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血液O型は低リスク? コロナ感染率、75万人調査 米社 [新型コロナ]

Yahoo!の記事からです。ソースは米ブルームバーグ。


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新型コロナは沈静化しつつある!?【藤井・岩田論争】 [新型コロナ]

インターネット上で、緊急事態宣言の是非について論争が始まっています。
とりあえず時系列順にリンクを張っておきます。

○「新」経世済民新聞―藤井聡氏

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2020.05.21
【藤井聡】【正式の回答を要請します】わたしは、西浦・尾身氏らによる「GW空けの緊急事態延長」支持は「大罪」であると考えます。

○BEST TIMES―岩田健太郎氏

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2020.05.27
岩田健太郎医師「感染爆発を押さえた西浦博先生の『本当の貢献』とは」【緊急連載①】
藤井聡氏公開質問状への見解(第1回)

2020.05.28
岩田健太郎医師「日本で感染爆発が押さえられた要因とはなんだったのか」【緊急連載②】
藤井聡氏公開質問状への見解(第2回)

2020.05.29
岩田健太郎医師「感染対策も分析も西浦先生だけに『依存』してはいけない」【緊急連載③】
藤井聡氏公開質問状への見解(第3回)

2020.05.30
岩田健太郎医師「科学は検証を経て、真実に少しずつ近づいていく」【緊急連載④最終回】
藤井聡氏公開質問状への見解(第4回:最終回)


○「新」経世済民新聞―藤井聡氏

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2020.06.04
【藤井聡】「8割自粛」は「副作用の超強烈な劇薬」であり、その投与には「十分な慎重さ」が必要と考えます。~藤井からの政府・専門家会議批判の基本的理由~

○BEST TIMES―藤井聡氏

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2020.06.05
藤井聡京大教授「第二波に備え『8割自粛』を徹底検証すべし」【緊急反論①】
「専門家」に対する藤井批判は「患者から医師に対する疑義申し立て」である

2020.06.12
藤井聡京大教授「8割自粛」で感染が減ったという明確な統計学的証拠はない【緊急反論②】
集中連載「第二波に備え「8割自粛」を徹底検証すべし」

※この後に第三弾が公開される予定となっています。

【その他の参考リンク】

○週刊文春
2020.04.30
「専門家のクーデター」西浦教授が明かす“42万人死亡試算”公表の真意

○ニューズウィーク日本版
2020.06.02
西浦×國井 対談「日本のコロナ対策は過剰だったのか」
2020.06.11 ※内容は6月2日紙版と同じ
HOME 最新記事 ワールド 【特別寄稿】「8割おじさん」の数理モデルとその根拠…
最新記事検証:日本モデル


○m3.com 医療維新
2020.06.02
西浦教授の特別講義「入国制限緩和のリスク、シミュレーション」
パンデミック中の国際移動について皆で考えよう◆Vol.1

まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
2020.06.03
西浦教授の特別講義「入国制限緩「安易な国際移動再開」、大規模流行を招く
パンデミック中の国際移動について皆で考えよう◆Vol.2

司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

○厚労省専門家会議
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解等(新型コロナウイルス感染症)

○ニコニコ生放送
2020.05.12
【8割おじさん西浦教授に聞く】新型コロナの実効再生産数のすべて オンライン講演会生中継/主催:日本科学技術ジャーナリスト会議
Real-time estimation of the effective reproduction number of COVID-19 in Japan
JASTJ COVID-19 科学ジャーナリストのための情報整理

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新型コロナは沈静化しつつある!?【アゴラ6月11日・西浦氏はなぜ「500倍おじさん」になったのか】 [新型コロナ]

アゴラに投稿した6月11日付の記事を再掲します。

厚労省クラスター対策班の西浦博氏は、4月15日に突如として「42万人死亡説」を発表しました。しかし、現在までの死亡者は900人ほど(6月8日現在)となっています。

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新型コロナクラスター対策専門家のツイート

彼のシミュレーション結果は、現実の数字の約500倍であり、これだけ大きな差があることから、批判も少なくありません。

先週の6月2日には、「感染者1日10人の入国で3か月後に大規模流行」という発表も行いました。感染者900人(10人/日×3か月[90日])の入国で、新型コロナの大流行が起こるというのです。解説記事によると、これは42万死亡説を実質的に改訂したものだと思われます。

