 技術と交通インフラを軸に古代史を再考する!

  • 作者: 齋藤茂樹
  • 出版社/メーカー: デザインエッグ社
  • 発売日: 2018/03/18
  • メディア: Kindle版


この本は面白いです!
工学部的発想で、船や道路などのインフラから古代史を再検討します。
もう少し前に読んでおけば良かった…。
ただ、この手の本は読者が限られるので、一般の書籍としてはなかなか売れないでしょう[たらーっ(汗)]
そうなると、おそらく国会図書館には所蔵されないので、資料として非常にもったいないです。
※NDL Searchで検索しましたが、残念ながら発見できませんでした[たらーっ(汗)]
いまなら、プレプリント化してJxivにアップロードするとか可能です。
英語が堪能なら、英語論文化して、どっかのプレプリントサーバーに登録するといいと思います。
ただ、英語版では海外の例を入れないといけないので、相当な部分が書き直しになりますね。

残念なのは、理系によくありがちな宗教的要素の軽視です。
古代日本の都市国家連合では、人々の精神のよりどころとなる宗教的権威の頂点は、卑弥呼のようなシャーマン。
これは都市国家連合のギリシャでも同じで、最高の宗教的権威はパルテノン神殿の神官となります。
政治的統合はありませんが、宗教・文化を同じくする都市国家連合からの視点も加えると、もっと面白い本になり、読者も増えると思います。

これで、日本人が「和」を尊ぶようになった理由が明確になります。
なぜなら、日本ではギリシャと同じで広大な平野が乏しく、必然的に水田稲作は散在する狭い平地=集落単位になり、その中で効率を上げるためには、極力人々の摩擦を減らして「和」を尊重するしかないからです。
よって、それに適さない「和」を乱す人間は排除される。

そういう集落を精神的にまとめたのは、宗教的権威であるシャーマンですが、反対に政治的な統合はいやがるはずです。
個人的には非常に納得できるものがあります。

それと、もう一つ残念なのは、最近のゲノム解析の成果が反映されていないこと。
ただ、これは2019年以降の話なので、2018年の出版時にはしょうがないのかもしれません。
工学系によくありがちなことですが、文系的な分析もシャープさに欠けます。

ただ、これらことが本書の価値を減ずるものでは全くありません。
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韓国のプレプリントが査読付き論文になったようです [ゲノム解析で古代史]

韓国のプレプリントが査読付き論文になったようです。

◎プレプリント
Diverse northern Asian and Jomon-related genetic structure discovered among socially complex Three Kingdoms period Gaya region Koreans

◎査読付き論文
Northeastern Asian and Jomon-related genetic structure in the Three Kingdoms period of Gimhae, Korea

cell.PNG

◎主な変更点
・なぜか、附属資料にあったハプログループの一覧が本文中に収録されました。
・オープンアクセスではないので、本文を読むのは有料です。

なお、この論文の男性3体中、Y染色体の詳細なハプログループが判明した2体は、いずれも縄文系です。
・AKG_10203 D1a2a1
・AKG_10204 O1b2a1a2a1b1

haplo.PNG

つまり、少なくとも3体中2体は、本人か父方が縄文人ということになります。

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6300年前の朝鮮半島に「縄文人」が住んでいた!?【訂正】 [ゲノム解析で古代史]

前回の6300年前の朝鮮半島・釜山近くの加徳島獐項遺跡に「縄文人」が住んでいた!?という記事の訂正です。

篠田謙一氏は公開シンポジウムで、この6000年前頃となる加徳島人集団が日本列島に到来したならば、(縄文人と)混血せずに現代(本土)日本人になる、と述べたそうです。

この篠田氏の言葉がずっと引っかかっていたのですが、やっと謎が解けました!

saitou.PNG
出典:斎藤成也 遺伝子DNAから日本人の源流を探る

現代日本人のDNAは弥生人とほぼ同じです。つまり、上の図にあるように、この獐項遺跡の人骨は現代日本人や弥生人と「瓜二つ」ということになります。

しかし、さすがに6000年前は縄文時代であって、弥生時代ではありません。タイムスリップでもすれば別ですが…[たらーっ(汗)]

