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O型は献血好き? [論文]

O型は献血が好きだという論文が、2017年12月9日~10日の行動経済学会第11回大会で発表されました。

行動経済学会11.PNG

ポスター発表
佐々木周作,船崎義文,黒川博文,大竹文雄
血液型と献血行動:純粋利他性理論の検証


この論文では、2017年に大阪大学が20歳以上の約1500人に実施した「くらしと好みの満足度についてのアンケート調査」のデータを分析しました。各血液型の割合は、日本人の平均とほぼ同じでした。

しかし、過去1年以内に献血した人では、A型4.1%、B型4.3%、O型7.5%、AB型7.1%となり、危険率5%で有意となりました。つまり、O型とAB型が多いということです。

kenketsu2.png

この結果はどう解釈すべきなのでしょうか?
単純にO型とAB型は献血する人が多いということなのでしょうか?

佐々木さんらは、次のように結論付けました。

この調査では、骨髄バンクへの登録、脳死の場合の臓器提供を同意するサイン、金銭的な寄付額といった利他的行動についての客観指標と利他性、一般的信頼、互恵性、協調性なども調査しましたが、血液型による差はありませんでした。
ところで、回答者の74%が「O型の血液型は、O型以外の血液型に輸血できる」ということを知っていました。そこで、そういう知識のない26%の人の回答を集計したところ、血液型による献血率の差は見られませんでした。
つまり、O型は他の血液型より献血が役に立つと知っているから、献血する人が多いということです。

私が最初にこの論文を読んだときには、なるほど、経済学で超有名な大竹教授の研究チームはさすがにシャープな分析をしている、と非常に感心しました(ちなみに、私は大竹教授の著書を持っています・笑)。
しかし、少々気になる点もあります。というのは、この調査の献血率の数値は、あくまで「自己申告」だからです。

現実はどうなのでしょうか?

実は、多くの献血センターでは、各血液型の献血率のデータを持っています。それによると、日本の献血率は6%程度ですから、この調査ではA型とB型の数字は低め、O型とAB型の数字は高めに出ています。そして、私が知る限り、各血液型の割合はほぼ日本人平均と一致しているのです。ちゃんと裏付けもあります。

少々古いのですが、一例として、東京都赤十字血液センターの広報担当者はこう言っています。

Exciteニュース Excite Bit 2008年4月23日付
なぜO型の血液ばかりがいつも不足してるのか

O型はやっぱり慢性的に不足してるの? 同センター[東京都赤十字血液センター]の広報担当者に聞いてみた。
年間通して見ると、献血をしている人数も使われている血液の量も、だいたい人口に占める割合(A型4、O型3、B型2、AB型1)に落ち着くんです。でも、確かに、O型の需要は3割よりちょっと多く、常に不足している状況ではありますね」

つまり、O型とAB型の献血者が多いのは、あくまで「自己報告」の数字で、現実にはほとんど差がないということなのです!

これを裏付けるように、佐々木さんらは、現実の献血率を赤十字血液センターに確認した様子はありません。なぜウラを取らずに論文にしたのかはわかりませんが、学術論文としては少々軽率なのではないでしょうか?

こうなると、一番妥当な結論は、自己報告の回答には、血液型による“性格”の違いが如実に現れるということでしょう。
追試が待たれます。

【参考文献】
日本経済研究センター
大竹文雄の経済脳を鍛える
2017年12月14日 O型の人はなぜ献血するのか?
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