SSブログ

現代日本人が縄文人から受け継いだDNAはほぼ半分 [ゲノム解析で古代史]

前回の続きです。

2019年に、国立科学博物館から「東京在住者に代表される本土日本人のゲノムの約10%が縄文人に由来すると推定できた」という研究結果が発表されました。
この研究で使った「IBD断片長」はあまり聞き慣れない用語なので、ちょっと調べてみました。

英語版Wikipediaの該当部分

Identity by descent
Therefore, the expected length of an IBD segment depends on the number of generations since the most recent common ancestor at the locus of the segment. The length of IBD segments that result from a common ancestor n generations in the past (therefore involving 2n meiosis) is exponentially distributed with mean 1/(2n) Morgans (M).
よって、IBDセグメントの予想される長さは、セグメントの場所にある最新の共通祖先以降の世代数によって異なります。過去の共通の祖先n世代(したがって2n減数分裂を含む)から生じるIBDセグメントの長さは、平均1/(2n)モルガン(M)で指数分布します。

実際にも、縄文人のように数千年前のゲノム解析をすると、DNAが相当断片化していることがわかります。
次はYouTubeで公開されたそのデータです。

FKUu0m0UcAQqJQ-.jpg
出典 DNAからみた弥生時代人ㅣ神澤秀明 博士(日本 國立科學博物館)

なお、ヒトゲノムは4702cMとなります。

縄文人の1世代を20年と仮定し、6000年前(300世代前)のDNAがどのぐらい断片化するのか、実際の数値を入れて試算してみました。

ヒトゲノムは23本の染色体2組の計46本で構成されており、1世代だと平均して4702cM=47回組み替えが起こることになります。ヒトゲノムの遺伝子は約20,000個ですから、単純計算では300世代で47回の300倍の2倍=28,200回組み替えが起こるはずです。つまり、ほとんど断片化するということです。

なお、Wikipediaに書いてあるとおりの指数分布((20000-47)/20000)^600で試算すると、結果の数値は24.4%になりますが、組み替えが起きやすい場所とそうでない場所があるので、この数値はあくまで目安です。

以上のことから、テキトーに計算すると、現代人が100%縄文人のDNAを受け継いでいるとしても、6000年後のIBD断片長の一致率は24.4%にまで低下します。次の主成分分析によると、現代日本人DNAのうち縄文人のDNAの占める割合は50%程度ですから(混血度は各グループからの距離に比例するため)、IBD断片長の一致率が今回の試算値20%強のほぼ半分の10%なら、ちょうど計算が合うことになります。

Janghang.jpg
出典 DNAからみた縄文人ㅣ神澤秀明 博士(日本 國立科學博物館)

これらの結果は、次のY遺伝子の解析結果ともほぼ一致しますし、前述のYouTubeの断片化の図とも整合性があります。

ohashi002.png
出典 2019年の東大の研究

細かいことをいうと、分析対象の各DNAに全く関係なくとも「たまたま」IBD断片長が一致するケースもあるはずで、それは前述のYouTubeでも確認できます。

国立科学博物館は大丈夫なのかな~[たらーっ(汗)]

余談ですが、言語はY遺伝子とだいたい連動するようなので(アメリカ大陸が典型…)、日本語と韓国語が相当違う理由は、言語学的にもうまく説明できるようです。

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント