新型コロナ ワクチン接種開始で検査陽性者が倍増!?【例外はない!?】追記あり [新型コロナ]
J Satoさんに、いままでの要旨を要領よくまとめていただきました。ありがとうございます。
ワクチン接種→エアロゾル・スプレッダー発生&変異株流通促進
ワクチンと変異株の相性あり
・ファイザー採用国:イスラエル、米国、日本→英国株増加
・シノバック採用国→ブラジル株増加
・インド製AZ(Covishield)採用国→インド株増加
ワク接種→エアロゾル・スプレッダー発生&変異株流通促進
— J Sato (@j_sato) May 5, 2021
ワクチンと変異株の相性あり
・ファイザー採用国:イスラエル、米国、日本→英国株増加
・シノバック採用国→ブラジル株増加
・インド製AZ(Covishield)採用国→インド株増加https://t.co/V49ZUlybI9
by @ABOFAN
また、各国の状況についても情報を拝借します。
BCG接種国を欧州、南米、アジアの3つに分けた
・欧州BCG義務国:元が高めで、2%超えから拡大、10-20%超えで収束へ
・南米BCG義務国:元が中、ダラダラ拡大が続き、20-40%超えで収束へ
・アジアBCG義務国:元が超低、すぐ拡大が始まり、先行バーレーン、モンゴルを見る限り30%超えても収束まだ見えず
Satoさんのグラフを眺めて思いつきました。ワクチン接種で「ファクターX」が無効化されるとするなら、ほぼ計算が合います。感染者のピークは、平均すると数千人/毎週100万人なので、インドだと毎日数十万人、日本だと数万人ですね。インドは頭打ち、日本はまだまだ増えそう…https://t.co/z3tgGLf4Gc
— ABO FAN (@ABOFAN) May 7, 2021
どうやら、BCG接種国で高速接種をすると、ファクターXが無効化されるようです。そうなると、毎週の感染者は100万人あたり数千人に跳ね上がります。これは、日本だと毎日数万人になり、現在のインド並み(毎日数十万人)のレベルになるということです。
もっとも、日本はインドのように高速接種が進むとは思えないので、1万人を突破するぐらいで頭打ちになれば…
さて、いくつか反論をいただきましたので、主なやりとりを記録しておきます。
結論として、「BCG接種国で高速接種をすると、ファクターXが無効化される」にはほぼ例外はないようです…
シンガポールも中華全域も全部例外ですよ。中東も例外だらけです。
— stockinformation (@stocksosesanb) May 8, 2021
自分で調べればおかしい事に2分で気づきますよ。
特に中東地域はワクチン開始時期早かろうが遅かろうが関係なく今年流行しだしてるだけです
進んでないのに流行してる国までまとめるのは骨でまとめきれてないで↓は一部だけです pic.twitter.com/ujbN9cucJh
次は私の反論です。
正直この問題については、意味はあるのかもしれませんが、真摯に考えるなら例外国を探すのが不毛な気がします。逆にワクチンが8割方とかでばっちり効いている国がほとんどで、例外がいくつかある、というのがワクチンにとって当然あるべき世界なのですが8割方あるか、というのが正しい問題意識では?!
— みつば320 (@mitsuba320) May 8, 2021
なお、上のツイートには書いてありませんが、近隣の某国のデータは信用できるとは思えません。また、シンガポールは「ゼロコロナ」で、ウイルスがほとんどゼロのため感染が拡大しようがありません。それと、アストラゼネカ、ジョンソンエンドジョンソン、スプートニクVなどのウイルスベクタータイプのワクチン(インド製アストラゼネカは除く)は例外です。
ということで、BCG接種国で高速接種をすると、間違いなく「ファクターX」が無効化されるようです。
次は、BCG接種国のモンゴルとスリランカの参考情報です。どちらも独自株だったんですね…へ~。
前後関係は
— J Sato (@j_sato) May 9, 2021
ワクチン→変異株による感染拡大
であって
変異株による感染拡大→ワクチン
ではない https://t.co/n4DN5i8mSO
残念なことに、日本ではこれから高齢者施設での集団接種が本格化するので、クラスターが多発する可能性があります。
コロナ感染報告 全国で7000人超す(NHK) pic.twitter.com/CnJPdGRPDA
— 冨永 格(たぬちん) (@tanutinn) May 8, 2021
数値は現在の数倍になっても不思議ではありません。
ファイザーではなく、韓国のようにアストラゼネカ、あるいはJ&Jのようなウイルスベクタータイプに切り替えれば丸く収まるのですが。
韓国はインド製AZは未使用ではないですか?
