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「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」の科学性評定 [Gijika.com]

ちょっと予定を変更して「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」について書くことにします。
当然のことながら、血液型も取り上げられています。[ひらめき]

○血液型性格診断
[http://www.sciencecomlabo.jp/fortune-telling/blood_type.html]

このサイトを管理しているのは明治大学科学コミニュケーションの研究所で、総括管理者である石川幹人教授の書いた本は面白くてオススメです。例えば、「人は感情によって進化した」では、人間の感情は淘汰圧によって進化した…という話です。

人は感情によって進化した (ディスカヴァー携書)

人は感情によって進化した (ディスカヴァー携書)

  • 作者: 石川 幹人
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2011/06/16
  • メディア: 新書

が、しかし、このサイト悪評サクサクです。一体誰が管理してるんでしょうか?
大学院生の文章としてはレベルが低すぎるので、卒論代わりにゼミ生でも書いてるのかな?
指導教官は放任しないで、最低限は指導した方がいいのでは、と(余計な?)心配をするのは私だけではないでしょう。

やはり、そう思うのは私だけではないようで、検索すると、

○shinzorの日記
「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」で気になったこと
[http://d.hatena.ne.jp/shinzor/20150202/1422866445]
○Interdisciplinary
「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」について
[http://d.hatena.ne.jp/ublftbo/20150131]
がヒットしました。言葉は穏やかですが、よく読んでみると内容は結構辛辣です。

余談ですが、後者では以前は血液型と性格の(統計的)関係を一切認めていなかったものが、「現時点における評価は、評価:ABO式血液型と性格の関連は弱い」となっていて、いつのまにか関係性を認めてしまっているのには少々驚きました。 [http://d.hatena.ne.jp/ublftbo/20150202]

では、本題へ。

血液型性格診断のところを読んでみました。
が、ムッとするより、あまりにも不可思議な文章に笑い出してしまいました。
事実誤認もヒドイのですが、とにかくロジカルシンキングが全くなってないないのです。

ツッコミどころが多すぎるので、代表的なところをいくつか取り上げます。

○血液型性格診断の冒頭
血液型性格診断言説では、上記の血液型[ABO式血液型]の4区分を元に、客観的に判別可能なまでにヒトの性格や相性まで見分けることができると主張している。
○データの透明性 (中)
血液型性格診断におけるデータの再現性で特筆すべきことは、この主張が「どの程度の診断が行えるか」を明言してないことである。

まず、ここで笑い出してしまいました。
仮に同じ人が書いているとするなら、その人の日本語能力が疑われるでしょう。最近の明治大学はかなり偏差値が高いらしいのですが…まぁ、どの大学でもいろんな学生がいるものです。
もっとも、文章の印象からすると、たぶん同じ学生が書いたんでしょう。この学生は社会に出てから大丈夫なんでしょうか?それに、科研費でやっているのに、誰もチェックしなかったんでしょうか…。
いやはやどうも。[たらーっ(汗)]

○データの再現性 (低)
血液型と疾患といった前項にて言及した研究にまで評定範囲を広げたとしても、それらもまだまだデータ不足であり現在のところ再現性が高いと評価できるものではない。
○将来の予測性 (中)
たとえば「コホート研究」といった疫学において信頼性の高い研究方法から、血液型による膵臓がんリスクの違いといった発表もされており、この点では予測性は高いと評価できる。

ここでも腹を抱えて笑ってしまいました。
いや、本当は笑ってはいけないのかもしれませんが。

といったように、少し読むだけでも間違いだらけです。
細かいことを言えば山ほどありますが、キリがないので、次は事実誤認をちょっと取り上げます。

○データの透明性 (中)
能見氏の著書である「血液型人間学」や「ABOの会」の主張において、一万人規模のアンケート調査にて統計的有意差が出たとの報告もある
○社会での公共性 (低)
利害関係のない公共性の高い研究においては、血液型性格診断はたびたび否定されており、肯定派において同様の水準に達している研究報告は現在のところない。

これは気持ちはわかるのですが、残念ながら事実ではありません。
しかも、ご丁寧に「一万人規模のアンケート調査」かつ「利害関係のない公共性の高い研究」で「統計的な有意差が出た研究」が参考文献として紹介されています。[たらーっ(汗)]
次がその該当部分です。
This indicates that blood-typical personality stereotypes actually influenced the personalities - self-reported personalities, at least - of individuals, and that they also operated as a self-fulfilling prophecy, although the greatness of that influence could be discussed.
このことは、血液型ステレオタイプは現実に個人の性格に影響していることを示している―少なくとも自己報告の性格では―そしてそれらは自己成就によるものであるが、影響の程度については議論が必要である。
「Blood-typical personality stereotypes and self-fulfilling prophecy」Sakamoto, A., Yamazaki, K.(2004)
この坂元さんのデータは3万人超の日本人ですので、「統計的に有意差が出た」ことは実証されたことになります。
#そんなに難しい英語でもないのですが、ひょっとしてこの文献のabstractも読んでないんでしょうか?
【追記】
ところで、この文献では統計的な差は「自己成就」によるものとされていますが、これは直接的に証明されたものではありません。言い換えれば推測ということです。同様に、後述の2つ論文でも直接的な証明ではありません。私が知る限り、「自己成就」(=思い込み)が存在するかどうかを直接的に検証したのは、金澤正由樹さんの『統計でわかる血液型人間学入門』だけで、彼によると統計的な差は「本当の差」であり「自己成就」ではないとされています。
統計でわかる 血液型人間学入門