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NHKニュースより

この記事によると、感染の大流行の具体例として、3月中旬からのPCR陽性者の激増が挙げられています。

提示された数理モデルを使い、西浦氏自身が以前に公開したデータで試算してみたところ、3月中旬までにそういう現象が起きる確率は99.8%となりました。これは、感染が大流行しない確率が0.2%(100%-99.8%)ということです。

事実は、3月上旬までに感染が爆発することはありませんでした。前回と同じく、現実の数字と比べて約500倍の過大評価だったことになります。なぜ彼がこの結果を公表したのかは謎というしかありません。

あまりにも不思議なので、私自身の備忘録として疑問点を提出しておきます。

○42万人死亡説の根拠

6月2日付のニューズウィークの記事(P21)によると、42万人が死亡する根拠は次のとおりです。

1. 使った数理モデルはSIRモデル
2. 基本再生産数Ro=2.5(ドイツの推定値)
3. 年齢群は、15歳未満、生産年齢人口(15~64歳)、65歳以上の3種類
4. 死亡率は、それぞれゼロ、0.15%、1.00%

シミュレーションの結果では、日本国民の約80%が感染し、死亡者数は42万人となりました。

現在の死者数が1/500と3桁も少ないことについて、西浦氏はこう評価しています。

もちろん、これは「何も対策しない」という、現実にはあり得ないシナリオであり、目を覆いたくなるような死亡者数が実際には見られなかったということはとても喜ばしいことだ。感染者数の急増を抑えることができたのは、流行対策の成功によることが大きいと考える。(同誌P21)

数字が独り歩きをしてしまったというのはそのとおりで、コミュニケーションの点では、流行対策をこうすれば数字は下げられる、という点をちゃんと伝えなければいけなかったと思う。(同誌P26)

つまり、使った数理モデル自体は正しく、「8割削減」などの対策が功を奏したため、結果的に感染者数が1/500に抑えられたというわけです。加えて、感染者は必ずしも全体の80%に達するわけではなく、20~40%程度が上限となる可能性も示しています。

○感染者の入国による大規模流行

西浦氏は、前述したニューズウィークの記事と同日の6月2日に「感染者1日10人の入国で3か月後に大規模流行」という発表も行いました。検疫がない場合、感染者900人(1日10人×3か月[90日])で大規模な流行が起こるというのです。

しかし、この発表にも多くの謎があります。

1. 42万人死亡説と同じく、専門家委員会を通さない単独の発表
2. 以前は問題にしていなかった海外由来の感染者に突如として注目*1
3. シミュレーションの解説記事は医療関係者専用サイトで公開(要登録)
4. シミュレーション結果は大規模流行が起こる確率だけで、感染者と死亡者数の予測はない

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解説記事の表

「単独発表」や「根拠が非公開」は前回と同じなので、西浦氏の発表は毎回こんな感じなのかのかもしれません…。

素朴な疑問ですが、なぜ情報が非公開なのでしょう。欧米では公開が原則なので、ひょっとして日本的な習慣なのでしょうか。

とりわけ奇妙なのは4です。

42万人死亡説と反対に、感染者数や死亡者数を全く示していないのは、誤解されないようにという配慮なのでしょうか。百歩譲ってそうだとしても、現在は状態が落ち着いているので、あえてこのタイミングで発表する意義があるとも思えません。

2も不思議です。

私の記憶では、最初に感染した帰国者の入国の危険性を指摘したのは、横浜市立大学の佐藤彰洋氏です。残念なことに、彼の指摘には実証データが不足していました。

私の記憶では、佐藤氏の説を肉付けしたのは私で、それが池田信夫氏の目に留まり藤井聡氏の公開質問状を経て、岩田健太郎氏が反応し、最終的に専門家委員会の押谷仁氏が認めたということになります。

西浦氏は、おそらくはこの押谷氏の主張を無視できなかったのでしょう*2。押谷氏は、海外からの流入を1,000~2,000人と推定しています。入国した感染者数を900人にしたのは、それに合わせたのだと思われます。

注意すべきなのは、現時点ではこの人数は単なる推定に過ぎないことです。数字は妥当だとは思いますが、実証はされていませんし、西浦氏自身が示したものでもありません。彼が900人で感染が爆発すると主張しても、必ずしも42万人死亡説と矛盾するとは言えないのです。

