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齋藤茂樹さん 理系脳で紐解く日本の古代史 [ゲノム解析で古代史]


理系脳で紐解く日本の古代史: 技術と交通インフラを軸に古代史を再考する!

理系脳で紐解く日本の古代史: 技術と交通インフラを軸に古代史を再考する!

  • 作者: 齋藤茂樹
  • 出版社/メーカー: デザインエッグ社
  • 発売日: 2018/03/18
  • メディア: Kindle版


この本は面白いです!
工学部的発想で、船や道路などのインフラから古代史を再検討します。
もう少し前に読んでおけば良かった…。
ただ、この手の本は読者が限られるので、一般の書籍としてはなかなか売れないでしょう[たらーっ(汗)]
そうなると、おそらく国会図書館には所蔵されないので、資料として非常にもったいないです。
※NDL Searchで検索しましたが、残念ながら発見できませんでした[たらーっ(汗)]
いまなら、プレプリント化してJxivにアップロードするとか可能です。
英語が堪能なら、英語論文化して、どっかのプレプリントサーバーに登録するといいと思います。
ただ、英語版では海外の例を入れないといけないので、相当な部分が書き直しになりますね。

残念なのは、理系によくありがちな宗教的要素の軽視です。
古代日本の都市国家連合では、人々の精神のよりどころとなる宗教的権威の頂点は、卑弥呼のようなシャーマン。
これは都市国家連合のギリシャでも同じで、最高の宗教的権威はパルテノン神殿の神官となります。
政治的統合はありませんが、宗教・文化を同じくする都市国家連合からの視点も加えると、もっと面白い本になり、読者も増えると思います。

これで、日本人が「和」を尊ぶようになった理由が明確になります。
なぜなら、日本ではギリシャと同じで広大な平野が乏しく、必然的に水田稲作は散在する狭い平地=集落単位になり、その中で効率を上げるためには、極力人々の摩擦を減らして「和」を尊重するしかないからです。
よって、それに適さない「和」を乱す人間は排除される。

そういう集落を精神的にまとめたのは、宗教的権威であるシャーマンですが、反対に政治的な統合はいやがるはずです。
個人的には非常に納得できるものがあります。

それと、もう一つ残念なのは、最近のゲノム解析の成果が反映されていないこと。
ただ、これは2019年以降の話なので、2018年の出版時にはしょうがないのかもしれません。
工学系によくありがちなことですが、文系的な分析もシャープさに欠けます。

ただ、これらことが本書の価値を減ずるものでは全くありません。
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