SSブログ

泊原発が動いていれば停電はなかった!?《その2》 [北海道大停電]

前回の続きです。

makita-asahi.JPG
北電の強制出所:停電、3回目は不十分 ブラックアウト誘発か  2018.9.20 朝日新聞デジタル

9月21日に電力広域的運営推進機関の資料が公開され、午前3時8分に発生した北海道胆振東部地震により引き起こされた「全道ブラックアウト」の状況が徐々に明らかになってきました。

現在までに公開されている資料をざっくり整理すると次のようになります。

■3:08
・地震発生(総需要308万kW)
■3:08~3:09
・供給力減(△181万kW…苫東厚真2,4号機、一部の水力、風力全部などが停止)
・需要減 (△143万kW…1回目の強制停電実施[道東エリア]など)
・本州からの緊急融通開始
→本州からの緊急融通でカバーし需給が回復
■3:09~3:19
・需給が回復したため、3:09に強制停電[道東エリア]を解除
・照明・テレビ等で需要が増加
・火発を増力(伊達2号機、奈井江1号機など)
・本州からの緊急融通を最大限にまで増力
→火発増力と本州からの緊急融通で需給が回復したため3:09に強制停電を解除
■3:20~3:24
・供給力減(△20万kW…苫東厚真1号機出力低下)
・需要減 (△16万kW…3:22に2回目の強制停電実施)
→強制停電により需給が回復
■3:25
・供給力減(△10万kW…苫東厚真1号機停止)
・需要減 (△6万kW…3回目の強制停電を実施)
→供給が需要にわずかに不足し全道ブラックアウト発生
■その他
・苫東厚真1号機が不調でも発電を続けていたのは、旧式で自動停止装置がなく自動停止不可のため
・苫東厚真2,4号機は自動停止装置が動作し停止
・太陽光は深夜のため発電実績なし
・風力も停止


全道ブラックアウトの一番大きな原因は、地震発生時(3:08)の電力総需要308万kWのうち、半分以上の180万kW(うち苫東厚真1,2,4号機で約150万kW)を短時間で失ったことでしょう。

HOKUDEN1.jpg
出所:電力広域的運営推進機関の資料

なぜなら、現状では泊原発が停止しているため、石炭火力に頼らざるを得ないからです。
泊原発が稼働していた2010年8月31日のデータでは、午前3時ごろの苫東厚真1,2,4号機の合計で約70万kWと現在のほぼ半分となっています。

HOKUDEN2.jpg
出所:NPwrAGWさん提示のグラフ

また、あくまで結果論ですが、1回目の強制停電[道東エリア]で130万kWの節減をそのまま続けていれば、本州からの緊急融通60万kWと合わせると最大190万kWになるので、なんとか乗り切れたかもしれません。

HOKUDEN4.JPG
出所:電力広域的運営推進機関の資料

ただ、これらはすべて自動的に行われたはずですから、能力が限界に近い場合にも設計どおり動作するかどうかはわかりません。
あるいは、苫東厚真1号機に自動停止装置があれば、大丈夫だったのかもしれんません。

では、泊原発が稼働していた場合はどうでしょう?

前述のとおり、2010年8月31日のデータでは、午前3時ごろの苫東厚真1,2,4号機の発電量は合計で70万kWです。
他の条件が変わらないとして単純に計算すると、苫東厚真発電所の地震で失われる電力は今回の150万kWから80万kW少ない100万kWとなります(原発停止で150万kW-原発稼働で70万kW=80万kW)。

これらをカバーできるのは同じく最大190万kWですから、常識的に考えてこれだけ余裕があれば「全道ブラックアウト」は避けられた可能性は相当高いと思います。
なお、泊原発付近の震度は「2」ですから、北海道胆振東部地震で停止する確率は無視していいはずです。

もっとも、泊原発が定期検査などの理由でフル稼働していない場合は、データがないので計算できません。

以上のことから、泊原発が稼働していれば、「全道ブラックアウト」は避けられた可能性は相当高いのではないでしょうか?

とはいっても、これらはあくまで「素人」である私の推測に過ぎません。
近いうちに発表される専門家の分析結果を待ちたいと思います。


コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント