「二重構造説」への疑問 [ゲノム解析で古代史]
自分のための備忘録です。
threepinnerさんの元ツイートは次のとおりです。
この説は、現代日本人のDNAは、それまで狩猟採集生活をしていた縄文人のDNAと、3000年前頃から、水田稲作技術を持って半島や大陸から渡来した弥生人のDNAとの「二重構造」になっているというものです。
オリジナルは、埴原和郎氏の「日本人の成り立ち」(1990年)にあり、1990年代に主流になったそうです。
出所 斎藤 成也 国立遺伝学研究所
学術俯瞰講義 「いのち」のシステムを解き明かす ゲノムから読み解く 日本人の起源
以下に、二重構造説が妥当だと主張するBiBiさんのTweetを示します。
BiBiさんも書いているように、「Y染色体における現代日本人のうち本土人の縄文人由来遺伝子は35%」ですから、篠田氏の10%とは3倍以上も違うのです…。
そのためなのか?その後の『人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』(2022年)では、なぜかこの説明は「省略」されています。
結局、現代日本人のDNAについては、まだまた謎が多いということなのでしょうね。
以下は、篠田氏の主張の変遷の経緯となります。
次のように、「新版 日本人になった祖先たち」(2019年)には、現代日本人のY染色体は縄文人とは違うとあります。
その根拠となる発表 礼文島船泊縄文人の核ゲノム解析(2016年)
なぜこんな初歩的なミスをしたのかは謎ですが、ハプログループの名称が頻繁に変わっているため、何か勘違いをしたのかもしれません。
Wikipediaにもあるように、現代日本人の3割程度が持っている、Y染色体ハプログループD1a2a系統は縄文系である、ということになります。
下にあるように、北海道・礼文島の縄文人人骨である船泊5号のY染色体はD1a2a系統となります。
threepinnerさんの元ツイートは次のとおりです。
さて、現時点では、日本人のDNA構成で主流となっている学説は「二重構造説」です。https://t.co/lizhJlf8GG
— threepinner (@threepinner1) March 17, 2023
妥当だと思うし、これまでの研究手法に疑問が起きる。北海道の縄文遺跡でさえ人口が多かった事を物語る。朝鮮半島にしろ江南にしろ、少数の渡来人が爆発的に増えて縄文人を希釈した、というのは無理がある。
この説は、現代日本人のDNAは、それまで狩猟採集生活をしていた縄文人のDNAと、3000年前頃から、水田稲作技術を持って半島や大陸から渡来した弥生人のDNAとの「二重構造」になっているというものです。
オリジナルは、埴原和郎氏の「日本人の成り立ち」(1990年)にあり、1990年代に主流になったそうです。
出所 斎藤 成也 国立遺伝学研究所
学術俯瞰講義 「いのち」のシステムを解き明かす ゲノムから読み解く 日本人の起源
以下に、二重構造説が妥当だと主張するBiBiさんのTweetを示します。
なお、篠田謙一氏によれば「今の日本人の場合は9割方は弥生時代以降に大陸からやってきた人たちの遺伝子なのですが、私たちの中にまだ縄文人の遺伝子も残っていますから、融合していったと考えるべきですね。」です。この篠田氏の見解に基づいて、あなたの言動はデマであると言わせていただきます。
— Bi Bi (@otoroshi) March 23, 2023
ただ、上の篠田氏の「二重構造説」ですが、「今の日本人の場合は9割方は弥生時代以降に大陸からやってきた人たちの遺伝子」なら、常識的には「二重構造」とは言わないと思います。そもそも「篠田氏が二重構造説に懐疑的」という宇山某の主張がデタラメであることすらも分からないとは驚きです。篠田氏の二重構造に対するスタンスは“二重構造モデルは日本列島の成立を統一的に説明する。ただし、北海道に関してはオホーツク文化圏など周辺の遺伝的影響を受けている”ですよ?
— Bi Bi (@otoroshi) March 23, 2023
BiBiさんも書いているように、「Y染色体における現代日本人のうち本土人の縄文人由来遺伝子は35%」ですから、篠田氏の10%とは3倍以上も違うのです…。
篠田氏は、Y染色体(縄文由来のD1a2が現代日本人に30%以上)の解説が「新版 日本人になった祖先たち」で間違えたので撤回。その後は慎重に話題を避けています。少なくとも、彼の主張が矛盾していることは確かでしょう。
— ABO FAN (@ABOFAN) March 24, 2023
BiBiさんに言われて気が付いたのですが、「新版日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造」(2019年)にある篠田氏のY染色体説明は、見事に間違っていました。日本人と韓国人はそれぞれ独立したクラスターを持っていますよ。中国科学院による遺伝子研究ですhttps://t.co/CEFrwtuZ5B
— みいちゃん Ⓥ (@tofustrong) March 23, 2023
新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)
- 作者: 篠田 謙一
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2019/03/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
そのためなのか?その後の『人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』(2022年)では、なぜかこの説明は「省略」されています。
人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (中公新書, 2683)
- 作者: 篠田 謙一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2022/02/21
- メディア: 新書
結局、現代日本人のDNAについては、まだまた謎が多いということなのでしょうね。
以下は、篠田氏の主張の変遷の経緯となります。
次のように、「新版 日本人になった祖先たち」(2019年)には、現代日本人のY染色体は縄文人とは違うとあります。
その根拠となる発表 礼文島船泊縄文人の核ゲノム解析(2016年)
なぜこんな初歩的なミスをしたのかは謎ですが、ハプログループの名称が頻繁に変わっているため、何か勘違いをしたのかもしれません。
Wikipediaにもあるように、現代日本人の3割程度が持っている、Y染色体ハプログループD1a2a系統は縄文系である、ということになります。
下にあるように、北海道・礼文島の縄文人人骨である船泊5号のY染色体はD1a2a系統となります。
2023-03-25 12:37
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