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週刊ポストで井沢氏と呉座氏が直接対決【追記あり】 [井沢氏vs呉座氏]

この記事は、直接血液型とは関係がありません。
注:当初のものから多少変更してあります(2019.3.24 15:40現在)。

逆説の日本史24: 明治躍進編 帝国憲法と日清開戦の謎

逆説の日本史24: 明治躍進編 帝国憲法と日清開戦の謎

  • 作者: 井沢 元彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/12/17
  • メディア: 単行本

私は、昔からの井沢元彦氏(B型)のファンで、累計510万部の「逆説の日本史」は、第1巻から最新の第24巻まで全部持っています。
#「逆説」というタイトルはB型が好むような気がしますね。

日本国紀

日本国紀

  • 作者: 百田 尚樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/11/12
  • メディア: 単行本

最近の歴史に関する話題としては、百田尚樹氏の「日本国紀」が昨年65万部の大ヒットとなり、世間を驚かせました。
#ちなみに、この本も買いました。
上の2冊はどらちも一般書です。

さて、アゴラで八幡和郎氏が指摘しているように、「日本国紀」は井沢氏から強い影響を受けていると言われています(下の投稿まとめを参照)。
その後、アゴラに本家本元の日本史学者である呉座勇一氏の投稿があり、「井沢史観」をめぐり、八幡和郎氏と間に論争が発生しています。

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

  • 作者: 呉座 勇一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 新書

参考までに、新進気鋭の呉座氏は、著書の「応仁の乱」が異例の47万部を売り上げました。すごいですね。
#この本も買いました。(^^;;

この論争は、遂に井沢氏と呉座氏の直接対決に発展し、3月4日発売の「週刊ポスト」3月15日号では、井沢氏が呉座氏に公開質問状を突きつけ、2週間後の3月29日号に呉座氏からの回答が掲載されています。
IZAWA.JPG
出典:井沢元彦氏のtwitter

私は日本史は素人ですが、野次馬として論争を眺める分には面白いので、自分のための備忘録としてまとめを書いておきます。
#実は、今後の血液型論争の参考にしたいという理由もあります…。(^^;;

まず、井沢氏と呉座氏の直接対決になったアゴラ上の主な投稿は次のとおりです。

【アゴラ】
●八幡和郎氏の投稿(主なもの)
百田『日本国紀』は井沢『逆説の日本史』に似てる? 2018年11月23日 06:00
「週刊ポスト」で井沢元彦氏が呉座氏に公開質問状 2019年03月05日 11:31
呉座氏の学者としてのプライドは素晴らしいが 2019年03月09日 11:30
「日本国紀」は世紀の名著かトンデモ本か 2019年03月16日 06:01
呉座 VS 井沢:歴史学者だけが歴史家なのか? 2019年03月20日 06:01
八幡和郎氏のfacebook【追記】
●呉座勇一氏の投稿(主なもの)
『日本国紀』問題を考える―歴史学と歴史小説のあいだ① 2019年01月17日 06:02
『日本国紀』問題を考える―歴史学と歴史小説のあいだ② 2019年01月18日 06:01
八幡氏への反論:歴史学者のトンデモ本への向き合い方 2019年03月06日 17:00
在野の歴史研究家に望むこと 2019年03月21日 16:00

【Twitter】
井沢元彦氏
呉座勇一氏(承認制)

【Togetterまとめ】
呉座勇一vs井沢元彦、直接全面戦争ハジマタ
呉座勇一氏、井沢元彦氏に反論(週刊ポスト 2019年3月29日号)〜その反響/一方「呉座―本郷和人」論争の気配…?

【はてなブログ】
国家鮟鱇
アゴラの呉座氏の井沢元彦批判は適切か? 2019-01-20
アゴラの呉座氏の井沢元彦批判は適切か?(追記) 2019-01-21
アゴラの呉座氏の井沢元彦批判は適切か?(簡易版) 2019-01-21 

ネット上で見る限り、圧倒的に呉座勇一氏が優勢です。
きちんと数は数えていませんが、感覚的には90~95%が呉座氏支持のようです。
正直に言うと、これはちょっと意外でした。もう少し井沢氏のファンがいると思っていたのですが…
残念なことに、あまり論理的に詰めた議論は見つけられませんでした。
#これは、最近の血液型論争と共通する傾向です。

【週刊ポストの主な論点と回答】
●井沢元彦氏の質問(3月15日号) 
1. 日本の歴史学界は宗教を軽視している。
2. 安土宗論は信長による八百長ではない。井沢氏が埋もれていた林彦明説を紹介し、八百長だという通説を「一蹴」した。その証拠に、ウィキペディアの記述も井沢説をベースにしたもの変更された。
3. 藤原京を建設した持統天皇がある種の宗教改革を行い、その結果首都固定が可能になった。
●呉座勇一氏の回答(3月29日号) 
1. 現在の日本の歴史学界が宗教軽視という理解はあたらない。一例として、三重大学の山田雄司氏の専門は怨霊研究であり、複数の著書もある。
2. 井沢氏が通説を「一蹴」したとの評価には従えない。ウィキペディアの記述はともかく、歴史学界では、信長が何らかの介入を行ったという見解が今なお主流である。
3. 科学的根拠がまったくないので論評の必要はない。