そうしたら、最近この遺跡についての記事[本]を発見しました。

 韓国文物研究院は17日、釜山江西区城北洞加徳島(부산 가덕도)の釜山新港浚渫土投棄場事業敷地東端を発掘した結果、新石器時代早期あるいは前期に作ったと見られる集団墓域を確認し26体に及ぶ人骨を発見したと発表した。
 埋葬方式で見ると、伸展葬が3体、屈葬が7体見られ、頭は全て北側か北東に置かれていた。
 土器をはじめとして石器と玉などの副葬品が共に発掘された。
 割った土器を死体の下に敷いたり、周辺に敷いたり、また死体の上に覆った事例もあった。
 人骨の左側腕のそばからは朱砂や酸化鉄系統と考えられる赤色顔料が出土したりもした。
 大型玉製品を着用した人骨も発見された。 発見された玉製品は、江原高城・文岩里遺跡(注1)で出土した玉玦(옥결、けつ状耳飾)と同じように、今まで韓半島で発見された最も早い時期の玉製品とみられる。
 出土した隆起文や押印文土器等からみて墓地が造成された時期は約8千年前頃の新石器時代早期あるいは前期に見ることができるとしている。
[参考:聨合ニュース]

janghang.PNG

しかし、この記事には奇妙な点がいくつかあります。

○伸展葬が3体、屈葬が7体

日本では、伸展葬は弥生時代、屈葬は縄文時代というのが定説です。言い換えれば、この対馬からわずか50kmほどの遺跡には、縄文人や弥生人が眠っている可能性もあります。
もっとも、伸展葬は中国から伝来したらしいので、もし人骨のDNAが中国人に似ているなら、6000年前のものだという推理も成り立ちます。
しかし、現実のDNAは弥生人そっくりでしたから、中国大陸人だという推理は正しくありません。

○玉などの副葬品

「玉」というのは、普通は翡翠のことを指します。朝鮮半島付近の翡翠産地は日本だけですから、この翡翠はほぼ間違いなく日本のものでしょう。まさか、はるばるミャンマーから運んだとも思えません…。

○出土した隆起文や押印文土器等からみて墓地が造成された時期は約8千年前頃の新石器時代早期あるいは前期

繰り返しになりますが、人骨が中国大陸人だとするなら、伸展葬は新石器時代という可能性も否定できません。しかし、問題のDNAは弥生人そっくりなのですから、人骨は伸展葬された弥生人のものと推定するのが自然です。
その上、副葬品からは、日本から運ばれた可能性が極めて高い翡翠が見つかったのです!
どう見ても、このDNAが分析された2体は「弥生人」と考えるしかありません…。

そして、そう考えると、前回の記事の「詳細が不明で異様」

上記の核DNA分析結果は、「韓国加徳島獐項遺跡出土人骨のDNA分析」2019/06 で諭文名は検索できるが、
内容は、韓国文化財研究院の論文集でのみ公開されており、日本国内の公共図書館(国会図書館、国立科学博物館、山梨大学)には所蔵されていない。
韓国初の新石器時代の核DNA解析であり、とんでもないビッグニュースにもかかわらず、詳細が不明で異様である。
推察するに、韓国の新石器人骨が縄文人的であったため、韓国国内で広く公表することを控えているように思われる。

という記述も腑に落ちます。なにしろ、この人骨は「新石器時代の朝鮮半島南部人」ではなく、「朝鮮半島南部に渡った弥生人」と言うことになるのですからw

それが「韓国初の新石器時代の核DNA解析」の真実ということなら、当時の反日的な文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、関係者に厳しい箝口令を敷いたとしても、決して不思議ではありません。

これを裏付けるように、実際の作業の主力は、日本の国立科学博物館のグループだったですが、彼らもこのことについて一切口をつぐんでいます。

別の証拠もあります。

釜山にある釜山博物館の東莱館には、獐項遺跡には日本と交流があったとの説明があります 。

それによると、

スクリーンショット 2022-10-20 200044.png

海を渡って日本との交流があったことを示す黒曜石, 縄文土器をはじめ, 新石器時代の埋蔵文化がよく反映されている加徳島•獐項遺跡の資料も展示されている。

とあります。

どうやら、ジグソーパズルのピースがぴたり一致したようです。[ひらめき]

もし本当だとすると、まったく困ったものです[パンチ]

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あおきてつおさん 邪馬台国は隠された(改訂版) [ゲノム解析で古代史]

↓のYouTube

セピアのゼロからの歴史塾
【邪馬台国】はどこにあるのか? 死のリズムを奏でる不可思議な神宮、その驚愕の舞台裏とは? 天皇家・三国志・発掘物・小学校の理科から読み解く最新の「九州説」を紹介【論争】(Yamatai)

