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原発の新規制基準適合性審査は標準的には2年だが泊原発は既に5年以上が経過… [北海道大停電]

前回の続きです。

保冷所さんが、こんなことをつぶやいていました。

じゃ、北電が「任意の協力」を拒んだらどうなるのか…安全基準の審査を理由に定期検査が異常に長引いても、北電は否応なく従わなければならないのか、と…そういう話ですね。


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確かに法律的には「標準的」にどのぐらいの期間を想定しているのか気にはなっていたのですが、調べるのが面倒なのでそのままにしていました。
誰かやってくれないですかね…と言ってもしょうがないので、やっつけ仕事で調べた結果を備忘録として公開しておくことにします。
間違っていたら誰か指摘をお願いしますね。[たらーっ(汗)]

さて、原子炉等規制法のような法律は、たいていは申請から許可が出るまでの標準的な期間を決めることが法律的に義務づけられています(行政手続法で決まっていて「標準処理期間」と言います)。
結論から言うと「新規制基準適合性審査申請」の標準処理期間は「2年です(法律は2012年6月27日制定、この標準処理期間は約1年後の2013年11月27日に決定)。

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泊原発の申請日は2013年7月8日で、本日2018年9月24日もまだ審査中だそうです。

article43-8-1 shinsei.JPG

標準処理期間の2年どころか、既に5年以上が経過しているので、明らかに原子炉等規制法の趣旨は守られていないということになります。
もちろん、想定外に面倒なケースもあるので、審査する期間を伸ばすことは可能ですが、そのときには理由書が必要になります。
理由書がないとするなら、厳密に言えば違法でしょう。
そんなこと聞いたことがないのですが、あるのかな?

あるいは、私の調べ方が間違っているのでしょうか?
原発の新規制基準適合性審査は、「発電用原子炉(実用発電用原子炉に限る。)変更の許可」(原子炉等規制法第43条の3の8第1項)でよかったはずなのですが…。
当時の田中委員長も、参議院の原子力問題特別委員会でそう答弁しているのでいいはずです。

参考までに、原子力規制委員会が電力会社へ出す是正措置や停止の命令には標準処理期間が設けられていません。
つまり、既存原発が「新規制基準適合性」を満たさないことに気づき、その場合に是正措置や停止を命令しなくても(少なくとも法律上は)違法ではありません。


【参考資料】

参議院会議録情報 第187回国会 原子力問題特別委員会 第2号 平成26年11月12日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/187/0164/18711120164002a.html
○政府特別補佐人(田中俊一君[当時原子力規制委員会委員長]) 当委員会では、行政手続法に基づいて、原子炉等規制法に基づく処分に係る審査基準を定め、公表しております。例えば、実用発電用原子炉の設置変更許可における審査基準としては、設置許可基準規則やその解釈も定めて公表しております。
 これらの基準では、技術の進歩に合わせて事業者が規制要求の実現方法を柔軟に選択できる仕組みとする方が新技術の取り入れが進み安全性向上に寄与するという、これは国際的にも共通の考えでありますが、いわゆる性能要求というものを要求しております。このため、事業者が個々の施設については基準の要求を満たしていることを説明していただく必要があります。
 原子力委員会は審査の中でその妥当性を確認していくということでありまして、こうしたやり取りの中で追加の資料提出が必要になるということはあり得まして、残念ながら新しい規制基準に対しては非常に多くの変更がございまして事業者の方も少しその対応に戸惑っているところもありますが、やはりここは安全を守るということが大事ですから、そういったことについては厳しく見させていただいております。
 当委員会としては、こうした事業者の自主性を重んじて、事業者の申請の特徴を踏まえて個別に当該基準への適合性を確認することが重要だというふうに認識しております。
 標準的な期間でございますけれども、私としては、個人的にはできれば速やかにいけば半年ぐらいということを申し上げたこともございますが、実際には、設置変更許可のいわゆる標準的な期間としては二年とされております。ですから、まだ二年はたっておりません、たっておりませんので、そういう意味ではその基準は満たされているというふうに思っています。

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律関連
審査基準
《最新版》平成29年09月11日
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等に基づく原子力規制委員会の処分に係る審査基準等
第43条の3の8第1項
発電用原子炉(実用発電用原子炉に限る。)変更の許可
標準処理期間2年
第43条の3の23第1項
発電用原子炉(実用発電用原子炉に限る。)施設の使用の停止等
基準は、第43条の3の23第1項、実用炉設置許可基準規則及び実用炉技術基準規則によるものとする。(※3)
※3:更に具体的な処分基準を作成することは困難であるため、具体的な処分基準を設定しない。
第43条の3の23第2項 発電用原子炉(実用発電用原子炉に限る。)施設の防護措置に係る是正措置等の命令
基準は、第43条の3の23第2項及び実用炉規則第91条に規定されている。実用炉規則第91条については、原子力規制委員会が別に定める基準を基とし、個々の事案毎に判断する。
→以上の標準処理期間は平成25年11月27日 原規総発第 1311275 号 原子力規制委員会決定
http://www.nsr.go.jp/data/000186473.pdf

新規制基準適合性に係る審査・検査の流れ
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/unten.html

原子力施設新規制基準適合性審査状況
http://www.genanshin.jp/facility/map/


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