【2019.3.24 13:20 追記】
私の疑問点を書いておきます。

最初は、「1.日本の歴史学界は宗教を軽視している」です。
ここでは、ポイントを絞って、呉座勇一氏が宗教を軽視しているかどうかとします。
それなら明確で、呉座勇一氏は「宗教を軽視して」いると言えます。
呉座勇一氏本人の論文「日本中世の地域社会における集団統合原理の研究」の最後にはこうあります。

一揆の本質を神への誓約ではなく、文書に基づく人と人との「契約」に見出すべきなのである。

ここで注意しなければならないのは、「契約」という言葉です。
この言葉は昔からありましたが、明治になって欧米の「契約」という意味での法律用語になりました。明治以降の日本はまがりなりにも「法治国家」ですから、もし誰かが「契約」を守らない場合は裁判を起こして強制的に守らせることができます。
しかし、中世の一揆だったら裁判なんて起こしようがないから、一種の強制力として「神」や「宗教」が必要になるというのが一般的な理解ではないでしょうか。いや、それよりは、日本の「土着的な規範」という方が妥当かもしれません。

山本七平氏や井沢元彦氏の言うように「みんなで決めたことは絶対である」というような共通認識がないかぎり、紙で書いただけの「契約」なんて守られませんから…。なお、欧米での契約は「神」との(あるいは神を仲介とした)契約だから絶対守らないといけない、というのが起源となっています。

※参考までに、池田信夫氏のブログ には「人間には文化的レベルでも、集団を維持する感情が(おそらく遺伝的に)そなわっている。それが信仰である。宗教は今では生存上の意味をもたないが、かつては人々を利他的に行動させて集団が生き残る重要な武器だった。」とあります。
すべての進化は「集団淘汰」である


次は、「2. 安土宗論は信長による八百長ではない」です。
呉座氏の回答は、大きく分けると次の3つになります。しかし、これらはそれぞれ矛盾すると思えるので、いったい氏が何を主張したいのか、少なくとも私には理解できません。

a. 仮に、安土宗論は八百長ではないという林説が正しかったとしても、功績があるのは提唱者の林彦明氏であり、紹介者の井沢氏ではない。
 それでは、林説は正しいのかというと、
b. 歴史学界で安土宗論に関する議論が低調だったのは、日本仏教史の権威である辻善之助氏に忖度したからでは無く、おそらく現存の宗教団体が関わるデリケートな問題だからであろう。
 ということは、デリケートな問題だから結論は出ていないのかと思うと、
c. 井沢氏が通説を「一蹴」したとの評価には従えない。ウィキペディアの記述はともかく、歴史学界では、信長が何らかの介入を行ったという見解が今なお主流である。

はたして、これらの3つが同時に成り立つのものなのでしょうか?

c.によると、そもそも安土宗論は八百長ではないという林説は最初から間違っているのだから、a.のこの説は「正しかったとしても」と書くことはありえません。
b.によると、議論が低調だったのは「現存の宗教団体が関わるデリケートな問題」だから、明確な結論は出るはずはありません。逆に、議論が低調でもデリケートな問題でも結論が出ているなら、そもそもそんなことが問題になるはずがないので、この説明は不要です。
あるいは、安土宗論は八百長であるという見解は主流であるが、学界として明確な結論はまだ出ていないということなのでしょうか?

それなら、はじめからそう書いていただければ素人にもわかりやすいと思うのですが…。

最後に、「3. 藤原京を建設した持統天皇がある種の宗教改革を行い、その結果首都固定が可能になった」ですが、上の2つの私の解釈が妥当だとすると、「1.日本の歴史学界は宗教を軽視している」から回答しようがないということなのでしょうか…。
あるいは、キリスト教の宗教改革なら社会科学的に分析されているが、日本ではそういう研究(持統天皇による宗教改革といった研究)は存在していないので、現時点ではコメントできないということなのでしょうか?
それとも、歴史学界で安土宗論に関する議論が低調だったのは、辻に忖度したからでは無く、おそらく現存の宗教団体が関わるデリケートな問題だからであろう」とあるように、皇室の菩提寺である京都の「泉涌寺」は「現存の宗教団体」ですから、回答を避けるということなのでしょうか?
あるいは、別な意味があるのでしょうか?

