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豊田秀樹さん たのしいベイズモデリング: 事例で拓く研究のフロンティア [新刊情報]


たのしいベイズモデリング: 事例で拓く研究のフロンティア

たのしいベイズモデリング: 事例で拓く研究のフロンティア

  • 作者: 豊田 秀樹
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2018/10/04
  • メディア: 単行本

下司忠大さんが執筆した「第2章 血液型と性格には関連がある?」には、こうあります。

血液型が[性格因子である]持続の得点を0.7%しか説明していない[影響度0.7%]ことが示された。 (中略) 本章では、血液型と性格との間に有意な関連を示したTsuchimine et al. (2015) *1 のデータを用いて血液型による性格の差が実質的に意味のある差なのかどうかを検討した。本章の結果を総合して、少なくとも筆者には、今回の血液型による性格の差はたとえば就職試験の採用判断は異性関係・人間関係を左右させるほど大きなものとは思えなかった。血液型によって性格がわかるかどうかを知りたい時に、血液型と性格の有意な関連を示す知見を引き合いに出す際には、その差が実質的に意味のある差かどうかを見極めることが重要である。

*1 Shoko Tsuchimine, Junji Saruwatari, Ayako Kaneda, Norio Yasui-Furukori, “ABO Blood Type and Personality Traits in Healthy Japanese Subjects”, PLOS ONE (2015) DOI:10.1371/journal.pone.0126983

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つまり、影響度が0.7%では「実質的に意味のある差」とは言えないということです。

では、性格はどのぐらい社会的成功に影響しているのでしょうか?
アメリカの研究によると、心理学で標準とされる「ビッグファイブ性格検査」による性格因子の影響度は、相関係数で0.04~0.22[影響度0.2~4.8%]です。

日本経済新聞 2018年1月15日 朝刊
人生100年 伸ばせ「性格力」 大学・生涯教育に反映を
鶴光太郎 慶応大学教授

中でも、「真面目さ」が職業人生に大きな影響を与えることがわかっている。例えば、業績評価など仕事のパフォーマンスとビッグ・ファイブとの関係についてこれまで行われてきた多くの海外の研究をまとめて評価した、米テキサスA&M大学のマレイ・バリック教授らの研究によれば、仕事のパフォーマンスとの平均的な相関係数をみると、「真面目さ」は0.22[注:影響度4.8%]に対し、「外向性」は0.13[影響度1.7%]、「精神的安定性」は0.08[影響度0.6%]、「協調性」は0.07[影響度0.5%]、「開放性」は0.04[影響度0.2%]となっており、関連の強さではビッグ・ファイブの中で「真面目さ」が一番高いことがわかる。

この記事には、相関係数が0.2程度なら「職業人生に大きな影響を与える」とあります。

では、血液型の影響力はどの程度なのでしょう?

能見正比古氏のデータから計算すると、血液型の影響度は、相関係数に換算すると0.1~0.2[影響度1~4%]となります。

ということは、性格と同じ基準で比較するなら、「職業人生に大きな影響を与える」と言ってもよいのではないでしょうか?

もう一つ言えるのは、最近では統計的な差があるという主張は、だんだん「タブー」ではなくなってきているということです。
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