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新型コロナは沈静化しつつある!?【5月5日・西浦氏の致命的なミス・リターンズ】《再追あり》 [新型コロナ]

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前々回「5月2日・西浦氏の致命的なミス」の続報です。

5/1の専門家会議の提言(資料)を読み直したところ、さらに致命的なミス(らしきもの?)を発見しました。

資料にある現実のデータからは「クラスター対策」や「8割削減」、そして「緊急事態宣言」の効果は読み取れないのです!

この点は、多くの人が指摘しているとおり、5/4の提言があまりにも抽象的で、あれほど強調していた「8割削減」はどうなったのという印象とも一致します。

そして、より大きな疑問は、

1. 西浦氏が4/3に唐突に「8割削減」を発表したときには、既にこれらの事実(緊急事態宣言は4/7なので除く)を知っていたのではないか
2. 西浦氏の理論(SIRモデル)は現実のデータと一致しないため、いつまでも根拠を公開しないのではないか
3. 西浦氏の4/3の説明では、そういう疑問が生じないように、あえて微分方程式とグラフを使い、実証データは使わなかったのではないか

といったことです。

いうまでもありませんが、私のような素人が公表データを分析してわかるようなことは、西浦氏のような専門家が生データを分析すれば、とっくの昔にわかっていたはずなので。

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出所:新型コロナクラスター対策専門家のツイッター

これらの発見はかなり衝撃的でした。
下手な推理小説を読むより興奮します。
もちろん、本当は私も事実ではないと信じたいのですが…。
狐につままれたような感じとは、まさにこのことです。

前置きはこのぐらいにして、順を追って説明することにします。

【謎3】R(実効再生産数)はいくらか?リターンズ

R(実効再生産数)は意外と難しいらしく、何人かから質問を受けました。
そこで、改めて説明しておきます。

細かいことは全部省略して、シンプルかつ具体的に言いましょう。
それはこういうことです。

仮に私が新型コロナウイルスに感染しているとします。
運よくすぐに治ればいいのですが、たいていは完全に回復する前に接触した誰かにうつしてしまいます。

では、平均すると、感染者1人は何人ぐらいにうつしているのでしょう?
多くの研究がされていますが、現在の定説では2.5人とされています。
この「1人が他の人にうつす倍率」、つまり2.5人÷1人=2.5がR(実効再生産数)と呼ばれる数字です。

1人が2.5人にうつすと、時間とともに1人→2.5人→2.5×2.5=6.25人…と指数関数的に感染者は増大していきます。
つまり、たった1人の感染者が、あっという間に何千人、そして何十万人にもふくれあがり、重症者や死亡者が続出することになります。
これが、新型コロナウイルスが恐れられている最大の理由です。

本家本元の新型コロナクラスター対策専門家のツイッターで再確認してみましょう。
ここでは、R(実効再生産数)はRtと表記されています。
それによると、

ある時点で、1人の感染者が全感染期間に新たに感染させる平均の人数のことを実効再生産数と言い、対策の実行状況により変動します。
実効再生産数が低下する要因に、人々が病原体に免疫を持つこと、人々の行動(手洗いやマスクなどの感染予防、接触を減らすなど)の変容があげられます。

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そこで、このRt(実効再生産数)を「8割削減」すれば、新型コロナウイルスの感染が終息するというのが専門家会議の提言です。
人との接触を8割減らせば(=2割にすれば)、1人が0.5人(=2.5人×0.2)にしかうつしません。
そうなると、感染者は1人→0.5人→0.5×0.5=0.25人…と指数関数的に減少して最終的には終息します。
細かいことを言うと、R(実効再生産数)が1より小さければ必ず終息するのですが、期間は長くかかることになります。

この本来2.5であるR(実効再生産数)を「1より小さくする」というのが大きなポイントです。

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出所:人との接触を8割減らす、10のポイント(厚労省)

ここまでは理解してもらえたでしょうか。

では、いよいよ本題に移ります。

新型コロナの感染者は、平均すると1人が2.5人にうつすということですが、現実の数字はどうでしょう。

次が5/1の専門会議でのグラフです(日付は感染日ベース)。
青の曲線がこのR(実効再生産数)となります。青の点線は値が1のラインを示しているので、実際の値がこの点線の下になるようにコントロールできればいいことになります。

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出所:新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(2020年5月1日)

前述のとおり、理論的な最大値は2.5ですが、なぜか時期によって上がったり下がったりしています。
最近は8割削減の効果が出たのか、全国では「1より小さい0.7」にまで下がりました。
やっと新型コロナの終息が視界に入ってきたようなので、日本人全員がもう少し頑張ればなんとかなりそうです。
私も、ついさっきまでそう思っていました。

が、このグラフには見事な“トリック”が隠されているのです!