— pivo prosim (@tototo045) May 8, 2021
4月からの2回目開始で感染者がやや増加傾向に見えます。(2回目の接種率は日本の方がペースが速いです)https://t.co/n4GS94Hh7L pic.twitter.com/rbF1unt69T
余談ですが、イギリス政府の情報によると、
①ブラジル株は最初は日本で発見されたことになります(ex○○は元○○という意味)。まだ日本で問題になってないのは、感染力が弱くて「増えてない」からでしょう。
②イギリスでも、ブラジル株やインド株は増えてません。つまり、ウイルスが増えるのは、ワクチンとの「相性」ということです。日本でもブラジル株やインド株は増えそうもないので、ホッと一息です…
【2021.5.9 10:10 追記】
その後、馬場さんから反論がありました。
例外無しとのことですが、例外を紹介。
・ポルトガルは0.5%くらいで感染拡大2.5%程度で収束開始
・メキシコは接種開始前にピークアウト。ワクチン接種の影響なし
・韓国は接種開始と感染の相関関係無し
例外無しとのことですが、例外を紹介。
— 馬場正博 (@realwavebaba) May 9, 2021
・ポルトガルは0.5%くらいで感染拡大2.5%程度で収束開始
・メキシコは接種開始前にピークアウト。ワクチン接種の影響なし
・韓国は接種開始と感染の相関関係無し
そもそも法則と言う割には条件が複雑でBCG、ワクチン、接種拡大の三題噺になっていませんね。 https://t.co/CEONkfx50C
私の再反論です。
・ポルトガル→人口が日本の1/10、感染者数は日本換算で4000人/日。接種率が日本より低く、例外とは言えないのでは?
・メキシコ→ファイザー接種開始直後の1月に感染爆発(あるいは気温のせいか?)、その後は超過死亡が大幅増加。
・韓国→基本自国製AZなので爆発なし。
メキシコも感染爆発→メキシコのコロナ死者、公式統計を大幅に上回る公算-超過死亡が示唆 Bloomberghttps://t.co/vU8aQk0ALp
— ABO FAN (@ABOFAN) May 9, 2021
【2021.5.9 11:10 追記】
ポルトガルは、12/27ワクチン接種開始、年明け1月から感染が爆発、12月末感染者3000人/日→1月末ピーク時15,000人/日。人口10倍の日本に換算すると3万人/日→15万人/日。どう考えても、ワクチン接種開始→感染爆発→集団免疫達成→激減でしょう。
— ABO FAN (@ABOFAN) May 9, 2021
なお、確かに接種率は一桁勘違いしていたので、申し訳ありませんでした。m(._.)m
新型コロナ ワクチン接種開始で検査陽性者が倍増!?【ブラジル②】追記あり [新型コロナ]
ブラジルでは、中国シノバック製ワクチンで明らかにブラジル株(P.1)が増えました。感染もなかなか収まりそうもありません…
チリも同様です。
出所:Rede Genomica Fiocuz
既出ですが、インドはワクチン接種開始直後に感染が爆発し、インド株が急増しました。
変異株別の実数(試算値)は次のとおりで、ワクチン接種後にインド株(B.1.167)だけが急増しているようです。
他の国でもほぼ同じ現象が確認されています。
日本やアメリカでは、ファイザー製ワクチンが主力です。接種率が上がるにつれて、イギリス株(N501YやB.1.1.7)の割合が増え、最新データでは、どちらも過半数を占めています。
出所:東京都・東京iCDC・米CDC (2021.5.5 12:00 実数の試算値を追加)
日本でイギリス株(N501Y=B.1.1.7)が増えたのは、東京だけではなく、京都や大阪でも同じようです。
イスラエルもファイザーが主体ですが、イギリス株(B.1.1.7)の増加は更に極端のようです。
もちろん、イギリスは本家?だけあって、圧倒的に自国株?が優勢です。これは、最初はファイザー製ワクチンも併用していたせいなのかもしれません…。
※2021.5.5 11:00 イスラエルとイギリスを追記
その後のJ Satoさんの情報です。
