SSブログ
縄田氏の論文 ブログトップ
- | 次の10件

アメリカ人の6割以上は自分の血液型を知っている! [縄田氏の論文]

以前に紹介した論文[本]

血液型と性格の無関連性――日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠――
心理学研究 Vol. 85 (2014) No. 2 p. 148-156
縄田 健悟 (京都文教大学)
[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/85/2/85_85.13016/_article/-char/ja/]
本人自身の紹介のページ
[http://nawatakengo.web.fc2.com/works/jjp2_abst_jp.htm]

の元データには、アメリカ人が自分の血液型を知っている比率が掲載されています。
それによると、2005年に大阪大学が実施したこの調査では、アメリカ人4907人のうち、自分の血液型を知っていると回答したのが3108人、知らないと回答したのが1799人です(無回答を除く)。
ですので、アメリカ人が自分の血液型を知っている比率は予想以上に多く、63.4%と過半数です。
意外と知られているものなのですね。[グッド(上向き矢印)]

【調査の概要】
調査代表者:筒井義郎
共同グループ名:大阪大学21世紀COE・池田新介・大竹文雄
抽出方法:男女を人種別に抽出し、国勢調査区分の人口統計データに合わせた
抽出台帳:調査機関の回答者会員組織
調査方法(モード):郵送法
調査員:民間調査機関
調査開始年月:2005年2月
母集団地域:アメリカ合衆国全土
母集団性別:男女
母集団年齢:18 - 99
標本数:8928
回収数:4979
回収率:55.77%
[http://srdq.hus.osaka-u.ac.jp/]

というか、そうでもないと「血液型ダイエット」が流行るはずもありません。
ちなみに、理由は次のとおりです。

Q51: Underwent a blood test in the last 12 months
(過去12ヶ月の間に血液検査を受けましたか)
・Yes, as part of a periodic test 2961人(60.1%)
(はい、定期検査の一部として)
・Yes, because of suspicion of disease 214人(4.3%)
(はい、病気が疑われたので)
・No 1754人(35.6%)
(全回答4979人のうち有効回答4929人)

結局、アメリカ人のほとんどが自分の血液型を知らないというのは、単なる都市伝説に過ぎなかったことになります。なんだかなぁ。[ふらふら]

ちなみに、回答者の血液型は

A 1039人(33.4%)
B  460人(14.8%)
AB 229人(7.4%)
O 1380人(44.4%)
(不明は1799人)
計 4907人

となっています。

縄田さん、ありがとうございます。

【追記】
O型とAB型の比率が逆でしたので訂正しました。ssfsさん、ご指摘ありがとうございました。

論文:血液型と性格の無関連性【1桁の計算違い】 [縄田氏の論文]

前回の続きです。

最近、こんな興味深い(私の興味をそそる[exclamation])論文[本]が発表されました。

血液型と性格の無関連性――日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠――
心理学研究 Vol. 85 (2014) No. 2 p. 148-156
縄田 健悟 (京都文教大学)
[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/85/2/85_85.13016/_article/-char/ja/]
本人自身の紹介のページ
[http://nawatakengo.web.fc2.com/works/jjp2_abst_jp.htm]

この論文のポイントは、次のとおりです。
1. 大阪大学のウェブ上で社会調査のデータがSPSSを用いて分析が可能である
2. ビッグファイブ性格検査では差がなかった
3. この論文では、2004年と2005年に日本とアメリカで実施された大規模社会調査データ(1.の大阪大学のデータ)を用いて血液型と性格の関連性を検討した
4. 分析の結果、どのデータにおいても、血液型と性格との間に意味のある関連性は見られていない
が、この論文で、血液型がどれだけ性格に影響を与えているかという「効果量」の数字が奇妙だったので、おかしいなと思って自分で計算してみました。
驚いたことに、1桁小さく間違っていますね。[がく~(落胆した顔)]
たぶん、ソフトの数字をそのまま使ったんでしょう。
査読者も気が付かないというのは、ちょっとひどい…。
読者から文句が出なかったのかな?
例えば、最も大きな効果量η2=0.3%とありますが、私が計算すると2%ぐらいになります。