○西浦氏の致命的なミス

しかし、この西浦氏の発表には致命的なミスが隠れています。

彼が出演した5月12日のニコニコ生放送の資料には、海外由来の感染者数のデータが含まれています。それによると、感染が爆発する直前の3月上旬まで(3月9日まで)に入国して発症した感染者(imported=グラフでは灰色の部分)の人数は77人です。感染経路が不明なケースは含まれていないので、実際にはもっと多いと考えてもいいでしょう。

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専門家会議のグラフ(5月29日)

西浦氏によると、感染者1人で大流行が起こる確率は1-0.9226=7.7%です。感染者がn人の場合の確率は1-0.9226^nとなります。

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解説記事の抜粋

この式に77人を入れて計算すると、感染の大流行が起こる確率は99.8%となりました*3。現実には3月上旬まで大流行は発生せず、その理由はこう説明されています。

「死亡者数の被害想定は、あくまで「流行対策をしない」という仮定の下で計算されているので、実際に観察されたのがそれを下回る700人台(5月中旬時点)の死亡者数であると、「モデルが間違っていた。自粛なんてする必要がない」というような誤解も生じかねない。」(ニューズウィーク P19)

このように、99.8%の確率で発生する大流行を食い止めたのは、「自粛」が大きな役割を果たしたことになります。ところが、6月2日の発表にも解説記事にも、自粛についての記述は一切ないのです。単純ミス、あるいはスペースの関係で省かれてしまったのでしょうか?

○「500倍おじさん」の不都合な真実

もちろん、そういう可能性もゼロではありません。しかし、前回だけではなく、今回も500倍も数値が違うことを「単純ミス」だという一言で片付けていいものでしょうか?

私は、前回まで割と彼に好意的な記事を書いてきました。しかし、2回も同じパターンのミスを繰り返すとなると、さすがに考えを改めざるを得ません。

単刀直入に言いましょう。彼の予測は全く当たらないのです。それも、毎回500倍も過大な予測を出すということなのです。おそらく、数理モデルが出した結果を現実の数字でチェックしたことがないのでしょう。そうとでも考えない限り、今までの西浦氏の言動は合理的に説明できません。

彼の愛称は「8割おじさん」ですが、毎回予測が500倍外れるという意味で「500倍おじさん」という愛称も付け加える必要なのではあるのではないかと思えてきました。

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新型コロナクラスター対策専門家のツイート

「2度あることは3度ある」という有名なことわざがあります。誰も専門家の予測が500倍も外れることは望んでいません。次回こそ、「3度目の正直」できちんと当たる予測を発表してほしいものです。

【注記】

*1 空港検疫には、高度な医療技術を持った大量の人員を迅速に配置する必要があります。このため、自衛隊の協力が不可欠なのに、なぜきちんと指摘しないのでしょうか。

*2 そうでないと、水際対策が強化される直前である専門家会議の4月1日の提言に、海外からの輸入が疑われる感染者について「直近はやや減少に転じている」とあるので整合性がありません。

*3このグラフの日付は「感染日」で、西浦氏のデータはそれより5日遅れの「発症日」です。正確には、77人にこの5日間の感染者3323人を加えた100人が入国したことになります。この場合、大流行が起こる確率は99.97%となります。

【2020.6.14 補足】

ニューズウィークの記事は、次の記事が42万人が死亡する数理モデルと根拠を詳細に説明しています。

2020.6.11 ※内容は6月2日紙版と同じ
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新型コロナは沈静化しつつある!?【アゴラ6月1日・新型コロナ 西浦氏の「42万人死亡」はなぜ間違ったのか】 [新型コロナ]

アゴラに投稿した6月1日付の記事を再掲します。

厚労省クラスター対策班のメンバーである西浦博氏は、4月15日に突如「42万人死亡」説を発表し、国内に大きな驚きと反響を巻き起こしました。このまま何の対策もしなければ、日本の死亡者数は最大42万人にも達するというのです。

彼は、4月3日にも東京の感染者は1か月後に8万人になると発表し、これを受けるような形で、安倍首相が4月7日に緊急事態宣言を発出したのは記憶に新しいところです。

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42万人も死亡するというのは、最近の自然災害と比べても桁違いの大災害です。参考までに、2019年の台風19号は89人、2011年の東日本大震災は1万8,400人、1995年の阪神・淡路大震災では6,400人もの方々が亡くなりました。これらの何十倍、何百倍の人的被害が出るというのだから、日本中が騒然となったのも当然です。