で激推しされていた、あおきてつお氏の「邪馬台国は隠された」(改訂版 2022年)という本を読んでみました。

マンガ家が解く古代史ミステリー 邪馬台国は隠された <改訂版>

マンガ家が解く古代史ミステリー 邪馬台国は隠された <改訂版>

  • 作者: あおきてつお
  • 出版社/メーカー: 三冬社
  • 発売日: 2022/01/23
  • メディア: 単行本

激推しだけあり、確かに名著だと思います。
著者のあおきてつお氏は漫画家で、随所に自ら書き下ろした画もあり、とても親しみやすくて分かりやすいです。
注:この本はコミックではありません

特に面白かったのは、当時の国際情勢と崇神天皇の解説、そして宇佐神宮の由緒でした。

2022年発行の改訂版は紙版しかありませんが、なぜか2015年の初版はkindle版のみでした。
両方買いましたが、おすすめは断然改訂版です。

しかし、悲しいかな、マイナーな出版社(失礼!)から出ているので全然売れてません。
初版2,000部ぐらいなのではないかと思います。
私が入手したのは「1刷」でした。
ただ、YouTubeの宣伝の効果は確かにあり、在庫が払底したためか、新品の入手はなかなか難しいようです。

専門家なはずの古代史家が書いた本よりずっと説得力があります。
それは、視野が広いからだでしょうか。

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ダイヤモンドオンライン 「弥生人」の定説に待った、ゲノム解析で迫る日本人の由来の新説 [ゲノム解析で古代史]

ダイヤモンドオンライン
「弥生人」の定説に待った、ゲノム解析で迫る日本人の由来の新説
橘玲、人類学者・篠田謙一対談(後編)


人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (中公新書)

人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (中公新書)

  • 作者: 篠田謙一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/04/15
  • メディア: Kindle版


この対談は、何を言いたいのかさっぱりわかりません…[たらーっ(汗)]
たぶん、「現代日本人のY染色体の70%ぐらいが縄文系」と書いていないことから判断すると、従来の定説が変わりそうなので、篠田氏が困っているだと思います。
やっぱり、専門家の間違いは、部外者がどしどし指摘しないとダメですね。

誰が日本に渡来したのかっていうのは、難しい話になっています。これまではいわゆる縄文人といわれる人たちと、朝鮮半島で農耕をやっていた人たちは遺伝的に全く違うと考えられてきたんですね。それがどうも、そうではなさそうだと。
朝鮮半島にも縄文人的な遺伝子があって、それを持っていた人たちが日本に入ってきたんじゃないかと。しかもその人たちが持つ縄文人の遺伝子の頻度は、今の私たちとあまり変わらなかったんじゃないかと考えています。

篠田氏が述べているように、弥生時代の人骨DNAの調査結果は、日本列島と朝鮮半島南部はほとんど同じです。
もし、渡来人が日本列島の縄文人に入れ替わったとすると、現代日本人のY染色体の70%ぐらいが縄文系ということはあり得ない。
当時の人口は、日本列島の方が朝鮮半島よりずっと多いので、従来の説とは逆に、日本列島から朝鮮半島南部に縄文人や弥生人が「渡来」していったと考えた方が素直です。

ただ、そう考えると従来の説が否定されるので、あいまいな言い方に終始しているのではないかと思います。

奇妙なことに、こうもあります。

弥生時代、最初に日本に入ってきた人というのは、現在の我々とは相当違う人だったというのが現在の予想です。それを知るには当時の朝鮮半島の状況、弥生時代の初期から古墳時代にかけてどうなっていたのか、人がどう動いたのかをちゃんと調べる必要があるんですが、難しいんですよ。いろいろと政治的な問題もあって。
現地の研究者との間では「この人骨を分析しましょう」という話になるんですけれども、上からOKが出ないわけです。「今この人骨を渡すのは困る」と。それでポシャったプロジェクトがいくつかあって。なかなか進まないんです。

これは少々おかしいくないでしょうか。
古墳時代ぐらいなら、韓国では当時の人骨DNAは結構調査しています。論文を読めばわかりますが、弥生人や現代日本人とほぼ同じです。
つまり、弥生人、当時の朝鮮半島南部、現代日本人はほぼ同じDNAを持っていたのです。

学者がこれでは困りますね。

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現代日本人が縄文人由来のDNAを持つ割合は?【追記あり】 [ゲノム解析で古代史]

自分自身の備忘録です。

YouTubeで、

Y染色体とmtDNAも合わせて考えた日本人の成り立ち(後期旧石器・縄文・弥生)