それから、アメリカのデータですが、意図的かどうかはわかりませんが、差が大きく出る次の質問は(なぜか?)計算されていません。
Q22: If you make a critical decision, take risks or avoid
ちなみに、効果量η2=3%ぐらいですから、この調査では最大です。

面白いのは、この質問では、日本人とアメリカ人では全く逆の傾向が出ていることです。日本人はAB型が一番リスク回避的ですが、アメリカ人では一番リスクを取るという結果になっています。
なお、日本人の場合は、まともに分析しては有意差は出ませんが、少々複雑な分析をすると、ちゃんとAB型が一番リスク回避的という結果が出ます。

そのうち、もう少し詳しくサイトにもアップする予定です。

日本最大の心理学会誌で、誰も1桁の計算違いに気が付かないというのも、正直笑えない話です。[たらーっ(汗)]
ということで、この論文は事実上肯定の論文ということになりますね。

【2014.7.13追記】
1. 効果量η2の計算
この論文ではアメリカで最も大きい差が出ているのはAB型です。アメリカでは極端にAB型が少ないので、F検定のF値とη2が見かけ上低く出ています。4つの血液型の割合が割合が同じだと仮定してみると、単純計算で効果量η2は数倍になります(F値とη2はサンプル数に比例)。また、AB型とそれ以外でt検定を行い、効果量dを計算すると、1桁違うとまでは言いませんが、こちらも何倍にもなります。同じことは、多少の違いはあっても日本のデータにも言えることです。
2. 日本人のリスク回避傾向
有意差はありませんが、2004年度と2005年度のスコア上位・下位20%のデータを比較すると、どちらもO型が最もリスク許容的でAB型が最もリスク回避的です。
ただし、スコアの平均値では、この傾向は2004年度のデータのみ当てはまり、2005年度には当てはまりません。
3. この調査によると、アメリカ人で自分の血液型を知っている比率は63.4%と過半数です。また、血液型判明者のうちAB型の比率は7.4%と意外に高いのです。
4. 上に書いた、効果量η2=3%ぐらいの Q22: If you make a critical decision, take risks or avoid は、危険率0.7%で有意で、論文に紹介されているものより、ずっと危険率は低くなっています。なぜ紹介しなかったんでしょうか?

論文:血液型と性格の無関連性 [縄田氏の論文]

こんな論文[本]を発見しました。
割と最近のものです。

血液型と性格の無関連性――日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠――
心理学研究 Vol. 85 (2014) No. 2 p. 148-156
縄田 健悟 (京都文教大学)
[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/85/2/85_85.13016/_article/-char/ja/]

本人自身の紹介のページ
[http://nawatakengo.web.fc2.com/works/jjp2_abst_jp.htm]

【ポイント】
1. 大阪大学のウェブ上で社会調査のデータがSPSSを用いて分析が可能である
 →http://srdq.hus.osaka-u.ac.jp
2. ビッグファイブ性格検査では差がなかった
 →うち1つは日本のもので、私にとっては新発見です!
 →差が出ないのは、ビッグファイブで血液型の差を検出しにくいからです
3. この論文では、2004年と2005年に日本とアメリカで実施された大規模社会調査データ(1.の大阪大学のデータ)を用いて血液型と性格の関連性を検討した
 →どちらもランダムサンプリング(なので差が出にくいんです)
4. 分析の結果、どのデータにおいても、血液型と性格との間に意味のある関連性は見られていない
 →「有名」な項目がなく(加えてランダムサンプリングなので)そうなのでしょう

ほぼ予想どおりの結果で、今のところ私の仮説は正しいようです。[手(チョキ)]

実は、この論文にはないリスク回避傾向については、予想どおり少し差が出ています。[るんるん]
#が、統計的に有意かどうかは計算していません。
意識的・無意識的に差が出そうな項目は調査しなかったのか…。どうなんでしょうか?
そういえば、阪大のウェブデータが一般に公開されているというのも、初めて知りました。
これは、分析甲斐がありそうですね。
時代は、どんどん変わっているということを実感します。[るんるん]

次回へ続く…
- | 次の10件 縄田氏の論文 ブログトップ