この戦後未曽有の大惨事を防止するために、人的接触を「8割減」にすればよいと提言したことから、彼には「8割おじさん」の名前が定着しました。

幸いなことに予測は大きく外れ、現実の死者は現在900人ほどにとどまっています。

多くの人が不思議に思っているのは、なぜ3桁も違う500倍も予測が外れたかということです。また、これだけ外れる可能性がある予測を、厚労省・専門家会議の責任者でもないメンバーが、マスメディアで大々的に発表したかということでしょう。

彼の発表には、2つの大きな謎が残されています。1つは、彼が使った数理モデルとデータがいまだに非公開であることです。もう1つは、正式な責任者でもないのに、テレビで大々的にプレス発表をしたかということです。

本人のインタビュー記事はいくつかあり(文春など)、それだけではなくニコニコ生放送に出演してベースとなる計算方法などを示しています。私は、これらも含め、複数の資料をチェックしました。しかし、謎が深まるばかりで、彼が何を考えているのか全く理解できません。

ところが、ある日のツイートがきっかけで、ほとんどすべての疑問が氷解したと感じたのです。結論は、

1. 予測に使った数理モデルは一般的なもの(SIRモデル)で実効再生産数Rtは2.5
2. 「42万人死亡」の根拠は、日本の人口1億2,600万人の60%が感染し、うち0.5%が死亡
3. 予想される大惨事を防ぐため、正義感から大々的に発表

ということになります。以下は、私自身の備忘録です。

○予測に使った数理モデルとデータは何か

奇妙なことに、彼が予測に使った数理モデルとデータは非公表となっています。科学的な予測なら、何の根拠もないということはあり得ません。もっとも、概要は彼の8割の行動制限の動画を見れば、ほぼ推測できます。

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結果だけ書いておくと、この数理モデルは感染症では一般的なSIRモデルで、実効再生産数Rtは2.5 (何も対策をしない場合はRoと同じになる) となります。

計算してみると、日本の人口1億2,600万人の60%が感染し、うち0.5%が死亡するなら、確かに「42万人死亡」という結果が得られます。SIRモデルとRt(実効再生産数、上の動画ではReと表記)は意外と難しいらしく、何人かから質問を受けました。そこで、改めて説明しておきます。

細かいことは全部省略して、シンプルかつ具体的に言いましょう。

仮に私が新型コロナに感染しているとします。運よくすぐに治ればいいのですが、たいていは完全に回復する前に接触した誰かにうつしてしまいます。

では、平均すると、感染者1人は何人ぐらいにうつしているのでしょう? 多くの研究がありますが、現在の定説では2.5人とされています。この「1人が他の人にうつす倍率」、つまり2.5人÷1人=2.5が実効再生産数Rtと呼ばれる数字です。

1人が2.5人にうつすと、時間とともに1人→2.5人→2.5×2.5=6.25人…と指数関数的に感染者は増大していきます。つまり、たった1人の感染者が、あっという間に何千人、何万人にもふくれあがり、重症者や死亡者が続出することになります。これが、新型コロナが恐れられている最大の理由です。

そこで、この実効再生産数Rtを「8割削減」すれば、新型コロナの感染が終息するというのが西浦氏や専門家会議の提言なのです。

人との接触を8割減らせば(=2割にすれば)、1人が0.5人(=2.5人×0.2)にしかうつしません。そうなると、感染者は1人→0.5人→0.5×0.5=0.25人…と指数関数的に減少して最終的には収束します。細かいことを言うと、Rtが1より小さければ必ず終息するのですが、期間は長くかかることになります。

繰り返しますが、この本来2.5である実効再生産数Rtを「1より小さくする」というのが大きなポイントです。

「42万人死亡」はなぜ間違ったのか

しかし、日本のRtの実測値は0.7~0.8だったので、西浦氏の予測に反して、入国制限後には感染が自然に収束していきます。その経緯は、前回5月28日の記事に書いたとおりです。

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ここで疑問になるのは、「42万人死亡」を発表した4月15日の時点で、既に感染が収束するきざしが見えてきたことです。具体的に当時の厚労省発表の数字(報告日ベース=感染から2週間後)で見てみましょう。

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新規感染者は、4月12日(都道府県への報告は1日前の4月11日)をピークにして減少を始めています。しかし、統計的なバラツキもあるので、この減少は、(1)本格的に反転したのか、(2)単なる一時的なものなのかは判断に迷うところです。

もちろん、結果的には(1)の判断が正しかったことになります。

普通の人なら、このグラフを見て「42万人死亡」という断定的な結論は下せないでしょう。繰り返しますが、新規感染者が増えるか減るか判断に迷うはずだからです。しかし、当時の西浦氏は、自信満々で「激増する」と断定したことになります。それはなぜでしょうか?