統計でわかる 血液型人間学入門

  • 作者: 金澤 正由樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎ルネッサンス
  • 発売日: 2014/07/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
念のため、このサイトで別に紹介されている、『「血液型と性格の無関連性」縄田 健悟(2014)』についてですが、日米1万人超のサンプルに経済に関する質問をしたところ、統計的な差が出なかったというもの(この結果には疑問もありますが)ですし、日本人に限っては1万人未満ですから、「利害関係のない公共性の高い研究」としても、能見さんと比較するための「一万人規模のアンケート調査」というのはちょっと難しいのではないかと思います。

更におかしいのは、

○データの透明性 (中)
能見氏の著書である「血液型人間学」や「ABOの会」の主張において、一万人規模のアンケート調査にて統計的有意差が出たとの報告もあるが、「バーナム効果」「予言の自己成就」「確証バイアス」「F・B・I効果(フリーサイズ・ラベリング・インプリティング効果)」といった、心理学で広く知られた効果が排除された実験デザインがとられていないので、透明性は低いといえる。

とありますが、これらの効果を排除した心理学の研究は(私の知る限り)2つだけで、それらの研究報告はこのサイトには掲載されていません。
また、この2つは「一万人規模のアンケート調査」でもありません。つまり、「一万人規模のアンケート調査」かつ「利害関係のない公共性の高い研究」かつ「心理学で広く知られた効果が排除された実験デザイン」を満たす研究は(私の知る限り)存在しないのです。
少なくとも、このサイトの管理者は、どんな研究に基づいてそう判断したのか公表する義務があるでしょう。
#たぶん存在しないと思いますが…。
なお、この2つは、血液型と性格の常識(3)に紹介してあります。

閑話休題。

最近は、冒頭に紹介した「現時点における評価は、評価:ABO式血液型と性格の関連は弱い」という認識が疑似科学否定派に浸透してきたせいか、あからさまな血液型への批判は減ってきたように感じています。
#Googleで検索してもその傾向は顕著です。
ですで、このサイトは今では例外的と言っていいでしょう。が、「疑似科学否定」が目的というなら、誰にでも突っ込まれるような初歩的なミスは、さっさと修正してほしいものです。

ところで、私の経験だと、血液型と性格に「統計的な差はない」と主張した人が自ら間違いを認めたケースはほとんどなくなく、外圧でなし崩し的に「統計的な差はある」と認めた(いつのまに?)、そうでなければ「沈黙」や「回答拒否」という場合がほとんどです。
そういう意味では、STAP細胞事件、あるいは某大新聞の“捏造記事”と同じようなパターンなんでしょうかね。

最後に、この話題に関して、最近読んで面白かった本を紹介しておきます。
前者は、「湿潤療法」という、従来の医学常識をひっくり返す治療法を始めた筆者の経験を語っています。血液型とレベルは違いますが、新療法は(感覚的に?)受け付けないという周囲の反応パターンは、日本でも世界でも、今も昔もほとんど同じなのには今更ながら目を開かせられました。
後者については、書評はいくらでもあるので、わざわざ私がコメントする必要もないでしょう。
どちらも面白いので、疑似科学(批判)に興味がある人には興味深く読めると思います。


傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)

  • 作者: 夏井睦
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/06/20
  • メディア: 新書


捏造の科学者 STAP細胞事件

捏造の科学者 STAP細胞事件

  • 作者: 須田 桃子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/01/07
  • メディア: 単行本


【追記】

一応、次の内容で投稿しておきました。

疑似科学否定の活動お疲れ様です。
しかし、あまりにも初歩的なミスが多いので、早めに訂正された方がいいかと思い、老婆心ながらお知らせしておきます。
代表例です。
○血液型性格診断の冒頭
血液型性格診断言説では、上記の血液型[ABO式血液型]の4区分を元に、客観的に判別可能なまでにヒトの性格や相性まで見分けることができると主張している。
○データの透明性 (中)
血液型性格診断におけるデータの再現性で特筆すべきことは、この主張が「どの程度の診断が行えるか」を明言してないことである。
よろしくお願いします。
なお、詳細はブログにあります。
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2015-02-08

【追記2】

投稿から1時間足らずで掲載されました。
素早いレスポンスに感謝です。
ただ、肝心の内容はいつ訂正されるのでしょうか?

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コメント 2

ssfs

乙です。連続投稿にどれだけ対応できるかwktkです。たぶん無理ゲーでしょう。私自身はマイナスイオンに関するお粗末な見解を、ヤフー掲示板で取り上げていきます。
by ssfs (2015-02-10 02:13) 

ABOFAN

科研費をもらっているそうなので、当分は続けることになると思いますよ。
もっとも、あの運営体制はシステマチックとは思えません。
たぶん、毎日の対応は学生か院生で、たまに教師がチェックしているのではないでしょうか?
早朝も深夜も対応しているので、お疲れさんという感じです。
ちなみに、私への回答は、誰か教師に気に入らなかったので、速攻で削除されたのではないでしょうか?
その後は、回答は全くなしで掲載のみになりました。
by ABOFAN (2015-02-10 20:59) 

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