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脳の血液型物質 [既刊情報]

脳に血液型物質があるという、元本[本]
Chester M. Zmijewski Immunohematology. 3rd ed. New York: Appleton-Century-Crofts 1978.
をAmazon.comで注文してみました。
来るのが楽しみです。念のため、経緯を説明しておきます。

まず、脳の血液型物質について、能見正比古さんはこう書いています。
【血液型性格ハンドブック】(1981年)
血液型は本当は全身の問題です。…もちろん、私たちの心の問題の中心的機能である、脳神経細胞の中にも血液型があるのです。(47ページ)
次に、血液型に批判的である、森本哲朗さんです。
【血液型人間学のウソ】(1985年)
群馬大学医学部教授の古川研教授は、人体に含まれる血液型物質の臓器分布についてのべているが(上図参照[省略])、胃を100とした場合、脳にある血液型物質は、わずか8ぐらいである。 (77ページ)
また、浅尾哲朗さんは、
【血液型と母音と性格】(2004年)
口絵1 蛍光抗体法による神経終端部の型物質の存在[見事な写真なので、お見せできないのが残念です]
3枚の写真のキャプション…皮膚の神経終末A抗原、脊髄後根の第1次感覚神経B抗原、皮膚の汗腺と神経終末H抗原
口絵1に対する解説(24ページ)
反対派の人々の反論の根拠は、大脳では血球が血管から組織に出て神経細胞に接触することはないということに基づいている。
これは型物質が赤血球に限定していると仮定した場合の話で、実際にはABO式とルイス式での型物質は血球以外の体の細胞、筋肉でも、内臓の組織でも、そして神経細胞でも立派に存在していることが分かっている【口絵カラー1】。
ポイントは、これらはいずれも一般書で、学術的な著作ではないことです。
血液型と性格の「常識」といってもいいでしょう。

では、専門書ではどうか?
次は、kikulogの私の発言です。
421. ABO FAN — June 4, 2008 @19:53:51 > 389. 芹沢 — June 3, 2008 @23:19:17
>> 実は、骨髄移植で変わるのは、血液の血液型で、脳の血液型は変わ
>> りません
> 脳と体の間には、胎盤のような異なる血液型を共存させる器官など
> 存在しないのですが。
大変失礼ながら、大爆笑してしまいました。 文献からの引用のみ示しておきます。 なお、私のHPにも書いてあります。
○大久保康人さん 血液型と輸血検査(第2版) 6~7ページ
表I-5 各臓器中のABH抗原
臓器 反応(%)
 胃 100
  ……
 脳  8
[データの出典は、Chester M. Zmijewski Immunohematology. 3rd ed. New York: Appleton-Century-Crofts 1978.]
では、心理学者はどうでしょうか?
【上村 晃弘、サトウ タツヤさん 疑似性格理論としての血液型性格関連説の多様性 日本パーソナリティ心理学会 パーソナリティ研究 Vol. 15 (2006) , No. 1 (2006) pp.33-47 】
3.脳・糖鎖説
…Zmijewski (1978) によれば,ABO 式血液型の反応率は,胃に対する反応率を100% とすれば,十二指腸(90%) などと比較して脳細胞は最も低く(8%),ほとんどないと言ってよい。肯定論者は,少なくても血液型物質が脳に存在するということに意義があると主張するが,その寄与の大きさは不明で,可能性のみで肯定論の根拠にはできない。
Zmijewski, C. M. (1978). Immunohematology. 3rd ed. New York: Appleton-Century-Crofts.
つまり、いずれも出典は同じものです。
ところが、同じサトウタツヤさん編『現代のエスプリ~血液型と性格』(学術書・1994年)には、次のとおり「脳には血液型物質がない」とありますから、上の論文が発表された2006年までに、いつのまにか“間違い”が訂正されたことになります。(苦笑)
【現代のエスプリ~血液型と性格】(学術書・1994年)
高田和明さん 血液型学から見た血液型と性格の関係への疑問-血液型…発見から最新知識まで
性格をきめるものは脳であるとすることに異存をはさむ人は多くはないであろう。もしそうとするなら、脳に型物質が存在するか、脳に血液中の型物質が接触するかがこの議論の中核をなすものと考えられる。
前述したように神経細胞、神経膠細胞など脳を構成する細胞にはA、Bトランスフェラーゼは発現しておらず、膜上にA・B・Hの糖鎖は存在していない。
…一方脳の血管のまわりには膠細胞の突起がすき間ないように附着しており、脳機能に関係する酸素、ブドー糖、アミノ酸の一部、水などごく少数の物質しか通過させないことが知られている。これを血液・脳関門と呼んでいる。当然型物質のような糖脂質、糖タンパクは血液・脳関門を通過しない。 つまり脳細胞が自己の血液型を知ることはないのである。(165~166ページ)
「脳に型物質が存在するか、脳に血液中の型物質が接触するかがこの議論の中核をなす」ということですから、これは血液型と性格を否定する、重要な論点のはずです。kikulogでの議論も、ほぼ間違いなくこの論旨に沿ったものでしょう。
こうなると、kikulogの疑似科学批判者や心理学者はダメダメと言わざるを得ません。[もうやだ~(悲しい顔)]
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コメント 1

ABOFAN

今日到着しました。
なるほど、興味深い内容です。
確かに、「脳に血液型物質はない」と書いてありますが、元表(Table 3)を見てみると、胃の8%あるということですから、よく分かりません。
元データはHartmannによる1941年のものですが、いくらなんでも、そこまで誤差があるものなのでしょうか?
脳の血液型は、意外と奥が深いようですね。
by ABOFAN (2009-05-23 17:06) 

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