この謎を解くきっかけが、あるツイートから見つかりました。

基本的には[RoやRtは]国際的に合意が取れてる数字を使います。じゃないとトンデモ研究扱いになるので。


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納得してもらえたでしょうか。西浦氏は、感染症の数理モデルを扱う世界的権威に師事したことがあります。この数理モデルは絶対正しい…と強く信じていたとすると、彼の判断は当然すぎるほど当然だということになります。

実は、そう思って資料を読み返すと、感染の「オーバーシュート」も含め、過去の言動はすべて辻褄が合うのです。ただ、残念なことに、その結果がどうなったのかは、皆さんご存知のとおりです。

○西浦氏の言動のバックグラウンド

ここからは個人的な感想が中心となり、それほど強い根拠があるわけではありません。

西浦氏は、医師として極めて異色の経歴を持っています。最初から医学部を目指していたのではなく、市立神戸高専・電気工学科出身で、ロボコンにも興味があったそうです。私はそういう人を多く知っていますが、たいていはアイドルやアニメが好きで人がよく、機械や数字をいじることも嫌いではありません。

これは、彼が指原莉乃の大ファンで、アイドル好きを公言していることと一致します。彼女から直接ツイートとされて、無邪気に喜んでいたという話も聞きます。感染症の数理モデルのために、コンピュータを駆使して膨大なデータを解析するというのも、高専出身であれば大いにありそうな話です。

こういう人物で、政治的な動きをするようなタイプは極めてまれです。一部の人から、彼の言動は非常に政治的だという指摘が出ていますが、私はそうは思いません。

ではなぜ、そういう非政治的な研究者が厚労省の事務室で大々的にプレス発表をしたのでしょう。それは、大惨事を防げるのは数理モデルを理解している自分だけ、という強い自負と正義感によるものだというのが一番腑に落ちる説明です。

残念なことに、医学部の偏差値は高いのですが、統計に弱い人が多いらしいのです。これは、感染症の専門である岩田健太郎氏の記事に「多くの[感染症の専門家の]人達が数理モデルそのものを理解していない」とあることでも裏付けられます。

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こう考えると、西浦氏のほとんどの言動が合理的に説明できるのです。

秋口には第二波が襲来するかもしれません。現在までの知見と情報を幅広く公開し、日本のため、ひいては世界のために役立てほしいと願うのは私だけではないでしょう。

【202.6.14 補足】

この投稿には、なんと499件のはてなブックマークが付き、アゴラの瞬間風速で1位になっただけではなく、週間ランキングでも驚きの1位になりました。
はてブでは、地道に数字を積み上げた私の論考に対して、非常に感情的な反発が多いことがわかります。

面白いといっては失礼なのですが、本論とは何の関係のない「血液型」や「アイドル」と結び付けている“批判”も目立つようです。なるほど、これは血液型だけの話ではなく、日本では極めて普遍的な現象なのでしょうかね。

余談ですが、私はアイドルもアニメも嫌いじゃないので、西浦氏には割と好意的です。[わーい(嬉しい顔)]

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新型コロナは沈静化しつつある!?【アゴラ5月28日・感染のピークはなぜ3月末なのか】 [新型コロナ]

アゴラに投稿した5月28日付の記事を再掲します。

安倍首相は、5月25日に緊急事態宣言を全面解除しました。49日間にわたる異常事態が、やっと終了することになったのです。

この措置は、当初の4月7日に7都府県だったものが、感染者の急増を受けて4月16日に全都道府県にまで拡大します。その後は、状況が改善した地域から徐々に解除され、5月25日が最後の日となりました。騒ぎが一段落したので、これで一息付けそうです。

では、なぜ感染が収束したのでしょう。データを丹念に調べていく過程で、興味深い事実が次々と浮かび上がってきました。ここでは、私自身の備忘録として、今までに発見した内容を書き留めておくことにします。