それでは、目を皿のようにして、もう一度よくこの専門家会議のグラフを見ていきましょう。

感染者1人が平均して2.5人にうつすという性質は、新型コロナウイルス固有の特性なので変わりようがありません。
ということは、このR(実効再生産数)が変わったなら、人との接触が○割変わったからだ※ということになります。

※仮に、人との接触が変わらなくとも、この数値が大きく変わるなら、一律に「8割削減」は意味がありませんが、専門家会議はそんなことは言っていません。 なぜなのかは、たとえば池田信夫氏のブログを参照してください。

グラフを見ると、この数字が2.5から大幅に下がったのは、A:1月末の数日、B:2月下旬から3月上旬にかけて、そして C:3月末から現在までの3回です。

では、これらの時期に人との接触が何割も減ったのでしょうか?

志村けんさんが亡くなったのは3/29で、小池都知事が都民に自粛をお願いしたのは3/25です。
ですから、この数値が3月末から大きく下げたのは当然のことで、不思議でもなんでもありません。
ただし、東京都のデータでは、この時期には数値の低下の根拠になるほど自粛している様子(8割減)は見られないようです。

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出所:東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト

不思議なことに、Aの1月末の数日とBの2月下旬から3月上旬にかけても、Cの3月末からと同じぐらい数値は低下しています。

《グラフを再掲》
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出所:新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(2020年5月1日)

では、この時期にも人との接触が何割も減ったのでしょうか?

私も含め、はてな?と考え込む人がほとんどではないでしょうか。

もちろん、この時期には誰も自粛なんてしてないのです!
それは、東京都のデータからも裏付けられています。

では、なぜこの時期に数値がすとんと下がったのでしょう?
さらに奇妙なことに、この時期を過ぎると、急激に数値は上昇して行きます。

ひょっとして、1人が2.5人にうつすのではなく、数値が勝手に上がったり下がったりするのでしょうか?
いや、それでは現在の疫学理論=西浦博氏の理論(SIRモデル)、ひいては専門家会議の科学的根拠を全否定することにつながります。
でも、やっぱりおかしいですよね?

いえ、実は全然おかしくないのです!!

ここでは、池田信夫氏の解説を紹介します。

SIRモデルは閉鎖系なので、今回のように海外からの帰国者が感染源になる場合には使えない。少数の感染源から指数関数で増えたのではなく、感染源になる帰国者が増え、帰国制限された3月末で増加が止まった。緊急事態宣言は最初から無意味だった。

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出所:池田信夫氏のツイート

R(実効再生産数)が増大した時期には、①2月の第一波は中国(武漢)からの帰国者、②3月のより強力な第二波はヨーロッパからの帰国者であることは、ウイルスの種類の調査により明らかです。→5/2の記事を参照

このように、西浦博氏の理論(SIRモデル)には大きな疑問符が付きます。

細かいことを言うと、第一波の前の1月にも、⓪「第ゼロ波」とも呼ぶべき数値の上昇が見られます。これは中国人観光客によるものなのかもしれません。

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出所:新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(2020年4月1日)

不思議なことに、Cの3月末以外は特に対策もされてなさそうなのに、Aの1月末とBの2月中旬もR(実効再生産数)は1未満にまで下がっていきます。

いままでは、数値が下がったのは、クラスター対策班の功績だと思われていました。
しかし、現実にクラスター対策班が設置されたのは2/25です。
このため、Aの1月末の減少、Bの2月中旬からの減少※とは直接の関係はなさそうです。
※2/25時点では既に1未満に低下

Cの3月末の減少は、感染者が多すぎてクラスター対策がほとんど不可能だったので、これまた関係ありそうもありません。→5/4の記事を参照
下のグラフの赤の部分がクラスター対策が不可能な「孤発例」で、3月下旬には実質的に対応が不可能になったことがわかります。

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出所:専門家会議 新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(5月1日)

ですので、クラスター対策の成果を現実の数値から確認することはできないようです。

繰り返しになりますが、志村けんさんが亡くなったのは3/29で、小池都知事が都民に自粛をお願いしたのは3/25ですから、数値が下がったのはこのためかもしれません。しかし、東京都のデータでは、明確な根拠になるほど自粛している様子(8割減)は見られません。

