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血液型と性格の常識(11)

数字を2回も間違えたので、改めてこちらに訂正版として書き直しました。[ふらふら]

前回(10)からの続きです。

今回は、熟知度と確信度が上がったのに、逆に回答率の差が減ったという話です。
差が「思い込み」であるとするなら、こんなことは絶対にない…ということになります。
#こんなに簡単に解決するとは思ってませんでした。[るんるん]

では、まず結論から…。
現実のデータを分析すると、2004年にテレビ[TV]で血液型番組が毎日のように放映され、熟知度・確信度が高くなっても、回答は意外と影響されていないようです。
#逆に、差が減っているのかも…。
不思議というべきか、当然と言うべきか、微妙なところですね。

さて、山岡さんの論文には、
山岡(2001*1, 2006*2)が報告しているように,血液型性格判断はマスコミ情報に影響された思い込み,根拠をもたない俗信
出典:山岡重行「テレビ番組が増幅させる血液型差別」心理学ワールド 2011年1月号 52号 特集/偏見とステレオタイプの心理学 pp.8
出典(*1):山岡重行(2001)「血液型性格診断に見るダメな大人の思考法:思い込みと勘違いのメカニズム」ダメな大人にならないための心理学 ブレーン出版 pp.33-73.
山岡(1999)の熟知度・確信度と比較すると2005年の方が熟知度・確信度ともに高くなっていた(熟知度:.876,df=2660,p<.001;確信度:t=3.336,df=2660,p<.005)。やはり2004年度に放送された大量のTV番組が血液型性格診断の知識を普及させ、それが正しいと信じる人間を増大させたのである。
出典(*2):山岡重行(2006)「血液型性格項目の自己認知に及ぼす TV 番組視聴の効果」日本社会心理学会第47回大会発表論文集 pp.76-77.
とありますが、逆に高受容群(=熟知度・確信度が高い)でF検定で有意差が出た項目は1999年の15項目から2004&2005年の11項目へと減っています。
#大差はないと考えてもいいかもしれません。

【高受容群の有意差が出た項目数】
1999年 15項目(n=649 全体1300) … 高受容群の熟知度・確信度が
2004&2005年 11項目 (n=795 全体1362) … 高受容群の熟知度・確信度が

しかし、高受容群の熟知度・確信度が高くなっても、高受容群の差に変化はないか減ったのですから、「思い込み」説にとっては、かなり不利な展開になります。
なぜなら、(高受容群の熟知度・確信度の基準は変えていないので)差が減ったということは「思い込み」が減ったことになるからです。
#差が生じるのは「思い込み」によるというのが「思い込み」説ですから…。
どう考えてもおかしいですよね?

では、具体的な数字で説明してみましょう。
繰り返しになりますが、高受容群の定義を説明しておきましょう。
まず、サンプルに熟知度と確信度をそれぞ4点法で回答してもらいます。
そして、その合計が6点以上の場合は高受容群とし、5点以下の場合は低受容群と判定します。

では、この熟知度と確信度の分布はどう考えればいいでしょうか?
これは、常識的には2項分布になると考えていいでしょう。
山岡さんによると、熟知度と確信度の相関係数は0.4程度(負ではなく)なので、2項分布と正規分布で近似できると仮定しても問題ないと思います。
ちなみに、サンプル全体の平均点を計算すると、
1999年 5.18
2004&2005年 5.54
となり、当然のことながら2004年&2005年の方が高くなっています。

では、全体の平均点が上がった場合、高受容群と低受容群のそれぞれの平均点はどうなるでしょうか?
結論から言うと、2項分布であると正規分布で近似できると仮定するなら、高受容群と低受容群のどちらの平均点も上がることになります。
これは、点数が高いものほど増加率が大きくなるため、平均値を押し上げるからです。

【熟知度】
4点  7.9%→15.0%(1.9倍)
3点 54.4%→60.8%(1.1倍)

【確信度】
4点 12.2%→14.1%(1.16倍)
4点 12.2%→16.7%(1.4倍)
3点 46.5%→49.7%(1.07倍)
3点 46.5%→52.4%(1.1倍)

正規分布のグラフを見ると、もっと直感的に理解できます。
平均点が上がった場合は、平均点から離れるほど増加率・減少率が大きく変化します。
逆に、平均点付近はそれほど変化しません。
なお、画像の出典はwikipediaです。

Normal_Distribution_PDF.svg.png

720px-Normal_Distribution_CDF.svg.png

ということで、案ずるより産むが易しで、あっさり解決してしまいました。[るんるん]

さて、本題に戻りましょう。

熟知度・確信度が高くなっても、差に変化はないか減ったのですから、「思い込み」説にとっては、かなり不利な展開になります。というよりは、もはや成り立っていると言えないでしょう…ね。[手(チョキ)]