○全体像の整理

大まかに経緯を整理してみましょう。

1. 1月から2月にかけて、中国・武漢から第1波が襲来し、3月末までに収束
2. その後の3月に欧米で感染が爆発し、その余波で日本に第2波が襲来
3. 3月に2,000~3,000人の無症状者がノーチェックで入国し(当時は邦人帰国者のPCR検査は有症状者のみ)、この状態が水際対策が大幅に強化される4月3日まで続く
4. これらの無症状者が入国後に発症し、3月末から感染が爆発
5. 実効再生産数Rtは0.7~0.8であったため、感染は4月3日の入国制限措置後に急速に収束

というのがデータから導き出されたストーリーとなります。ストレートで単純なので、信じられない人も多いかもしれません。

順を追って説明していきましょう。

○中国・武漢の第1波の収束から3月のヨーロッパからの第2波の襲来まで

現在の日本で主流のウイルスは、中国・武漢由来のものではなく、欧米からもたらされたものです。それは、欧米で感染が爆発し、3月末の入国制限措置前までに大量の邦人帰国者が持ち帰ったものなのです。既に多くの識者が指摘しているので、ここではウイルスのゲノムを調査した国立感染症研究所の報告を紹介するだけとします。

中国発の第1波においては地域固有の感染クラスターが乱立して発生し、“中国、湖北省、武漢”をキーワードに蓋然性の高い感染者を特定し、濃厚接触者をいち早く探知して抑え込むことができたと推測される。

このSARS-CoV-2 ハプロタイプ・ネットワーク図[下の図]が示すように、渡航自粛が始まる3月中旬までに海外[欧米]からの帰国者経由(海外旅行者、海外在留邦人)で“第2波”の流入を許し、数週間のうちに全国各地へ伝播して“渡航歴なし・リンク不明”の患者・無症状病原体保有者が増加したと推測される。


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しかし、厚労省の専門家会議の5月14日の資料では、3月中のウイルスの「輸入例」は300人程度で、1万6,000人もの感染者が発生したことが説明できません。全国の感染のピークは3月27日ですが、不思議なことにこの理由が何も書いてありません。*1

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それは、感染がピークに達した4月中旬には、感染源が不明である「孤発例」(同5月1日資料の赤の部分)が大半だからです。わからないものは、そもそも説明のしようがありません。

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資料のベースとなった都道府県の報告を読んでみると、この時期の多くのケースで、感染の経緯が「調査中」となっています。これは、最前線で対応する保健所のリソースが極めて不足した状態であることを示しています。感染者への対応が最優先で、統計や報告が後回しになるのはやむを得ないでしょう。

○3月に2,000~3,000人の無症状者感染者がノーチェックで入国

混乱している現場の様子を頭に入れて、専門家会議の資料を読み解いていくと、当時の状況が明らかになってきます。

3月からの「流行地域」からの入国制限は、9日の中韓を皮切りに、21日にヨーロッパ、26日にはアメリカ、28日が東南アジアなどと、次々に拡大されていきます。しかし、PCR検査ができる検疫官は、羽田、成田、関空とも10人程度。この体制では、検査能力は大幅に不足です。このためか、厚労省が検疫所向けに出した通知にPCR検査が明記されたのは3月25日から。それ以前は14日間の隔離が中心となっていたようです。

邦人帰国者や外国人のレポートを読んでみると、流行地域に滞在していなければ、自己申告のみで検温も省略されたとのことで、現場の苦しい状況が裏付けられています。

現実に何人ぐらいの無症状者が帰国したのか試算してみましょう。

3月の邦人帰国者は、出入国管理統計によると52万人です。当時のヨーロッパの感染率は0.2%ほどで、単純計算だと52万人×0.2%=約1,000人が感染していたことになります。旅行者やビジネスパーソンの多くは都市部に滞在していたはずです。日本と同じで、どの国でも都市部の感染率は平均の何倍にもなります。感染者は1,000人より多い2,000~3,000人になっても不思議ではありません。なお、なぜこの人数が妥当なのかは後述します。*2

その後、4月3日に水際対策が大幅に強化されることになり、そのチームの一員として3月28日に自衛隊が出動することになりました。効果はてきめんで、出動後の28日からは、空港検疫でのPCR検査の陽性者数が急増していることがわかります。

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謎なのは、3月17日に専門家委員会から厚労省へ水際対策(PCR検査)の要望があったのに、2日後の3月19日の提言にはほとんど何も書かれていないことです。また、4月3日に水際対策が強化される直前である4月1日の提言では、海外からの輸入が疑われる感染者について「直近はやや減少に転じている」と事実に反するようなことが書かれているのです。