なお、緊急事態宣言は4/7ですが、数値はほとんど変化せず、影響があったかどうかは不明です。

以上の現実のデータを分析して得られる結論は、新型コロナのR(実効再生産数)は元々1未満で、何もしなくとも終息する可能性が高いということです。

そういえば、2009年のSARSのときも、大騒ぎになった割には日本では大した被害はなかったそうです。これも、元々のR(実効再生産数)が1未満だったすると、現実のデータを矛盾なく説明できます。

余談ですが、今回の感染源のほとんどは、欧米からの帰国者だっと思われます。
だとすると、感染を防ぐのに最も効果的なのは入国制限です。
あくまで結果論ですが、欧米で感染が爆発する気配があったときに、さっさと入国を制限すれば被害は何分の1だった…のかもしれません。
帰国者の感染者は推定2000人~3000人なので、R=0.8だとすると、単純計算でこの5倍の感染者が出ることになります。[もうやだ~(悲しい顔)]→追記を参照

月並みな言葉ですが、まさに狐につままれたような感じです。
本当なんでしょうか?
また、5/4の専門家会議の提言が抽象的なのも、西浦氏が彼が使ったモデルを一向に公開しようとしないのにも、それなりの理由があることになります。
本当に本当なんでしょうか?[たらーっ(汗)]

最後になりますが、池田信夫氏にツイートされたのが大きな理由だと思いますが、お陰様で拙ブログの5/3のランキングが4位にまで上昇しました。ありがとうございます。

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参考までに、ページビューは3,967回でした。

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【お知らせ】
初出の誤字・脱字を修正し、より理解しやすくするために表現を微修正しました。

【追記 2020.5.5 14:10】→5/2の記事の追記を抜粋
池田信夫さんから質問をいただいた(大変恐縮です)ので、私のリプを書いておきます。
彼の指摘するとおり、私もR=0.8だと感染が拡大しないと思っていましたが、実際に計算すると違うようです。

[池田氏]わからないのは(佐藤彰洋氏が予想したように)3月に帰国した人から感染が広がるはずなのに、3月末でピークアウトしたことです。日本人のRが一貫して0.8というのは低すぎる。これだともともと感染はまったく拡大しなかったはず。

[私]佐藤彰洋氏の推測だと、ヨーロッパからの帰国人感染者は2,500人。R=0.8だと、1人が5人(0.8+0.8^2+0.8^3…)に感染させることになるので、累計の感染者数は感染源2,500人+感染者2,500人×5=1万5,000人。現実の数字にぴったり一致します。あまりにも話がうますぎるので、正直不安です。[たらーっ(汗)]


【追記 2020.5.6 13:20】
コメントいただいた通りすがりさん紹介のApple社提供の移動傾向です。
本格的に自粛が始まったのは、3月下旬からであることがわかります。
ありがとうございました。

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コメント(3) 

コメント 3

通りすがり

3月のBと、4月のCの減少は、「自粛」とかなり一致しているように思います。下のURLのAppleが提供しているデータ(Japan)と、専門委5/1の実行再生産数のデータのグラフを重ねると、かなり見事に一致します。
https://www.apple.com/covid19/mobility
ちなみに、Appleのこのチャート、適度に「ざっくり」していて、見やすいです。
SNSは、いっさいやってないので、図とかお見せ出来ませんが、よろしくお願いします。



by 通りすがり (2020-05-05 14:53) 

ABOFAN

ありがとうございます。
ただ、このグラフからは、Cの3月以降の落ち込みが圧倒的で、AとBの説明が難しいのではないかと思います。

by ABOFAN (2020-05-05 21:26) 

通りすがり

お返事、ありがとうございます。
Aは、nが小さいので、「ゆらぎ」かもしれませんし、そもそも専門委がどうやってRtを推定しているか説明してないので、私にもさっぱりわかりません。
Cの下げは強烈なので、「自粛」だけではなくて、「BCG」とか、「弱者が先に亡くなった」とか、Rを変化させる大きな要因があると思うのですが、こちらもさっぱりわかりません。
疫学的な大規模抗体調査を早くやって欲しいです。「真の感染者」が「検査陽性者」の何倍いるのか分かれば、いろいろな仮説の検証できるのですが。
ABOFANさんのこれからの考察を期待しています。

by 通りすがり (2020-05-06 08:29) 

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