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新型コロナは沈静化しつつある!?【5月4日・クラスター対策は実行不可能だった?】《追記あり》 [新型コロナ]

virus_corona.png

前回の記事の補足です。

クラスター対策は有効ですが、人材が不足している現状では、残念ながら実行不可能です。※2020.5.4 16:30追記

現在、政府の新型コロナ対策の中枢を担っているのは専門家会議です。
そして、中でも超有名な西浦博氏がメンバーの「クラスター対策班」でしょう。

では、改めて質問しますが、クラスターって何でしょう?
正直に白状すると、私もこの記事を書くまでは正確に理解していませんでした…。[たらーっ(汗)]

英語のクラスターは、日本語に直訳すると「集団」です。
平たく言うと、集団感染を防ぐことが最も効果的な予防策ということになります。
この集団感染を防ぐために、「3密」(密閉空間、密集場所、密接場面)を控えることや、「ソーシャルディスタンス」を守ることが求められています。
3密というキーワードは覚えやすいし、自分が何をすればいいのか直感的にわかるので、やはりネーミングは大事ですよね。

ですが…この解説は半分正しく、半分間違っているのです。

クラスターの厚生省の解説はこちらです。
corona110.JPG
ただ、この図は正確なのですが、イマイチわかりにくいです。

そこで、もう少し簡単にわかる説明がないのか探してみました。
私のおすすめは、専門家会議の尾身茂副座長のインタビュー記事です。

なぜ今回のコロナの新型肺炎で「クラスター」という言葉を使っているかというと、こういうことです。

インフルエンザとの違い「クラスター」とは

ここに感染した人が5人いたとします。このウイルスは不思議なことに、5人全員感染したんだけれど、そのうち4人は、濃厚接触の方がいても感染させないんです。人に感染させるのは、5人のうちの1人だけ。これがインフルエンザの場合は、5人が感染すると、それぞれが1人とか、2人いかないくらいの人に感染させるんですけど、今回のコロナは、5人のうち4人は、自分は感染しても近くにいる人にうつさない。

ただ、そのうちの1人が例えば飲み会とか、ライブハウスなど、私どもが挙げた3つの条件、腕が届く距離に長くいたり、複数の人がいるところ、換気の悪い密閉空間に行くと、そこでいわゆる集団感染、つまり、クラスター感染が起きます。そして、またそこで感染した5人のうちの1人が次にまたどこかに行って集団感染を起こす――こういうクラスター(集団)を介して感染が広がるという特徴があります。

インフルエンザの場合は感染した1人ひとりが少しずつ広げるんですけど、コロナウイルスの場合は他の人にうつすのは5人のうち1人だけ。でも、その人が1人どころか何人もの人に広げてしまう。そういう理由があるので、対策の要諦は、このクラスター感染の連鎖をどこで断ち切るかということだと思います。

新型コロナもインフルエンザも風邪の一種ですが、今回は「集団感染の予防=クラスター対策」が極めて効果的ということになります。
なるほど、「8割削減」が必要なわけで、とても腑に落ちました。

ただ、この記事には少々気になる点もあります。
現実に、(相当複雑と思われる)クラスター対策を実行するのは誰かということです。
私のような素人では絶対に無理ですが、おそらく経験を積んだ専門家じゃないと無理でしょう…。
マニュアルによる対応も期待できそうもありませんし、かといって即戦力となる人材も非常に限られるのではないかと思われます。

次の3/20の朝日新聞の記事がわかりやすいです。

クラスター対策、日本に足りない指揮官 専門家会議指摘
厚生労働省は先月、クラスター対策班を組織したが、専門家会議は「対策を指揮できる専門家が少ない」と指摘。調査を担う各地の保健所では通常の業務に加えて、感染が疑われる人の電話対応や、感染拡大に備えた医療機関の受け入れ態勢の整備にも追われる。「クラスター対策に人員を割けない」とし、人材確保や保健所への予算投入などを国に要望した。

もっとも、感染が小規模に収まっているうちなら、現在の体制でも十分対応できるかもしれません。
現実に、中国からの第一波では、この作戦は大成功を収め、感染は終息に向かいました。

これで、ちきりんさんのつぶやきのように

「今がまさに正念場!」 「ここさえ乗り切れば!」 「いま我慢することが将来につながる!」 的なことを、何週間も何ヶ月も言い続けてたら、普通に信頼されなくなるよね。 政府も専門家もNHKも学校の先生も。