そのせいなのか、3月28日の自衛隊の出動は、厚労省からの依頼ではなく、防衛省が「自主派遣」したという形を取っています。

○3月末の感染爆発から5月末の収束まで

3月に2,000~3,000人の無症状者がノーチェックで入国すると、当然ながら何日か後に感染が爆発します。ここで気を付けないといけないのは、感染から発症まで平均5日、最終的に自治体に報告されるまでには約2週間が必要なことです。

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実際にデータを調べると、報告日ベースでの感染のピークは、入国制限措置が強化された3月末から2週間後の4月中旬で、予想とほぼ一致しているのです。

それだけではありません。感染者数は4月中旬から急速に減少していきます。シミュレーションの結果、現実のデータと一致する実効再生産数Rtは0.8、帰国者の感染者は2,000人~3,000人となりました。これは、第2波の感染者が約1万5,000人であることとほぼ一致します。*3

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新型コロナの感染のピークはなぜ3月末なのか、そしてなぜ急速に収束しつつあるのか。その理由は、3月28日に自衛隊が出動し、4月3日に水際対策が大幅に強化されたためと言っていいのではないでしょうか。

【注記】

*1 緊急事態宣言が発出された4月7日前後には、実行再生産数Rtに変化は見られません。このことは、この宣言の効果がほとんどなかったことを示唆しています。

*2 第2波の主な感染者源を邦人帰国者とした場合、各地域の入国者数と感染者数は比例するはずです。3月の東京圏、大阪圏、名古屋圏のデータを比較したところ、入国者数と感染者数の比率の違いは1.5倍程度なので、この推測は妥当と考えられます。

*3 実効再生産Rtが実測値である0.8とすると、2次感染者は0.8人、3次感染者は0.8×0.8=0.64人…になるので、結局1人の感染者から新たに5人が感染することになります。3月末以降の第2波の感染者は約1万5,000人なので、2,500人の感染者が帰国したとすると、ほぼ現実の数値と一致します。
→新たに感染するのは「4人」の間違いでした[あせあせ(飛び散る汗)]

【2020.6.14補足】

この論考は、結構な反響があったようで、その後には押谷仁氏や西浦博氏の記事にも「海外流入」が反映されました。

《押谷仁氏の記事》
・外交 Vol.61 Jun/May 2020
 感染症対策「森を見る」思考を―何が日本と欧米を分けたのか
→海外からの流入は1000~2000人(3月19日の専門家会議の資料や西浦氏のデータでは300人程度)
 
《西浦博氏について記事》
・NHKニュース 6月2日
 感染者1日10人の入国で3か月後に大規模流行
・中央公論 2020年7月号
 「8割おじさん」のクラスター対策班戦記【前編】~ 厚労省のビルから北大の研究室に戻るにあたり伝えたいこと
 「8割おじさん」のクラスター対策班戦記【後編】~次の大規模流行に備え、どうしても伝えたいこと

中央公論 2020年 07 月号 [雑誌]

中央公論 2020年 07 月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: 雑誌

・m3.com 2020年6月2日
西浦教授の特別講義「入国制限緩和のリスク、シミュレーション」
パンデミック中の国際移動について皆で考えよう◆Vol.1

まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

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新型コロナは沈静化しつつある!?【アゴラに掲載】 [新型コロナ]

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アゴラさんのご厚意で、拙稿を掲載していただきました。
たまたま時機を時機を得たせいか、最初の2件は1位、1件は2位になったのは驚きです。
特に、2番目の6月1日の記事については、はてブが449件にまで行きました。
大変ありがとうございます。

1. 5月28日 新型コロナ 感染のピークはなぜ3月末なのか
2. 6月 1日 新型コロナ 西浦氏の「42万人死亡」はなぜ間違ったのか
3. 6月11日 新型コロナ 西浦氏はなぜ「500倍おじさん」になったのか 

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はてブのコメントを見ると面白いのですが、2番目の6月1日の記事で西浦氏を批判したところ、ものすごい反発だったのですが、3番目の6月10日にはほとんど反応がないことです。
6月1日に批判はタブーだったのが、6月10日には常識になってしまったということなのでしょう。

この時期には、マスコミにはそういう話題が見なかったので、アゴラをはじめとするネット世論が世間を動かしたとしか考えられません。
こういうシリアスな議論だと、マスを相手するマスコミではマーケット的に成り立たないのかな?

PS Special thanks to ひできさん!!
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