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あおきてつおさん 邪馬台国は隠された(改訂版) [ゲノム解析で古代史]

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セピアのゼロからの歴史塾
【邪馬台国】はどこにあるのか? 死のリズムを奏でる不可思議な神宮、その驚愕の舞台裏とは? 天皇家・三国志・発掘物・小学校の理科から読み解く最新の「九州説」を紹介【論争】(Yamatai)

で激推しされていた、あおきてつお氏の「邪馬台国は隠された」(改訂版 2022年)という本を読んでみました。

マンガ家が解く古代史ミステリー 邪馬台国は隠された <改訂版>

マンガ家が解く古代史ミステリー 邪馬台国は隠された <改訂版>

  • 作者: あおきてつお
  • 出版社/メーカー: 三冬社
  • 発売日: 2022/01/23
  • メディア: 単行本

激推しだけあり、確かに名著だと思います。
著者のあおきてつお氏は漫画家で、随所に自ら書き下ろした画もあり、とても親しみやすくて分かりやすいです。
注:この本はコミックではありません

特に面白かったのは、当時の国際情勢と崇神天皇の解説、そして宇佐神宮の由緒でした。

2022年発行の改訂版は紙版しかありませんが、なぜか2015年の初版はkindle版のみでした。
両方買いましたが、おすすめは断然改訂版です。

しかし、悲しいかな、マイナーな出版社(失礼!)から出ているので全然売れてません。
初版2,000部ぐらいなのではないかと思います。
私が入手したのは「1刷」でした。
ただ、YouTubeの宣伝の効果は確かにあり、在庫が払底したためか、新品の入手はなかなか難しいようです。

専門家なはずの古代史家が書いた本よりずっと説得力があります。
それは、視野が広いからだでしょうか。

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ダイヤモンドオンライン 「弥生人」の定説に待った、ゲノム解析で迫る日本人の由来の新説 [ゲノム解析で古代史]

ダイヤモンドオンライン
「弥生人」の定説に待った、ゲノム解析で迫る日本人の由来の新説
橘玲、人類学者・篠田謙一対談(後編)


人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (中公新書)

人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (中公新書)

  • 作者: 篠田謙一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/04/15
  • メディア: Kindle版


この対談は、何を言いたいのかさっぱりわかりません…[たらーっ(汗)]
たぶん、「現代日本人のY染色体の70%ぐらいが縄文系」と書いていないことから判断すると、従来の定説が変わりそうなので、篠田氏が困っているだと思います。
やっぱり、専門家の間違いは、部外者がどしどし指摘しないとダメですね。

誰が日本に渡来したのかっていうのは、難しい話になっています。これまではいわゆる縄文人といわれる人たちと、朝鮮半島で農耕をやっていた人たちは遺伝的に全く違うと考えられてきたんですね。それがどうも、そうではなさそうだと。
朝鮮半島にも縄文人的な遺伝子があって、それを持っていた人たちが日本に入ってきたんじゃないかと。しかもその人たちが持つ縄文人の遺伝子の頻度は、今の私たちとあまり変わらなかったんじゃないかと考えています。

篠田氏が述べているように、弥生時代の人骨DNAの調査結果は、日本列島と朝鮮半島南部はほとんど同じです。
もし、渡来人が日本列島の縄文人に入れ替わったとすると、現代日本人のY染色体の70%ぐらいが縄文系ということはあり得ない。
当時の人口は、日本列島の方が朝鮮半島よりずっと多いので、従来の説とは逆に、日本列島から朝鮮半島南部に縄文人や弥生人が「渡来」していったと考えた方が素直です。

ただ、そう考えると従来の説が否定されるので、あいまいな言い方に終始しているのではないかと思います。

奇妙なことに、こうもあります。

弥生時代、最初に日本に入ってきた人というのは、現在の我々とは相当違う人だったというのが現在の予想です。それを知るには当時の朝鮮半島の状況、弥生時代の初期から古墳時代にかけてどうなっていたのか、人がどう動いたのかをちゃんと調べる必要があるんですが、難しいんですよ。いろいろと政治的な問題もあって。
現地の研究者との間では「この人骨を分析しましょう」という話になるんですけれども、上からOKが出ないわけです。「今この人骨を渡すのは困る」と。それでポシャったプロジェクトがいくつかあって。なかなか進まないんです。

