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福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書 [新刊情報]

福島原発事故独立検証委員会
福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書

福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書

  • 作者: 福島原発事故独立検証委員会
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2012/03/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


400ページ余りの労作です。
真実を知りたいので、早速入手してみました。
私は最初の予約分を運良く買えたのですが、現在は売り切れて予約待ちのようです。
【H24.3.18追記】
3月17日には、大幅増刷となったようで、地元の本屋で山積みになっていました。
電子書籍でも、大手ストアで入手可能のようです。

実際に本を読んでみたところ、マスコミで紹介された内容とは全然違うのでビックリしました。
やはり、原典を読まないとダメですね。

日本再建イニシアティブ
http://rebuildjpn.org/

私が知りたいのは、

1. 事故(メルトダウンや爆発)はなぜ起こったのか?
2. 東電がうまく対応すれば事故の防止は可能だったのか?
3. 菅首相の指示・命令はどのような影響があったのか?

ですが、普通の人もそうでしょう。
政府の事故調査・検証委員会の報告書(こちらも500ページ以上!)とどこがどう違うか比べれば、少しは真実に近づけるかと思ったのですが…。

結論を言うと、わからないことがわかりました。[がく~(落胆した顔)]

実は、この報告書と政府の事故調査・検証委員会の報告書には、肝心のことが非常にわかりにくいのです。
まず、1と2は、まだ結論が出ていません。
そして3は、菅首相がどんな指示をしたのか公開されていないのでわかりません。
信じられないことですが、これは事実です[たらーっ(汗)]

つまり、わからないことがわかったということになります。
逆に、いかにもわかったようなことを言っている人は、ウソツキということになります。
全く酷い話です。

42ページ
事故後のオンサイトの活動の中には、安全に関する考え方に照らし合わせて、知識や発想が不十分であった可能性がある判断が、いくつか見られる。例えば、1号機ICと3号機HPCIの使用に関する判断である。また、2号機と3号機については、炉心の冷却より原子炉格納容器の保護を優先した傾向が見られるが、これらが正しい判断であったかどうかは、今後、検証されるべきである。
では、政府の報告書はどうかというと、

東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会
http://icanps.go.jp/

この中間報告を読んでみました。

中間報告(概要)
http://icanps.go.jp/111226HonbunGaitou.pdf

4 福島第一原発における事故後の対応に関する問題点
(1)1号機のICの作動状態の誤認 【Ⅳ章3(1)、Ⅶ章4(1)】
かかる経緯を見る限り、当直のみならず、発電所対策本部ひいては本店対策本部に至るまで、ICの機能等が十分理解されていたとは思われず、このような現状は、原子力事業者として極めて不適切であった。ICが機能不全に陥ったことから、1号機の冷却には一刻も早い代替注水が必須となり、加えて注水を可能とするための減圧操作等が必要となった。IC の作動状況の誤認は、代替注水や格納容器ベントの実施までに時間を要し、炉心冷却の遅れを生んだ大きな要因となったと考えられる。
福島原発事故独立検証委員会では、42ページに、
事故後のオンサイトの活動の中には、安全に関する考え方に照らし合わせて、知識や発想が不十分であった可能性がある判断が、いくつか見られる。例えば、1号機ICと3号機HPCIの使用に関する判断である。
とありますが、この内容が政府の報告書のことを指しているのかどうかはわかりません。
もし、そうだとすると政府とは正反対の見解ということになります。
私は、どちらが正しいのかはわかりません。

また、政府の報告書では、

4 福島第一原発における事故後の対応に関する問題点
(3)1号機及び3号機の原子炉建屋における爆発との関係 【Ⅳ章4(1)、(2)、
Ⅶ章4(3)】
より早い段階で1号機及び3号機の減圧、代替注水作業を実施していた場合に原子炉建屋の爆発等を防止し得たか否かについては、現時点で評価することは困難である。
そして、福島原発事故独立検証委員会の報告書では、
また、2号機と3号機については、炉心の冷却より原子炉格納容器の保護を優先した傾向が見られるが、これらが正しい判断であったかどうかは、今後、検証されるべきである。
とあります。

『日経エレクトロニクス』(2012.3.5 続・福島原発事故の本質 メルトダウンに至った本当の理由)の記事では、早めに海水注入を行っていれば、メルトダウンや爆発事故が防げたという趣旨の指摘がありますが、たぶんのこのことを指しているのだと思います。

私は思わず目を疑いましたが、両方の報告書で結論が出ていないことは事実です。
つまり、
1. 事故(メルトダウンや爆発)はなぜ起こったのか?
2. 東電がうまく対応すれば事故の防止は可能だったのか?
は、現時点ではわからない、ということです。
え~~~~っ[たらーっ(汗)]

次に、
3. 菅首相の指示・命令はどのような影響があったのか?
ですが、政府の報告書では、明確な記述はないようです。
『日経エレクトロニクス』によると、菅首相がどんな指示・命令をしたのかは、守秘義務があるので(政府の調査委員会以外の)部外者に喋ってはいけないことになっているそうです。
当然のことながら、独立検証委員会の報告書では、伝聞情報が書いてあるだけです。
この報告書で、守秘義務があると明記していないのはどうかと思います。
#よく読むと、どこかに書いてあるのかもしれませんが…。
ですので、わからない、というのが現在では正しい(公式)見解ということになります。
となると、独立検証委員会が政府の責任についてあれこれ言うのは、時期尚早ということでしょうか?

分厚い報告書を2冊読んで、そんなのってありなの?というのが率直な感想です。
こんなことで、本当に日本の原子力の安全が守れるんでしょうか?

念のため、私はどちらかというと、原子力推進派です。
推進派の立場からすると、肝心の情報が非公開というのは、全く逆効果です!
全情報を無条件で公開することは非現実的とは思いますが、この状態では国民に不信感を与えるだけソンというしかありません。
政府や東電は、本気で原子力を推進したいのか、心配になってきました。
これでは、福島県民をはじめ、被害者に顔向けできません。
今からでもいいから、本当に国民のためを思って、どうか全力で頑張ってほしいものです!
心からそう思います。
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