SSブログ

ミトコンドリア・ハプログループD4a1は本当に渡来系なのか?【続】 [ゲノム解析で古代史]

前回からの続きです。

日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)

日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)

  • 作者: 篠田 謙一
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2007/02/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

↑第5章の最初にあるグラフ↓ですが、中国の数値(D4→黒にの背景に白字)が全部間違っている模様です[たらーっ(汗)]

shinoda0.png

元の論文は、巻末の参考文献から探すと、どうやら"Phylogeographic Differentiation of Mitochondrial DNA in Han Chinese"だと思われます。

さて、このTable 4↓のD4(赤線)の中には、D4kという値がありますが、これには"D minus D5 is taken as a proxy for D4"と注釈(下の赤のアンダーライン)があり、つまりD4の値そのものです。

shinoda.png

奇妙なことに、この値をD4の各サブクレードの合計に加えてしまっているようで、本来の値のちょうど倍になっています。例は次のとおりです。


・D4の値は38.2%ですが、正しくは19.1%?


・D4の値は35.2%ですが、正しくは17.6%?
・D5の値(青線)は6.4%ですが、5.9%が正しい?

③④
・D4の値は本来の値のちょうど倍?

また、このグラフにはサンプルサイズが書いてないのです。
元の論文では、1カ所について50人程度なので、さすがにこれでは少なすぎ?

ひょっとして、旧版からもそのまま?

また、ハプログループDは「弥生時代になって日本に入ってきたと考える方が自然」とありますが、これまた間違いのようです。というのは、縄文人にもあるから↓です(赤)。

Diversity in matrilineages among the Jomon individuals of Japan
Fuzuki Mizuno et al.
Annals of Human Biology 2023
https://doi.org/10.1080/03014460.2023.2224060
mizuno.png

大丈夫なのかな?

なお、日本のデータについては、本人も執筆者になっている"Mitochondrial Genome Variation in Eastern Asia and the Peopling of Japan"と思われます。
サンプルサイズは1312のようです。

2004年発表ということだから、20年近く前のデータです。いくらなんでも、古すぎでは?
現在のデータを見ると、D4はこの論文の32%より少し高くなっているようです…。

本当に大丈夫なのかな?


コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント