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面白すぎる!感染症研究所の英語論文 [論文]

最近、国立感染症研究所の論文(プレプリント=査読前論文)がネットで話題になっています。


この論文は、緊急事態宣言の効果について統計的に分析したものです。

感染研1.PNG

面白そうなので読んでみたのですが、内容はかなりト○デモとなっています。
英語で書いてあるせいか、一般には広まっていないようなので、ちょっと紹介しておきましょう。
なお、今回の内容は、2月23日付けのVersion 3によるものです。

さて、この論文の著者は国立研究所の職員3人です。
そういうメンバーなら、普通はスペリングなどの単純ミスは考えられないのですが、私が見つけただけでも3件ありました。

1. Results 1行目: 317,083 ommunity-acquired → communityが正しい
2. Discussion 4行目: i¥right → i¥が余計
3. Table 1の説明 3行目: statuss → status

下は2番目のミスです。

感染研2.PNG

どれも高校生レベルの単語で、かなり恥ずかしいミスです。
原稿執筆にWordを使えば、目立つように赤でエラーが表示されるのですが、なぜ見落としたのか…。
よっぽど焦っていたんでしょうか?
もう、最初から爆笑です。

また、参考文献の番号も思いっきり間違っています。

本文中の参考文献[Reference]11は2020年「7月」から始まったGoToキャンペーンについての資料のはずですが、

Reportedly, [11] travel-associated COVID-19 incidence during July 22–26, when GTTC started...

Referenceでは厚労省の2020年「4月」のサイトでした。

11. Japan Ministry of Health, Labour and Welfare. Press Releases.
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10723.html (in Japanese) [accessed on January 28, 2021].

これは、どう考えても15番の西浦氏らの論文が正しいようです。

15. Anzai A, Nishiura H. “Go To Travel” Campaign and Travel-Associated Coronavirus Disease 2019 Cases: A Descriptive Analysis, July-August 2020. J. Clin. Med 2021, 10, 398.
https://doi.org/10.3390/jcm10030398

番号が4つもずれるというのは、常識的には考えられません。本文が書き上がってから文献を4つ増やした(減らした?)のか…。

単純ミスでもこれですから、内容のミスは大幅にパワーアップ(笑)しています。

この論文のキモは「実効再生産数R(t)」です。

言葉は聞いたことがあっても、よく内容を知らない人もいるようなので、本家本元の新型コロナクラスター対策専門家のツイッターで再確認してみましょう。
ここでは、実効再生産数はRtと表記されています。
それによると、

ある時点で、1人の感染者が全感染期間に新たに感染させる平均の人数のことを実効再生産数と言い、対策の実行状況により変動します。
実効再生産数が低下する要因に、人々が病原体に免疫を持つこと、人々の行動(手洗いやマスクなどの感染予防、接触を減らすなど)の変容があげられます。

corona117.JPG

仮に私が新型コロナに感染しているとします。運よくすぐに治ればいいのですが、たいていは完全に回復する前に接触した誰かにうつしてしまいます。

では、平均すると、感染者1人は何人ぐらいにうつしているのでしょう? 多くの研究がありますが、以前は2.5人とされていました。この「1人が他の人にうつす倍率」、つまり2.5人÷1人=2.5が実効再生産数R(t)と呼ばれる数字です。

1人が2.5人にうつすと、時間とともに1人→2.5人→2.5×2.5=6.25人…と指数関数的に感染者は増大していきます。つまり、たった1人の感染者が、あっという間に何千人、何万人にもふくれあがり、重症者や死亡者が続出することになります。これが、新型コロナが恐れられている最大の理由です。

そこで、この実効再生産数R(t)を「8割削減」すれば、新型コロナの感染が終息するというのが西浦氏や専門家会議の提言だったのです。

人との接触を8割減らせば(=2割にすれば)、1人が0.5人(=2.5人×0.2)にしかうつしません。そうなると、感染者は1人→0.5人→0.5×0.5=0.25人…と指数関数的に減少して最終的には収束します。細かいことを言うと、R(t)が1より小さければ必ず終息するのですが、期間は長くかかることになります。

繰り返しますが、この2.5であるとされた実効再生産数R(t)を「1より小さくする」というのが大きなポイントです。

それでは、藤原かずえさんのツイートを。


現在のR(t)は1を下回っていますから、GoTo再開でこの数値が「1減少」するということは、言い換えれば数日で感染者が「ゼロ」になるということです!
いくらなんでも、そんな魔法のようなことは起きないでしょう(笑)。

さすがにおかしいと思ったのか、著者たちはいろいろな「言い訳」を書いていますが、これまた読んでみると面白いです。

In actuality, GTTC [GoToキャンペーン] has been presumed to have raised infectiousness to date, but it might have instead reduced infectiousness. At least, one can conclude that it did not raise infectiousness.
This counterintuitive result might reflect the situation for July. Before GTTC was started on July 22, even though the temperature was high, a second peak occurred, indicating that the non-GTTC period was affected by high infectiousness.

つまり、GoToキャンペーンより温度の方が影響が大きいということです。
奇妙なことに、後述の表1(Table 1)によると、温度の影響は大したことはありません。

こうなると、そもそも国立感染症研究所のモデルか分析方法がおかしいとしか考えようがありません。

また、なぜかわかりませんが、参考文献15の西浦氏の論文はミスリーディングだという批判が延々と50行ほど書いてあります。

We have identified some odd points in the report of that study.
(大幅に中略)
However, that share did not increase markedly during the GTTC starting period. This fact indicates that the authors’ results and conclusions are misleading.
(大幅に後略)

さて、この研究の最重要ポイントは、表1(Table 1)にあります。
不思議なことに、この表はなぜかクリックしないと読めないので、最初は見落としていたのですが、改めて読んでみて思わず大爆笑。

感染研3.PNG

第1回の緊急事態宣言[Emergency status] → R(t)が0.821低下
第2回の緊急事態宣言[Emergency status] → R(t)が1.19低下
GoToキャンペーン[GTTC] → R(t)が1.10低下
学校休校・イベント中止[SCVEC] → R(t)が0.548上昇

輪をかけて笑ってしまうのが、瀬久原志太郎さんのツイートです。


この国立感染症研究所の論文では、表1の結果を得るのに「回帰分析」を使っているのですが、この手法では「鶏が先」か「卵が先」かはわかりません。
つまり、「緊急事態宣言の効果」で「感染[R(t)]が減った」のか、「感染[R(t)]が減り始めた」あとに「緊急事態宣言を出した」のかはわからないのです。

実際のデータを見ると、瀬久原さんの言うように、後者の「感染[R(t)]が減り始めた」あとに「緊急事態宣言を出した」としか思えません。

感染研4.jpg
つまり、この論文を「まとも」に読むと、

1. 感染が減り始めてから緊急事態宣言を出した
2. 感染を減らすには、「GoToキャンペーンの再開」が最も有効
3. 感染を減らすには、「学校再開・イベント再開」が2番目に有効

ということになります(爆笑)。

ト○デモなのか、それとも冗談なのか…。
しかし、この論文は国立感染症研究所の職員3人が連名で書いた、国際的な英語論文なのです!

はて?
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