https://t.co/lKqufEC0vRhttps://t.co/9Nm3Chj5QG: the company had release just over 1.1 million doses of vaccine so farhttps://t.co/87HuUYrnQo: 11.7 million doses of AstraZeneca vaccine had been administered by March 7, similar to the total number of Pfizer doses
— J Sato (@j_sato) May 5, 2021
イギリスでは、①ファイザーは2020年12月8日から使用開始、②アストラゼネカは2021年1月4日からなので、2020年12月からイギリス株が急増したのは、やはりファイザーの接種開始による可能性が相当高いようです。
※2021.5.5 12:50 追記
このように、ワクチン接種開始後には、中国・シノバック→ブラジル株、インド・セラム→インド株、ファイザー→イギリス株が増えるのは各国共通です。
なお、インド製以外のウイルスベクターワクチンは、なぜかこの現象が起きないようで、イギリス(アストラゼネカ)、韓国(同)、ロシア(Sputnik V)では感染は増えてません。ただし、インド製(Covishield)だけは例外で、ネパールやブータンでは感染が爆発しました。
参考までに、韓国のアストラゼネカは自国製(SK Bioscience)らしく、株がIPOで相当値上がりしたとのことで、私はすっかり儲け損ねました(笑)。最初はインド製だと思っていたので、なぜ感染が増えないのか不思議だったので…
ただし、mRNAワクチンでも、接種率が何十%になると、2回接種後なら効果はあるのことと、弱い人はみんな感染しているので、新たな感染は減ってきます。これも実データとぴったり合います。
さて、以上のケースで、ワクチン接種がまだ10%にも達していない状態で、なぜか特定の変異株だけが激増しているのは、何か変だと思いませんか?
これらのデータを説明できる一番合理的な仮説は、ワクチン接種によって特定の変異株の「スーパースプレッダー」が出現したということです。少なくとも、ブラジル、インド、日本、アメリカなどでは、統計データとはかなり整合性が高そうです。
私の仮説は、
①接種者にはワクチンが効く(特定の変異種は除く)
②接種者の一部が特定の変異株のスーパースプレッダー化(空気感染のため感染力強)
※空気感染(エアロゾル感染)はマスクの効果がなく、実データとも一致
③その結果、非接種者の感染が激増(ADEで火に油)
ということになります。
なお、ワクチンのデメリットとしては、標的とするウイルス以外には、逆に感染しやすくなるということで、別のコロナが出現したら、また同じことが起きます。
2008-09年の三価不活化インフルエンザワクチン(季節性フルワク)の接種群
— J Sato (@j_sato) April 28, 2021
・季節性インフルの感染確率は非接種群の0.44倍
・2009年春の新型インフルエンザ(H1N1)に感染する確率が非接種群の1.4~2.5倍https://t.co/POEdUnDDoW
→標的インフルにしか効かず、他タイプのインフルには逆効果
プレプリントも含めると、ファイザー製ワクチン接種(mRNA)→T細胞減少→免疫低下→感染増加、はほぼ確定のようです。たぶん不活性化ワクチンでも同じでしょう。
結局、変異が早いウイルスにワクチンで対応するのは、緊急措置としてはともかく、一般的には悪手ということのようです。
機序については、J Satoさんなどの説明が非常に参考になりますので紹介しておきます。
①季節性インフルエンザワクチンを接種したにもかかわらず感染した場合、呼気内微細ウイルス量(エアロゾル感染=空気感染の元)が非接種の6.3倍になるという研究報告(プロシーディング=会議録なので査読なしが普通)があるようです。
インフル&ワクチンでまた衝撃的な論文…
— J Sato (@j_sato) February 1, 2021
・鼻咽頭と同様に呼気にも感染性ウイルス多→接触なしで呼気で感染る ←感染症専門家いい加減認めて
・上気道(→鼻咽頭)、下気道(→呼気)で感染は別、独立
・フルワクしている方が、呼気内の微細ウイルス量が6倍!→ワクしている方が呼気の感染性6倍! https://t.co/Q67eVKyLPp
もし、新型コロナにもあてはまるとすると…。
エアロゾル感染は、他に比べて(受容体のACE2が多い)肺に直接届く確率が高いので、感染確率が激増します。
つまり、ワクチン接種者に感染が増加→エアロゾル感染で2次感染が激増→感染爆発、というシナリオです。
以上の仮説は、緊急事態宣言やマスクに意味がないという現実とも整合しますし、既存の論文とも矛盾しません。
BCGで強化された自然免疫は絶対ではなく、ウイルス量が多くなると突破されてしまうので、高速接種で加速度的に感染が増加することも説明できます。
②新型コロナのような「弱い」ウイルスには、ワクチンが作る抗体(液性免疫)は一時的な効果しかなく、T細胞=細胞性免疫がずっと大事ということになるようです。
重要論文:T細胞が最重要、抗体ほぼ役立たず
— J Sato (@j_sato) May 4, 2021
・T細胞(CD8+/制御)初期応答が最重要;重症者はT細胞反応少なく中和抗体発動早い、軽症者はT細胞反応多く中和抗体発動遅い。回復者ウイルス除去の95%はT細胞
・重症化のルートは非中和抗体発動→サイトカイン上昇→組織破壊
1/https://t.co/kszT7MuzLH pic.twitter.com/i826Wsr4t2
③魔の2週間については、以前の記事でも紹介しましたが、J Satoさんの説明は次のとおりです。
デンマークからも英国からもコホート研究でファイザーワクチンの「魔の2週間」は報告されています。https://t.co/3z7cr9ovGWhttps://t.co/xTUAVS2kla
— J Sato (@j_sato) April 27, 2021
そしてNEJMイスラエル実証論文では接種直後に接種者でコロナ死が増えているというクリティカルな情報を除外しています。https://t.co/1yfdJppbww https://t.co/KVsLXUoJjj
英国から新ワク接種医療従事者の同居人のコロナ感染・入院リスク低下したよ報告https://t.co/6sfSQu9mTu
— J Sato (@j_sato) April 3, 2021
1回目接種7~13日:感染1.08倍、入院1.25倍←魔の2週間
1回目接種14日~:感染0.74倍、入院0.83倍
2回目接種14日~:感染0.48倍、入院0.71倍
感染時の入院率上昇←排出ウイルスのエアロゾル化?
④ウイルスベクターのアストラゼネカとジョンソン&ジョンソンでは魔の2週間は報告されていません。
※上のアストラゼネカは2021.5.15. 10:50追記英国からの報告をみると、アストラゼネカは魔の2週間効果が弱そう・ほとんどなさそうです。https://t.co/g6AyOUPyGV
— J Sato (@j_sato) March 19, 2021
季節の変わり目でないときなら接種の悪影響が弱まりそうです。
J&Jのウイルスベクタータイプは1回目接種直後は効きが弱いだけで、mRNA/不活化タイプと違って逆効果は見られないもよう。血栓症リスクの印象が悪いが、mRNAタイプとほぼ同じだし、一番マシなのはウイルスベクターのAZとJ&Jなのでは? 変異促進&弱くなるイタチごっこ付きだがhttps://t.co/bPwXotQoQB
— J Sato (@j_sato) May 2, 2021
⑤先進国のワクチン接種開始時期は冬が多く、見かけ上は接種で感染が減ってますが、未接種の国と比べると同じか上回っています。
最後に、ワクチン接種で変異株が増えるのは「常識」だそうで、高名な福岡伸一氏もそう述べています。
共同通信の求めに応じて、ウイルス問題についての論考を書きました。
— 【公式】福岡伸一(Shin-Ichi Fukuoka) (@fukuoka_hakase) May 2, 2021