これは少々おかしいくないでしょうか。
古墳時代ぐらいなら、韓国では当時の人骨DNAは結構調査しています。論文を読めばわかりますが、弥生人や現代日本人とほぼ同じです。
つまり、弥生人、当時の朝鮮半島南部、現代日本人はほぼ同じDNAを持っていたのです。

学者がこれでは困りますね。

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今田寛さん ことわざから出会う心理学【追加・変更あり】 [新刊情報]


ことわざから出会う心理学

ことわざから出会う心理学

  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2022/07/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

今田寛さんの「ことわざから出会う心理学」という本に血液型の話があるということで、ちょっと高いのですが買って読んでみました。

以下がその内容です。

第1講 血液型性格判断は妥当なのか?――「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」
 はじめに
 1 血液型と性格の関係:戦前編
 2 血液型と気質の関係:戦後編
 3 今日の心理学からみた血液型性格判断
 4 おわりに
 
読んでみたのですが、否定の論理があまりにも珍妙で抱腹絶倒[わーい(嬉しい顔)]
逆に、ここまで無茶苦茶な内容にしないと否定できないということでしょうから、もはや「敵」はいなくなったと考えていいと思います[るんるん]

まず、今年になってからABO型血液型と腸内細菌叢に関する論文が3報出ています。特にうつ病、精神との因果関係が示されている細菌の存在量の違いが示されています。

時代が進み科学の解像度が上がることにより、ABO型血液型と性格との関係もあながち否定できなくなってきていて非常に面白いです。

次に、彼が取り上げている山岡重行氏の1999年の論文(p.25)には、「差がある」というデータも含まれているのに全く無視しています[たらーっ(汗)]

縄田健悟氏の論文(p.28)については、更に不思議な解釈をしています。とういうのは、p.29では日本人には「自己成就現象」があるとあるからです。

問題の坂元氏らの研究は、延べ3万人超のサンプルで、データでも統計的に意味がある差が出ています。そうだとするなら、論理的に考えると、すべての日本人のデータは、「血液型の特徴」を質問すると「必ず差が出る」はずです。逆に、差が出ていない研究は血液型の特徴を質問していないからとなります。

これは、今田氏の主張である「データに差がない」という記述と矛盾しますが、なぜか3万人という人数も含め、結果が明確には書いてありません[たらーっ(汗)]

それだけではなく、都合の悪い論文や文献は(例えば土嶺章子氏の論文…)、全く取り上げていません。
これを裏付けるのは、松田薰氏の「「血液型と性格」の社会史」が、初版「のみ」が参考文献として掲げられていることです。

血液型と性格の社会史

血液型と性格の社会史

  • 作者: 松田 薫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/07/09
  • メディア: ハードカバー

この本には改訂版があり、そちらは心理学者の批判が大量に書かれています。だから、初版を紹介せざるを得ない…。

「血液型と性格」の社会史―血液型人類学の起源と展開

「血液型と性格」の社会史―血液型人類学の起源と展開

  • 作者: 松田 薫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2022/07/09
  • メディア: 単行本

そういう意味で、この本の血液型批判は極めてスジが悪いのですが、逆にそういう批判しかできないことが、現在の心理学者は立場をよく表していると思います。

今田氏の講義の受講者の中には「血液型の特徴はビックファイブに現れないのではないか」という疑問もあったそうです。この疑問が正しいことは、最新の英語論文で実証されています。

余談ですが、

1. BPOの要望(p.20)については、岡野誠氏が提訴した裁判の二審で原告実質勝訴(血液型と性格の番組は科学的なものなら放送可)ですが、このことも無視しています。

2. 血液型と性格の資料(p.15)については、その後の追試されたものが複数公開されています。たとえば…

a. 土嶺章子氏らの研究
b. 金澤正由樹氏の研究

これらは、単純に合計すると1万人程度のデータはあるはずです。参考文献も含めると、数十万人になります。

3. 最近は、AIによっても検証され、単行本や英語論文も出版されています。

ということで、全くお話にならないです[パンチ]

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