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なぜ、専門家がそう言わざるえなかったのか、とてもよくわかります。

本当はこれでハッピーエンドになるはずでした。

しかし、イヤなことですが、仮に感染が大規模に爆発したらどうなるでしょう?
考えるまでもなく、人材が最大のボトルネックとなるので、クラスター対策はほとんど不可能です。

残念なことに、3月にヨーロッパからの強力な第二波が襲来し、悪夢が現実のものとなりました。

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出所:私のツイート

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出所:専門家会議 新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(5月1日)

このグラフの赤の部分がクラスター対策が不可能な「孤発例」で、3月下旬には実質的に対応が困難になったことがわかります。

では、効果的なクラスター対策が実施できない場合は、いったいどうすればいいのでしょう?
正直な人なら、この作戦は実施部隊の人数が不足しているので不可能です、と報告するかもしれません。

しかし、これでは全面的な自己否定になりますし、専門家が役に立たないことも証明してしまいます。
責任感が極めて強い人なら、「あらゆる可能な手段を使って、何がなんでもやり遂げる」と言うかもしれません。

私は、これが西浦氏の4/3に唐突に発表した「42万人死亡説」の動機でないかと思っています。
彼の動機は非常に純粋で、おそらく専門家として最大限の責任を果たそうとしたのでしょう。

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出所:時事通信 4月3日付
新型コロナ、厳格な外出制限を 接触8割減で急速に減少―北大教授が試算

そして、もう一つの謎も解けます。
多くの人が指摘しているように、42万人もが死亡するとされる数理モデルの根拠は、まだ何も示されていないのです。
例えば、池田信夫氏は、

corona113.JPG
出所:池田信夫氏のツイート

と主張しています。

具体的な数値もグラフも出しているのに、その科学的な根拠を公開しないなんてことはあり得ません。
念のため、彼は日本でほぼ唯一の感染症の数理モデルの専門家です。
言い換えば、モデルを出せない可能性はゼロです。

しかし、強い責任感で「ありとあらゆる可能な手段を使って、何がなんでもクラスター対策をやり遂げる」と考えているとすると、この謎は氷解します。
彼が使った(と思われる)SIRモデルは、少数の感染源から感染が拡大するという「閉鎖的」な環境を想定しています。
ですから、大量の邦人帰国者を経由して、ヨーロッパから強烈な第二波が襲来するといった、現実の日本の「開放的」な環境には適用できないのです。
感染症の数理モデルの専門家が、この素人の私でもわかる単純なことが理解できないはずはないでしょう。

ただ、この数理モデルを公開してしまうと、「42万人死亡説」の根拠は簡単に崩れてしまい、究極の目的であるクラスター対策をやり遂げることが不可能になります。
そこで、42万人が死亡とする根拠はとりあえず封印し、国民を説得するためのプレゼンに最大限注力するという「賭け」に出た、ということなのではないでしょうか?
確かに、この賭けは「緊急事態宣言」という形で成功しました。

西浦氏の本心は、

この賭けは必ず成功する。
仮に部分的な成功でも効果は必ず上がる。
国民はきっと私の正しさを理解してくる…ということなのかもしれません。

以上はあくまでも私の推測ですが、こう考えると西浦氏の行動が理解出来ることは確かです。

【参考】
倉本圭造氏の記事 2020年04月26日 06:00付
3月上旬の超優秀だったコロナ対策会議に戻ってほしい

3月中旬までの成功」と「それ以降の失敗」は表裏一体で、単純に「失敗」部分だけを見て「バカだねえ」というだけでは改善できない課題がある

【追記 2020.5.4 16:30】
西浦氏は、おそらく彼のモデルを公開しないと思います。

実際に計算すると、R=2.5でも3月末のあの勢いでは増加しません(笑)。たかが1万人程度の感染で集団免疫が成立して、自然に感染者が激減するはずもありません。もう無茶苦茶で、SIRモデルは完全に破綻しているのです。データをいじってみるとわかりますよ。

数理モデルの専門家である西浦氏が、こんな単純なことがわからないはずがないです。なので、彼は絶対モデルを公開しないと信じています(笑)。

corona114.JPG
出所:私のツイート

訂正:「実際に計算すると、R=2.5でも3月末のあの勢いでは増加しません」は必ずも正しくなく、パラメーターの設定によっては増加する場合もあります。(2020.5.5 15:00)
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