SSブログ

なぜ心理学の性格検査で血液型の差が出ないのか【追記あり】

いろいろ調べてみましたが、ほぼ結論が出ました。

主要5因子性格検査ハンドブック 三訂版: 性格測定の基礎から主要5因子の世界へ (単行本)

主要5因子性格検査ハンドブック 三訂版: 性格測定の基礎から主要5因子の世界へ (単行本)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/04/03
  • メディア: 大型本

1. 血液型で差が出るような質問項目がない

性格検査の質目項目は、原則として非公開なのですが、例外的に論文に載っている場合があります。
たとえば、この論文では全60項目が掲載されていますが、差が出そうなのは「神経質」「几帳面」「自己中心的」の3つぐらいしかないようです…。[バッド(下向き矢印)]

2. 心理学の性格モデルは完成度が低い

心理学の性格モデルは、どれも30年ぐらい前までに作られています。
代表的な心理学の性格検査について、モデル作成に使った被験者数を調べてみたところ、ほとんどが「1000人」程度かそれ以下でした…。
私の分析したデータは、ざっくり「30万人」(延人数)ですから、少なくとも「2桁」は違うのです。
つまり、おかしいのは心理学の性格モデルであって、血液型が間違っているのではありません。
昔は紙の調査用紙しか使えないので、シコシコと汎用機や16ビットパソコンで分析したのでしょうから、数百人が限界だったのでしょうね…。

次は、私が調べた例です。

○Big Five
Goldberg L. R. (1990年)
An Alternative "Description of Personality": The Big-Five Factor Structure
→大学生187人

○Big Five (NEO-PI-R)
Piedmont R. L., McCrae R. R., Costa P. T. (1987年)
Adjective Check List Scales and the Five-Factor Model
→大学生414+ボランティア445人

○同上
McCrae R. R., Costa P. T. (1987年)
Validation of the five-factor model of personality across instruments and observers
→738人の他者評定+成人275人

○日本語版Big Five
和田さゆり (1996年) 
性格特性用語を用いたBig Five尺度の作成
→大学生583人

○本家TPQ
Cloninger C. R. (1986年)
A unified biosocial theory of personality and its role in the development of anxiety states - Psychiatric developments, 1986
→不明?

○本家TCI
Cloninger C. R. (1987年)
A Systematic Method for Clinical Description and Classification of Personality Variants : A Proposal
→大学2年生101人

○日本語版TPQ
竹内美香, 吉野相英, 大野裕, 加藤元一郎, 北村俊則 (1992年)
Cloningerの3次元人格(TPQ)理論および日本語版 Tridimensional Personality Questionnaire (TPQ). 精神科診断学, 3;491-505, 1992.
→大学生450人

○日本語版TCI
木島伸彦,斎藤令衣,鈴木美香,吉野相英,大野裕,加藤元一郎,北村俊則 1996年
Cloningerの気質と性格の7因子モデルおよび日本語版 Temperament and Character Inventory (TCI). 精神科診断学, 7; 379-399, 1996.
→大学生395人+377人、一般555人

もっとも、心理学者はこんなことは絶対認めないでしょうね…[たらーっ(汗)]

【追記】

具体的に何が違うかというと、例えば1985年当時の世界最速のスーパーコンピューター(CRAY-2)での計算速度は1.9GFLOPS(1秒間に19億回の浮動小数点演算)ですが、現在の少しいいCPU(たとえばRyzen 5 4500U)だと316.9GFLPSだから、単純計算で「150倍速」になります。

つまり、30年前の「スーパーコンピューター」より現在の「パソコン」の方が全然速いわけです[パンチ]

参考までに、現在世界最速のスーパーコンピューター富岳は415.53PFLOPS(1秒間に41京回の浮動小数点演算)だから、1985年当時と比べると「2億倍」速くなったことになります[exclamation×2]

このように、技術の急速な進歩で、昔は到底不可能だったことも簡単にできるようになりました。たとえば、数千人程度のデータなら、普通のパソコンだって、血液型と年齢や性別の相互作用まで楽々分析できてしまいます。もちろん、一昔前はそんなことは極めて困難でした(絶対にできないとは言いませんが…)。

また、インターネット調査だと、少し奮発すれば数千人のデータも入手可能ですし、(普通の統計パッケージでは不可能な非線形モデルなどの)AIを使った分析でもAWSで数千円もあれば手軽にできます。
ということですから、はっきり言って、心理学の性格モデルは世の中の動きから相当遅れている言っていいでしょう…[たらーっ(汗)]

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント