山岡重行さん 血液型性格判断の差別性と虚構性（続）

山岡重行さん［注：敬称は「さん」で統一しています］のご好意で、今年2009年の日本パーソナリティ心理学会第18回大会で発表した論文のコピーをいただきました。

日本パーソナリティ心理学会第18回大会自主企画② [2009年11月28日]
血液型性格判断の差別性と虚構性
話題提供者　山岡重行（聖徳大学）
指定討論者　大村政男（日本大学）、浮谷秀一（東京富士大学）
司　会　　　渡邊芳之（帯広畜産大学）

どうもありがとうございます。
豊富なデータで、データが大好きな私としては、読んでいて飽きません。

さて、この論文のポイントは、血液型性格判断の知識に乏しい「低受容群」では1項目も有意差がないのに対し、知識が豊富な「高受容群」では28項目中16項目で「血液型ステレオタイプ」どおりの有意差が認められたということです。
つまり、元々は血液型によって差がなかったものが、「知識の汚染」によって差が生じるようになった、ということです。
ところが、意外なことに、血液型性格判断の「低受容群」でも2項目に有意差があるようなのです。

と12月14日に書きました。
[http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2009-12-14]

面白いデータなので、その後、もう少し細かい分析をしてみました。

結論として、
【B型】マイペース型で、周囲の影響を受けにくい
　→p<0.05で有意 (p=0.0288)
【AB型】気分にムラがあって、ともすると2重人格のように見えることがある
　→p<0.05で有意 (p=0.0126)
ご存知のように、この2つは“有名”な特性ですから、「低受容群」でも有意差が出ているのかもしれません。
実際に、出ている差も、全28項目中でダントツに大きいようです。
しかし、なぜかA型とO型では「低受容群」で有意差が出ている項目はありません。(*_*)

もう一度よく考えてみると、この論文の質問項目には、この2つの血液型の“有名”な特性、つまり、A型なら「几帳面」「神経質」、O型なら「おおらか」がないことがわかります。
ひょっとして、A型とO型の「低受容群」で有意差が出ないのは、この“有名”な特性が質問項目に含まれていないからかもしれませんね。
[http://www010.upp.so-net.ne.jp/abofan/diamond.htm その後の状況]

さて、読者の誤解のないように書いておきます。

「低受容群」で差が出ているのは不思議ではないのかもしれません。なぜなら、「低受容群」の割合が全体の46%というのは、予想される30%程度より多いからです。ひょっとして、「低受容群」の一部は、「高受容群」に分類した方がいいのかもしれません。仮にそうだとすると、差があるのは、「低受容群」（データに差がない）の中に本当は「高受容群」（データに差がある）に分類されるべき人が含まれているからということになります。

もっとも、別な考え方もあります。「低受容群」は、あまり自分や他人の性格に興味がないのかもしれません。となると、実際には「高受容群」と同じ程度あるはずの差が、見かけ上小さくなっているのかもしれませんね。

どうなんでしょう？