という、すばらしい動画を見つけました。[るんるん]

現在の定説では、縄文人1に対して弥生人9が渡来してきたとされています。

dna1.PNG

しかし、Y染色体ベースで見るとこの数字が逆転するというのです。

dna2.PNG

dna3.PNG

この動画ではO1b2(xO-47z)は弥生系とされていますが、私はこれも縄文系だと考えています。

なぜなら、現在発見されているO1b2の一番最初の「親」となるタイプは、日本だけで発見されているからです。

この「親」の出現は約8000年前とされており、朝鮮半島はほぼ無人ですが、当時(縄文時代)の日本の全人口は2万人程度です。

jomon.png
出典:図録▽人口の超長期推移

ほぼ無人の朝鮮半島から、突然変異で新しいタイプが出現する確率は、縄文時代の日本に比べると非常に低いと思います。

別なケースでは、日本の「親」から韓国の「子」、そして日本では「孫」が発見されているそうです。これは、当時は日本列島と朝鮮半島で頻繁に人間が行き来していた可能性を示しています。

-------

【参考】Yahoo!知恵袋

ID非公開さん 2017/10/21 13:53 13回答
百済人は何故日本語を話したの? 日本史・1,719閲覧

ベストアンサー

現代の「日本人」「韓国人」の「DNA(Y染色体マーカ)= Y染色体ハプログループ」を分析すると、古代人類集団が、「日本列島」から「朝鮮半島」へ行った「痕跡」はあるが、「朝鮮半島」から「日本列島」へ渡来した「痕跡」がほとんど検出されません。

(中略)

O-47z=CTS713(旧47z):日本人(大和民族、琉球民族)で高頻度にみられる。インドネシア人、朝鮮民族、満州族、タイ人、ベトナム人でもみられる。

xO-47z=L682 :朝鮮民族に高頻度に見られる。日本人、満州族、ナナイなどにもみられる。

(中略)

韓国人の「弥生系」を示す「マーカ」には、「親」が居て、その「親」は、「朝鮮半島でも、中国東北部でも、中国でもなく」、「日本列島」に存在することを示しています。つまり、これだと、韓国人の男性の33%(中国系のO2は40%)が持っている「マーカ」は、「日本列島」から来たと、さし示しています。

韓国人に関係する「O1b2a1a2 F2868」だけを見てみると、

---★O1b-----★F2868-----------------------------日本人(ヤマト人)

---★O1b-----★F2868-----★L682------------------韓国人(弥生系)

---★O1b-----★F2868-----★L682-----★CTS723-----韓国人(弥生系)

↑★は突然変異を示します。左へ行くほど「古い突然変異」、右へ行くほど「新しい突然変異」です。また「F2868、L682、CTS723」は突然変異の名称(番号)となります。韓国人は「L682系」で、これは、日本人(ヤマト人)の「F2868」に、プラス「L682」が追加されたことを意味します。

-------

元のデータを確認したい方は、次の資料に当たってみてください。

Michael F. Hammer et al. (2006)
Dual origins of the Japanese: common ground for hunter-gatherer and farmer Y chromosomes

Soon-Hee Kim et al. (2011)
High frequencies of Y-chromosome haplogroup O2b-SRY465 lineages in Korea: a genetic perspective on the peopling of Korea

なお、ハプロタイプの名称は頻繁に変わっているので、比較するときには注意が必要です。
たとえば、後者の「O2b-SRY465」は、現在では「O1b2a1a2a L682」となります。

これから判断すると、現在の日本や韓国のO1b2は、8000年前(縄文時代)に日本列島に住んでいた縄文人が起源である可能性が高いということになります。

これまた私の推測ですが、当時の未熟な航海技術から考えて、渡来系(ハプロタイプO2)が2割というのは多過ぎると思います。これらの人の多くは百済から亡命してきたのでしょうが、身分が高い人や熟練技術者が中心で、相当優遇されたと考えられます。

よって、常識的に考えると、同じハプロタイプを持つ渡来人の子は「増えた」はずです。

たとえば、百済系の高野新笠は光仁天皇の皇后なわけで、それなら現在の日本人に(渡来系の)O2が2割というのも納得です。

なお、この動画ではミトコンドリアの分析もしています。

しかし、ミトコンドリアが変異するのは万年単位なので、縄文以前の変異であれば、それが日本独自かどうか判断するのは困難なのではないでしょうか?

dna4.PNG

下の図で、グレーの部分は、日本にも韓国にもあるとのことです。

dne5.PNG

もちろん、多くの変異を調べて統計的な処理をすれば結論は出るでしょうが…[たらーっ(汗)]