最後に一言。
呉座氏のtwitterのアカウントは「非公開」となっています。対する井沢氏は公開されています。確かに、呉座氏が非公開にする理由も理解できなくはないのですが、ちょっと残念な気がします。

追伸
呉座氏は、「広く一般に普及したのは『逆説(の日本史)』に書いたからだ、という井沢氏の言い分もわからないでは無い。だがそれは歴史ライターとしても功績であって、歴史研究者としての功績では無い。学問の世界では、他人の学説を一般向けに解説しただけでは研究業績とは認められない。」と書いています。
私は、有名なサイエンスライターの竹内薫さんが、サイエンスライターの地位はアメリカでは高いんだけどなぁと残念がっていたのを思い出しました。文化の違いなんでしょうか?

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コメント(4) 

コメント 4

欺善者

日本の歴史学界は宗教軽視というのは、仰るとおりだと思いますよ。何しろ、日本の歴史学界などは唯物史観の左翼に占領されていますから。宗教や皇室・神話、伝統文化の否定という観点から、史料などによる歴史実証主義に陥っていますから、科学的根拠のないものは信用できない、証明できないことは無かったことにされてしまうんだそうです。科学崇拝・宗教否定といったところでしょうか。

池田信夫の「すべての進化は集団淘汰の結果ともいえる。これはこれは生物学だけではなく、社会科学にも「ダーウィン革命」を起こす可能性がある」を拝見しましたが、ユダヤ人のダーウィンのデタラメ・進化論に真面目に言及しているところを見ると、歴史の進化的法則・社会科学という共産主義者丸出しだと思いました。要するに、淘汰とは暴力革命のことで、共産主義社会に進化するのは歴史の必然的な社会科学、つまり唯物史観ということです。

因みに私は、この3名のことは殆ど知らないのですが、論争の展開が血液型の論争の際にも参考にならないかという意味でしょうか。

by 欺善者 (2019-03-24 18:27) 

ABOFAN

>日本の歴史学界は宗教軽視というのは、仰るとおりだと思いますよ。
学会誌の論文のタイトルを調べても、ほとんど宗教らしきものはないようです。なぜ、それでも宗教軽視でないというのか理解できません。ちょっと調べたらわかっちゃいますよね。

>論争の展開が血液型の論争の際にも参考にならないかという意味でしょうか。
在野と学界の論争であることは共通ですからね。違うのは、血液型では面倒な統計や外国語の1次資料は、在野は読んでるのに、学界では読んでないということです…。
この点は歴史学とは正反対ですが、学界の反応はかなり共通しています。

by ABOFAN (2019-03-24 20:23) 

欺善者

>学界の反応はかなり共通しています
なるほど、そういう視点でしたか。気付きませんでした。どちらも左翼の巣窟のようですね(笑)
日本の歴史学界なんて、歴史捏造のために存在すると言っても良いくらい。

在野と学界の論争というのも面白い捉え方ですね。
でも在野というのは謙遜し過ぎでは。少なくとも私の中では血液型も一学界の一つなので。
日本の、いや、世界のアカデミズムが、丸ごと左翼の巣窟だと疑って掛からなければならない位、ユダヤ人学者と左翼が学問世界を牛耳ってます。
学界や社会からの左翼の追放と、血液型人間学の学問的地位、国民の覚醒はセットだと願っています。

医学界まで左翼に席巻されていることを考えると恐ろしくなってきます。共産党系の病院に入ったら死体になって出てきそうだし(笑)
しかし、医療現場では命を守る・救うことが、破壊思想の価値観とは合わないと思うんですが。恐ろしいのは「人間的に」腐ってしまうことです。

因みにご存知かも知れませんが、LGBTのTは、「患者の自己申告」により、心の専門家の精神科医が「性同一性障害」だと認定し、裁判所のお墨付きを得て、戸籍の性が変更されるのですが、そんな社会になってしまいました。

性転換手術のグロ動画を貼るのは憚られるのでやめておきますが、あんなものは、肉を切った貼ったして「女性器風・男性器風」の造形に無理矢理似せただけなのに、本人を含めて周囲まで本当に性が変わったと錯覚しているのだから、もはや、同性愛に耽るソドムとゴモラを神が滅ぼすという、聖書の終末思想が本当に出現してしまいました。本当に地獄の炎で焼かれるんでしょうか。戦争?人間の精神はこれ程までに操れるものなんですね。

LGBTブームを作り世界の潮流のように仕立てて、ゴイムの精神を狂わせているのはコイツらしかありません。
https://www.google.com/search?q=%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB+%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi88dTF5azgAhUN8LwKHS2FAgsQ_AUIDigB&biw=1100&bih=569#imgrc=_

by 欺善者 (2019-03-24 22:13) 

omachi

お腹がくちくなったら、眠り薬にどうぞ。
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。
by omachi (2019-12-12 20:18) 

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