「あらゆるタイプのウイルス変異体が、日々、世界中で出現している。そこにワクチンが網をかけるから、それをすり抜けるような変異体が選抜される……(続く)
新型コロナ ワクチン接種開始で検査陽性者が倍増!?【ブラジル】 [新型コロナ]
しかし、時事通信の記事(4月27日付)によると、まだ相当困っているようで、
ブラジル経済のかじ取りを一手に握るゲジス経済相は27日の閣僚会合で、録画されていることに気付かず、中国が新型コロナウイルスを「発明した」と主張した上で、中国製ワクチンは米国製よりも劣っているとこぼした。
だそうです。
ところが、このニュースは英語で探してもほとんどありません。少なくとも、"Brazil China invent corona" で検索しただけでは、メジャーな英語メディアには見つかりませんでした。
私が発見したのは、「Brazilian Report」というサイトだけです。
これまた不思議なことに、日本でも全国紙や在京キー局、あるいはNHKなどのメジャーなメディアでは取り上げられてはいない模様です…。
おそらく、これはブラジル政府の「本音」で、中国が頻繁にチェックしている日本の(マイナーな・失礼)メディアだけにリークしたのではないかと思います。
なぜなら、時事の記事に先立つ4月12日に、BBCが同じような内容を報じているからです。
BBC 中国製ワクチンは「効果小さい」 中国当局者が発言、すぐ修正
上のBBCのニュースにあるように、ブラジルのワクチンは中国シノバック製が主力ですが、なぜか接種後の2021年1月からも感染は収まらず、逆に拡大しているように見えます。
出所:Google
この記事には、
外国での臨床試験では、中国製ワクチンの効果は50%程度しかないとする結果も出ている。
とありますが、これに対応するかのように、ブラジル当局のプレプリント=査読前論文(4月7日付)には、「効果は50%程度しかない」と書いてあります。
Effectiveness of CoronaVac in the setting of high SARS-CoV-2 P.1 variant transmission in Brazil: A test-negative case-control study.
Posted April 07, 2021. [Version 1]
出所:J Satoさんのツイート
興味深いことに、最初にある時事通信の記事(4月27日付)の配信直後に、この論文の最新版バージョン2(5月1日付)が公開されました。内容は非常に辛辣で、初版バージョン1(4月7日付)が大幅に書き換えられています。
v1→少なくとも1回のワクチン接種は、初回接種後14日以後に新型コロナに感染する確率が0.5倍にする。
v2追加→初回接種後0~13日の期間では、ワクチン接種者の方が未接種者よりも感染する確率が2.11倍高くなる。
①1回目の接種から13日までに2.11倍感染しやすくなるは確定(p-value<0.001で有意)ですが、
②その後の有効性は不明(p-value>0.05なので有意ではない)です。
よく見ると、②も3つ合計すると「有意」なので、絶対に有効性なんか認めない!ってことです。
偶然にしてはタイミングが合いすぎです
ということですから、最初に紹介した時事通信の記事は、ブラジル当局が中国シノバック製ワクチンの効果に疑問を抱き、その一連の対応策としてのプレス発表と考えるべきではないでしょうか。
---☆---☆---☆---
気になる人のために、この論文の内容を簡単に紹介しておきましょう。
なお、「コロナバック」は、ブラジルで使われた中国シノバック製ワクチンの名前です。
【対象者】
Among 53,176 HCWs [Health Care Workers], 46,884 (88%) received at least one dose of CoronaVac and 2,656 (5%) underwent RT-PCR testing from 19 January, 2021 to 25 March, 2021.
