今田寛さん ことわざから出会う心理学【追加・変更あり】 [新刊情報]
今田寛さんの「ことわざから出会う心理学」という本に血液型の話があるということで、ちょっと高いのですが買って読んでみました。
以下がその内容です。
第1講 血液型性格判断は妥当なのか?――「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」
はじめに
1 血液型と性格の関係:戦前編
2 血液型と気質の関係:戦後編
3 今日の心理学からみた血液型性格判断
4 おわりに
読んでみたのですが、否定の論理があまりにも珍妙で抱腹絶倒
![[わーい(嬉しい顔)]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/140.gif)
逆に、ここまで無茶苦茶な内容にしないと否定できないということでしょうから、もはや「敵」はいなくなったと考えていいと思います
![[るんるん]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/146.gif)
まず、今年になってからABO型血液型と腸内細菌叢に関する論文が3報出ています。特にうつ病、精神との因果関係が示されている細菌の存在量の違いが示されています。
時代が進み科学の解像度が上がることにより、ABO型血液型と性格との関係もあながち否定できなくなってきていて非常に面白いです。
次に、彼が取り上げている山岡重行氏の1999年の論文(p.25)には、「差がある」というデータも含まれているのに全く無視しています
![[たらーっ(汗)]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/163.gif)
縄田健悟氏の論文(p.28)については、更に不思議な解釈をしています。とういうのは、p.29では日本人には「自己成就現象」があるとあるからです。
問題の坂元氏らの研究は、延べ3万人超のサンプルで、データでも統計的に意味がある差が出ています。そうだとするなら、論理的に考えると、すべての日本人のデータは、「血液型の特徴」を質問すると「必ず差が出る」はずです。逆に、差が出ていない研究は血液型の特徴を質問していないからとなります。
これは、今田氏の主張である「データに差がない」という記述と矛盾しますが、なぜか3万人という人数も含め、結果が明確には書いてありません
![[たらーっ(汗)]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/163.gif)
それだけではなく、都合の悪い論文や文献は(例えば土嶺章子氏の論文…)、全く取り上げていません。
これを裏付けるのは、松田薰氏の「「血液型と性格」の社会史」が、初版「のみ」が参考文献として掲げられていることです。
この本には改訂版があり、そちらは心理学者の批判が大量に書かれています。だから、初版を紹介せざるを得ない…。
そういう意味で、この本の血液型批判は極めてスジが悪いのですが、逆にそういう批判しかできないことが、現在の心理学者は立場をよく表していると思います。
今田氏の講義の受講者の中には「血液型の特徴はビックファイブに現れないのではないか」という疑問もあったそうです。この疑問が正しいことは、最新の英語論文で実証されています。
余談ですが、
1. BPOの要望(p.20)については、岡野誠氏が提訴した裁判の二審で原告実質勝訴(血液型と性格の番組は科学的なものなら放送可)ですが、このことも無視しています。
2. 血液型と性格の資料(p.15)については、その後の追試されたものが複数公開されています。たとえば…
a. 土嶺章子氏らの研究
b. 金澤正由樹氏の研究
これらは、単純に合計すると1万人程度のデータはあるはずです。参考文献も含めると、数十万人になります。
3. 最近は、AIによっても検証され、単行本や英語論文も出版されています。
ということで、全くお話にならないです
![[パンチ]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/153.gif)
2022-07-09 22:31
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