週刊ポスト A、B、O、AB…血液型別「かかりやすい病気」が明らかに【追記あり】 [新聞・雑誌]
週刊ポスト2018年9月21・28日号に、こんな記事が掲載されました。
A、B、O、AB…血液型別「かかりやすい病気」が明らかに
全体としてはわかりやすい内容なのですが、少々気になる点もあります。
たとえば、
出所:この記事
しかし、医師で疑似科学を痛烈に批判しているNATROMさんは、かつて「血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものはない」とこれとは正反対の主張をしていました。
本当はどうなんでしょう?
おそらくは、時期が新しいこの週刊ポストの記事が正しいのでしょう。
このように、10年程度で医学の「科学的」な定説が全く反対になることもあります。それを「疑似科学批判者」が実証しているという実に皮肉な結果となっているのです。
と主張しているとあります。
ソースが判然としませんが、仮に2014年7月19日の「読売新聞」に取り上げられた心理学論文「血液型と性格の無関連性」だとすると、唯一妥当な結論は真逆で、血液型と性格には「関連性がある」となります。
この心理学論文の論旨を簡単に紹介しておくと、日米の約1万人を対象にしたアンケート調査のデータを解析したところ、全68項目中血液型との関連が見られたのは3項目だけで、その3項目も極めて差が小さいことから、実質的に血液型と性格は無関連であるというものです。
しかし、この結論は間違っています。
なぜなら、この論文のサンプル約1万人を大幅に上回る、日本人約3万人のデータで「関連あり」という研究がこの論文中でも紹介されているからです。
それだけではなく、現在ではこの「血液型と性格の無関連性」に比べてサンプルと調査年数が1桁上回るとされる科研費報告書も公開されています。
次はその内容の抜粋です。
出所:武藤 浩二、長島 雅裕ほか 教員養成課程における科学リテラシー構築に向けた疑似科学の実証的批判的研究
つまり「血液型と性格が関連しない」は明らかに間違いということになります!
ここでも、医学の従来の「科学的」な定説が見事に覆されてしまいました。
また、この記事には中川恵一医師の見解として、
とありますが、こうなると現在の医学で「科学的」とされる見解が本当に将来も正しいのか、かなり疑問になってきますよね。
【2018.9.15追記】
Yahoo!ニュースには、不思議なことに9/12付けと9/14付けの2つのバージョンが存在しています。
目立つ違いは、前者にあった「血液型と性格は関係ない」という記述が、なぜか後者ではなくなっていることです。はて?
A、B、O、AB…血液型別「かかりやすい病気」が明らかに
血液型と言えば、日本では「性格診断」や「占い」のイメージが強い。だが、海外の医療機関では、血液型によって「病気リスク」が変わるという相関関係が最新研究によって明らかにされつつある。東京大学医学部付属病院放射線科准教授の中川恵一医師が指摘する。…
全体としてはわかりやすい内容なのですが、少々気になる点もあります。
たとえば、
欧米では30~40年にわたって蓄積された患者の個人データを駆使した最新の研究により、血液型によって病気の発症リスクが異なることが明らかになりつつあります。
出所:この記事
しかし、医師で疑似科学を痛烈に批判しているNATROMさんは、かつて「血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものはない」とこれとは正反対の主張をしていました。
ヒトゲノム計画が終了しつつある2000年に、Natureに掲載された総説*2にはこうある
(中略)
要約すれば、胃腸管に関するいくつかの形質に弱い相関が認められる以外には、血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものはないということである。
*2:Risch NJ. Searching for genetic determinants in the new millennium. Nature. 405(6788):847-56, 2000
本当はどうなんでしょう?
おそらくは、時期が新しいこの週刊ポストの記事が正しいのでしょう。
このように、10年程度で医学の「科学的」な定説が全く反対になることもあります。それを「疑似科学批判者」が実証しているという実に皮肉な結果となっているのです。
ついでに、記事中で中川医師は、
日本人は『血液型性格分類』が大好きですが、すでに大規模調査によって、血液型と性格が関連しないことは科学的に証明されている。
と主張しているとあります。
ソースが判然としませんが、仮に2014年7月19日の「読売新聞」に取り上げられた心理学論文「血液型と性格の無関連性」だとすると、唯一妥当な結論は真逆で、血液型と性格には「関連性がある」となります。
この心理学論文の論旨を簡単に紹介しておくと、日米の約1万人を対象にしたアンケート調査のデータを解析したところ、全68項目中血液型との関連が見られたのは3項目だけで、その3項目も極めて差が小さいことから、実質的に血液型と性格は無関連であるというものです。
しかし、この結論は間違っています。
なぜなら、この論文のサンプル約1万人を大幅に上回る、日本人約3万人のデータで「関連あり」という研究がこの論文中でも紹介されているからです。
それだけではなく、現在ではこの「血液型と性格の無関連性」に比べてサンプルと調査年数が1桁上回るとされる科研費報告書も公開されています。
次はその内容の抜粋です。
血液型と性格に関する解析では、過去の[血液型による差が出ている]研究結果を拡張することができたとともに、21世紀以降のデータでは、安定して血液型ごとに性格の自己申告について有意な差が出ることが判明した。
血液型による違いが統計的に明確に有意であることが示された。
出所:武藤 浩二、長島 雅裕ほか 教員養成課程における科学リテラシー構築に向けた疑似科学の実証的批判的研究
つまり「血液型と性格が関連しない」は明らかに間違いということになります!
ここでも、医学の従来の「科学的」な定説が見事に覆されてしまいました。
また、この記事には中川恵一医師の見解として、
日本では“性格との相関”ばかりに関心が集まり、世界の研究とは別の方向にベクトルが向いてしまったと思います。
とありますが、こうなると現在の医学で「科学的」とされる見解が本当に将来も正しいのか、かなり疑問になってきますよね。
【2018.9.15追記】
Yahoo!ニュースには、不思議なことに9/12付けと9/14付けの2つのバージョンが存在しています。
目立つ違いは、前者にあった「血液型と性格は関係ない」という記述が、なぜか後者ではなくなっていることです。はて?
2018-09-12 22:54
コメント(1)
がん細胞にはA型抗原を発現するものがあるそうです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sbk1951/35/6/35_6_421/_pdf
そう考えると、B型とO型の人は抗A抗体をもっていて、A型抗原をもつがんを異物として攻撃できるので、がんのリスクがA型やAB型の人より低いそうです。
血液型とがんの関係の今後の研究が楽しみです。
by グリーン (2023-08-30 20:38)