SSブログ

血液型に肯定的な論文は日本語で発表してはダメ!? [サイト紹介]

しばらくWikipediaの「血液型性格分類」を見ていなかったので、さっきチェックしたら驚くべきことが書いてありました。

それは、10月15日 8:56の変更で、「今日の心理学会では血液型性格分類の有効性を支持する意見は少数意見であり、学会誌の査読を通過することは一般にできない」ということです。

Screenshot_20191020-212418.png
が削除された部分、が追加された部分です。

なお、変更の理由は、「wikipediaガイドライン:中立的観点に基づき見出しを変更。少数派の意見をさも通説のように扱うことは方針に反します」とあります。

そんなの当たり前じゃないかと思う人もいるかもしれませんが、これは日本だけに見られる現象です。
英語論文なら「関係がある」という論文もチラホラ見かけます。
また、日本語の論文でも、査読がないなら「データの差」は認めている論文は結構あります。

しかし、日本語の論文で査読があるものだけは、このWikipediaにあるとおりで、データの差があることさえ認めていないのです。

この奇妙な現象は、たとえば金澤正由樹さんの「血液型人間学のエッセンス」に“ミステリーゾーン”があるとして、こう紹介されています。
essense-p216.jpg

血液型人間学のエッセンス 心理学でわからなかった謎にせまる

血液型人間学のエッセンス 心理学でわからなかった謎にせまる

  • 作者: 金澤 正由樹
  • 出版社/メーカー: 文芸社
  • 発売日: 2017/12/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

日本の心理学会には「血液型によりデータの差がある」とは言えない雰囲気が存在し、査読者が逆らえないということなのであろうか?(p217)

そして、その傍証としてWipediaにある清水さんらのこの論文を取り上げ、

血液型によってデータに差があるとか、あるいは血液型と性格に関係がありそうだなどどいう論文が査読をパスして専門誌に掲載される可能性は……ほとんど100パーセントないだろう。(p220)

と結論付けています。

では、日本だけこんな「ガラパゴス」的な査読を続けるとどうなるか?
結果は明らかで、かつては世界一だった日本のエレクトロニクス産業がアメリカや中国に完敗したように、日本の心理学界のガラパゴス化がどんどん進むということになります。
非常に残念なことですが…。

現実に、上の表に紹介されている土嶺章子さんらの論文は、英語で執筆されて海外のオープンアクセス誌に掲載されました。
そういう例がどんどん増えてくるはずです。
清水さんも、英語で発表すれば論文が掲載されたのではないでしょうか?

これは私が思いつきで言っているのではありません。
たとえば、日本社会心理学会には、「国際誌論文データベース」というページがあり、こう説明があります。

日本の社会心理学者たちは,活発な研究活動を展開・公表しており,その成果は日本語による論文であれば例えば日本社会心理学会の機関誌である「社会心理学研究」等の学会誌に掲載され,また学術書として公刊されています.一方,当然のことながら学問に国境はなく,特に近年では国際的な論文誌や書籍にその成果が掲載されることも増えてきました.しかし,こうした国際的成果をくまなく知ることは,あまりにそのフィールドが広いためにあまり容易ではありませんでした.
そこで,このページでは,日本の社会心理学者による国際的な研究活動の成果を広く共有・広報するために,日本社会心理学会会員による国際査読誌や書籍に掲載された学術論文(2013年以降に公刊されたもの)を,会員の皆様からの自薦・他薦の情報提供にもとづいて,あるいは,広報委員が不定期にPsycINFO, GoogleScholarなどを使って渉猟して,掲載しています.書誌情報は,メールニュース等の媒体でもご案内します.

jssp.JPG

単刀直入に言えば、日本の心理学界がどんどん空洞化するということです。
そして、最終的に「黒船」が来港して…。

「血液型と性格」は、ほとんど日本オリジナルの研究なのに、実に残念だというしかありません。
ただ、時代の趨勢には逆らえないので、私もそろそろ“日本脱出”の準備をしないといけないようです…。[あせあせ(飛び散る汗)]

コメント(8)