実は、上に書いた内容は、nさんへのコメントを考えるために、今日(9月16日の午後)じ~っとデータを見ていて思いつきました。[ひらめき]
ウソのような本当の話です。
もっとも、わかってみればコロンブスの卵と同じで、驚くほど簡単なことなのですが…。

まさに、「必ず統計的に差が出る」と同じですね。
2005年以降は以前の非常識「必ず統計的に差が出る」が常識になりましたから…。
1度あることは2度あるんですね。
ちょっとビックリです。[わーい(嬉しい顔)]

【9月17日午後に追記】

9月17日の午後、もう一度考えていたら、わざわざ2項分布や正規分布を持ち出さなくとも、バカみたいに簡単に説明できることに気が付きました。
まぁ、毎回こんなもんです。[たらーっ(汗)]

しつこいようですが、もう一度高受容群の定義を説明しておきましょう。

まず、サンプルに熟知度と確信度をそれぞ4点法で回答してもらいます。
そして、その合計が6点以上の場合は高受容群とし、5点以下の場合は低受容群と判定することになります。

ここで、サンプル全体の平均点を計算すると、
・1999年 5.18 5.19
・2004&2005年 5.54 5.65
となり、当然のことながら2004年&2005年の方が高くなっています。
熟知度と確信度の割合は次のとおりです。

【熟知度】
・4点  7.9%→15.0%(7.1%増)
・3点 54.4%→60.8%(6.4%増)

【確信度】
・4点 12.2%→14.1%(1.9%増)
・4点 12.2%→16.7%(4.5%増)
・3点 46.5%→49.7%(3.2%増)
・3点 46.5%→52.4%(5.9%増)

この数字を見ただけで、2004年&2005年の高受容群のスコアを下げるのはほとんど不可能と思えてきます。

では、どうすれば2004年&2005年の高受容群のスコアを下げることが可能でしょうか?

一番平均点を上げるのに効くのは、熟知度の4点の割合が7.9%→15.0%(7.1%増)と倍増したことでしょう。となると、この増えた分は、「低受容群」に行ってもらうしかありません。

しかし、残念ながらそんなことは、どう考えても不可能です。

1. 山岡さんによると、熟知度と確信度の相関係数は0.4程度(負ではなく)なので、熟知度が増えたら確信度も上がることになります。従って、この増えた分は「低受容群」ではなく「高受容群」に行くことになり、必ず平均点も上がることになります。

2. テレビ番組の影響で熟知度が上がったにもかかわらず、確信度が低いまま(あるいは下がった)というのは、要するにテレビ番組の影響は皆無か逆効果だったということです。つまり、テレビ番組の影響(で差が出ること)を否定することですから前提そのものが覆ってしまうので、あり得ません!

ちなみに、nさんは、

> 2004年度に「下がる」理由は8月の段階でちゃんと既に(一言ですが)言及してあります。

これは、8月28日付(8月27日深夜)の、次の文章でいいですよね?
だいたいテレビの影響があると有意に出る項目数が増えるべき、というのも正しくありません。「知識もなく"信じる"と答える"にわか"ファンが相対的に増えた」とか、「当時のマスコミは実は番組毎にバラバラな事を言っていた」とか、解釈は色々考えられます。
by n (2013-08-28 02:06)
現実のデータを見ると、知識が増えたにもかかわらず、確信度はあまり上がっていませんから、この理由は妥当とは思えません。ということで、他の理由をお願いします。

結局、どう考えても高受容群の平均点は上がることになり、下げることは不可能ということです。
#何かうまく高受容群の平均点を下げる方法ってあるんでしょうか?

元に戻ると、熟知度・確信度が高くなっても、差に変化はないか減ったのですから、「思い込み」説はもはや成り立っていると言えないでしょう…ね。[ひらめき]

【9月17日夜の訂正】

nさんの指摘で、2項分布を削除(見え消し)しました。
いやぁ、恥ずかしい。[ふらふら]

【9月18日朝の訂正・追記】

すみません、ソボクナギモンさんの質問があったので数字を見たら、計算が間違っていたので訂正しました。もっとも、結論は変わりません。
2004&2005年の確信度の数字が上がったので、これで高受容群の平均を下げるのは絶対不可能といっていいと思います。

それと、2004年と2005年を比較すると、確信度はほとんど変わりませんが、熟知度は大幅アップしています。

【熟知度】
・4点 10.4%→20.8%(+10.4%)
・3点 62.3%→58.9%(△3.4%)
・2点 22.3%→17.6%(△4.7%)
・1点  5.0%→ 2.7%(△2.3%)

結局、テレビ番組で熟知度は大きく変わることはあるが、(回答率の差に影響を与えると思われる)確信度はそれほど変わらないということです。やはり、テレビ番組は、回答率の差にそれほど影響しないと考える方が妥当でしょう。
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