53,176人のHCW[医療従事者]のうち、46,884人(88%)がコロナバックを少なくとも1回投与され、2,656人(5%)がRT-PCR検査を受けまた(2021年1月19日から2021年3月25日まで)。
【背景】
Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) variant P.1 emerged in the city of Manaus in late 2020 during a large resurgence of coronavirus disease (COVID-19), and has spread throughout Brazil. The effectiveness of vaccines in settings with widespread P.1 transmission has not been reported.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)亜種P.1は、コロナウイルス感染症(COVID-19)が大規模に再流行した2020年後半にマナウス市で出現し、ブラジル全土に広がっている。P.1の感染が広がっている環境でのワクチンの有効性は報告されていない。
【結果】
○初版バージョン1(4月7日付)
Vaccination with at least one dose was associated with a 0.50-fold reduction (adjusted vaccine effectiveness, 49.6%; 95% CI, 11.3 - 71.4) in the odds of symptomatic SARS-CoV-2 infection during the period 14 days or more after receiving the first dose. Estimated vaccine effectiveness of at least one dose against any SARS-CoV-2 infection was 35.1% (95% CI, −6.6 - 60.5) in the same time period.少なくとも 1 回のワクチン接種は,1 回目の接種後 14 日以上経過した時点で症候性 SARS-CoV-2 に感染するオッズを 0.50 倍減少させることに関連していた(調整後ワクチン効果,49.6%;95% CI,11.3 - 71.4)。任意のSARS-CoV-2感染に対する少なくとも1回の投与による推定ワクチン効果は,同期間で35.1%(95%CI,-6.6~60.5)であった。
○最新版バージョン2(5月1日付)
In the early analysis, vaccination with at least one dose was associated with a 0.50-fold reduction (adjusted vaccine effectiveness, 49.6%, 95% CI 11.3 to 71.4) in the odds of symptomatic SARS-CoV-2 infection during the period 14 days or more after receiving the first dose. However, we estimated low effectiveness (adjusted VE 36.8%, 95% CI −54.9 to 74.2) of the two-dose schedule against symptomatic SARS-CoV-2 infection during the period 14 days or more after receiving the second dose. A finding that vaccinated individuals were much more likely to be infected than unvaccinated individuals in the period 0-13 days after first vaccination (aOR 2.11, 95% CI 1.36-3.27) suggests that among this population of healthcare workers, those at higher risk might take up vaccine earlier, leading to underestimation of its effectiveness.初期の解析では,少なくとも 1 回のワクチン接種は、1 回目の接種後 14 日以上経過した時点での症候性 SARS-CoV-2 感染のオッズを 0.50 倍減少させることに関連していた(調整後のワクチン効果,49.6%,95% CI 11.3~71.4)。しかし,2回目の接種を受けてから14日以上経過した期間の症候性SARS-CoV-2感染に対する2回接種スケジュールの有効性は低いと推定された(調整VE 36.8%,95%CI -54.9~74.2)>初回接種後0~13日の期間では,ワクチン接種者の方が未接種者よりも感染する可能性が高いという結果(aOR 2.11,95%CI 1.36~3.27)は,医療従事者の中でもリスクの高い人が早くワクチンを接種することで,効果が過小評価されていることを示唆している。
【解釈】
○初版バージョン1(4月7日付)
Interpretation Administration of at least one dose of CoronaVac showed effectiveness against symptomatic SARS-CoV-2 infection in the setting of epidemic P.1 transmission, underscoring the need to increase vaccination efforts in response to the spread of this variant in Brazil and globally.コロナバックを少なくとも1回投与することで、P.1感染が流行している状況下での症候性SARS-CoV-2感染に対して有効性が示され、ブラジルおよび世界的なSARS-CoV-2の流行に対応してワクチン接種を増やす必要性が強調された。
○最新版バージョン2(5月1日付)
Evidence from this test-negative study of the effectiveness of CoronaVac was mixed, and likely affected by bias in this setting. Administration of at least one vaccine dose showed effectiveness against symptomatic SARS-CoV-2 infection in the setting of epidemic P.1 transmission. However, the low estimated effectiveness of the two-dose schedule underscores the need to maintain non-pharmaceutical interventions while vaccination campaigns with CoronaVac are being implemented.コロナバックの有効性に関するこのネガティブ試験研究のエビデンスは様々であり、この環境におけるバイアスの影響を受けていると思われる。P.1感染が流行している状況下で、少なくとも1回のワクチン投与が症状のあるSARS-CoV-2感染に対して有効であることが示された。しかし、2回接種の有効性が低く見積もられていることから、コロナバックを用いた予防接種キャンペーンを実施している間は、医薬品以外の介入を維持する必要があることが明らかになった。
最後に、参考までに最近のニューヨークタイムズの記事を紹介しておきます。
コロナはあまりにも速く変異するので、集団免疫は見果てぬ夢。好むと好まざるとにかかわらず、選択肢はwithコロナしかない。 https://t.co/nNX3mxWOHo
— 池田信夫 (@ikedanob) May 3, 2021