【追記】

冒頭の動画の続編で、ミトコンドリアDNAについての考察もあります。

縄文系男子が多いのに弥生系女子が多い理由について考えてみた(日本人のルーツと成り立ち)

dna6.PNG
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日本人と中国人の違いを「マンハッタンプロット」で調べる [ゲノム解析で古代史]

古代人や縄文人のゲノム解析ですが、なぜか「マンハッタンプロット」を使った分析は見たことがありません。

スクリーンショット 2022-05-05 101534.png

上の図にある説明では、「疾患との関連が高い」とありますが、要するに「異なるグループの遺伝子(SNP)の違い」が偶然かどうかの確率を示しているわけです。

誰でもすぐに思いつきそうなことですが、本当に誰もやってないのかな?

ここでは、テストケースとして、前回調べた1000 Genome Projectのデータを使った日本人と中国人の違いをマンハッタンプロットを使って見てみることにします。
第9染色体.png
前回の分析結果

下の図は、ABO血液型がある第9染色体後半部分のマンハッタンプロットを描いてみたものです。
赤い↓がABO血液型の場所なのですが、残念なことに意外と差が出てないですね。

manhattanplot3.png

点が上に行くほど差があることを示しているのですが、あまりパッとしません。

なお、水平の赤い線以上が統計的に有意なことを示しています。

もう一つ残念なのは、ノイズが多いのため、このままでは使いものにならないことです。

どうしようかな…。

--☆----☆----☆--

なお、具体的なやり方は次のとおりです。

★PLINKについて★

【1】PEDファイルにPhenotypeを追加する

前回までにできた、マンハッタンプロットをしたいPEDファイル(テキストファイルです)にPhenotypeを追加します。

PLINKの使い方 1 〜フォーマット整形〜
http://bio-and-info.blogspot.com/2013/05/plink1.html

2. デフォルトのフォーマット
(1) PED FORMAT:サンプルとジェノタイプ情報
ここの、列#6 Phenotypeを、EmEditorで追加(変更)します。
(デフォルトは「-9」のようです…)
・例 日本人=1、外国人=2

【2】関連分析

plink --file inputfile --assoc --allow-no-sex --out outputfile
→outputfile.assocに結果が出力されます。
(--allow-no-sexは性別を無視するオプションで、元データに性別が入ってないため、指定しないとエラーになります)

《参考》
・PLINKでGWAS(basicなcase/control study)をするコマンド
 https://jojoshin.hatenablog.com/entry/2016/09/22/094319
 plink --bfile データ名 --assoc --out アウトプットするデータ名
 →上のファイルはバイナリではないので、「--bfile」を「--file」に変更する

★Rについて★

カラフルなマンハッタンプロットを描く
https://staffblog.amelieff.jp/entry/2018/05/15/173432

《Rのスクリプトの例》

rm(list=ls())
setwd("C:\\データがあるフォルダ名")
#必要なパッケージをロードする。
library("qqman") #ライブラリ読み込み
library("data.table")
dat.raw <- fread("データファイル名.assoc", stringsAsFactors=F,header=T)
dat.ylim <- c(0, max(10, max(-log10(dat.raw$P) * 1.04, na.rm=TRUE)))
manhattan(dat.raw, ylim=dat.ylim, genomewideline = -log10(1e-07))

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Windows 11 に WSL2:Ubuntu20.04をインストールする [ゲノム解析で古代史]

私の備忘録です。

基本的に、次のサイトのとおりで大丈夫です。

[iモード]WSL2:Ubuntu20.04のインストール

なお、このサイトの環境はWindows 10ですが、WIndows 11でもほとんど同じでした。
変更が必要なのは2点です。

[1] Windows 11は、Windowsファイアウォールの設定がWindows 10と違うため、次のようにして設定を変更します。

[設定]→[プライバシーとセキュリティ]→[Windows セキュリティ]→[ファイアウォールとネットワーク保護]→[ファイアウォールによるアプリケーションの許可]

[2] Ubuntuの設定のパラメーターにミスがあるため、少し訂正が必要です。

・Ubuntuの設定
 ・$ sudo apt install -y git gedit emacs vim subuild-essential pkg-config firefox dbus
  subuild-essential→build-essential [最初のsuは不要]

このサイトの作者に感謝です。[るんるん]

しかし、なぜかfirefoxの動作が不安定でした…[あせあせ(飛び散る汗)]

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