SSブログ

日本人女性研究者による血液型と性格に関係があるという論文 [論文]

最近、血液型と性格には関連がある、という日本人の論文[本]が英語で発表されました。
ネットでは、かなり話題になっています。[わーい(嬉しい顔)]

Shoko Tsuchimine, Junji Saruwatari, Ayako Kaneda, Norio Yasui-Furukori (2015), ABO Blood Type and Personality Traits in Healthy Japanese Subjects [http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0126983]

ざっと目を通しましたが、ほぼ予想通りの結果となっているようです。
また、メインの執筆者が女性というのも、現在なら十分ありそうなことですね。[るんるん]
残念ながら、この論文だけでは細かい内容が分からないので、弘前大なり熊本大に行って直接話を聞きたいところですが、誰か仲介者を立てないと難しいでしょうか…。

一応、私の感想を述べておくと

1) 血液型によるTCI(心理学の性格検査)について
大村政男さんのTCIの結果とは違ってます。
次は、この2つに共通する結果のうち、大村さん→今回と対比したものです。
①損害回避傾向 A>O>AB>B→AB>O>B>A
②新奇追求傾向 B>O>AB>A→B=O>A>AB
③報酬依存傾向 O>A>B>AB→A>O>AB>B
残念ながら、大村さんの結果も今回の結果も、上の3項目には有意差はありません。
また、他の有意差が出ている項目でも、η2(影響度を表す数値)が0.01以下なので、大して影響力があるわけではありません。
正直、差はあまりないと考えていいとかと思います。[もうやだ~(悲しい顔)]
2) DBHとの連鎖不平衡(DNA上で近接している遺伝子が連鎖して遺伝する)について
執筆者は、なぜかABO式血液型の遺伝子について、phenotype(表現型)とgenotype(遺伝子型)のみを調査しています。
実は、ヒトのB、O型は、元となるA型から「独立に何回も発生している」ので、仮に連鎖不平衡で説明するとなると、それぞれ元のA型から連鎖しているかどうか調べないといけません。つまり、サンプルのgenotypeの「全ての塩基配列」を調べる必要があるのです。しかし、なぜか今回は調べていないようですね。もっとも、もしシーケンサのデータがまだ残っているとすれば、かなり面白い結果が得られる可能性もあります。

ちなみに、私見では、

1) 単独の質問項目ではη2が0.01程度以上の結果が出ているはず。ただし、最終的に「数項目の性格特性に集約」する過程で、ほとんどの差は互いに打ち消し合って消滅するため、見かけ上は差が出ない(多くの調査で実証済み)。
2) 連鎖不平衡による影響よりは、血液型物質が直接脳神経系に影響している可能性が高い。
です。

それにして、もう少しよく読み込まないと…。[るんるん]

【追記】
そうしたら、この論文の参考文献にこんなのを見つけました。
Am J Hum Genet. 1988 Jan; 42(1): 160–166.
PMCID: PMC1715334
Linkage of a gene regulating dopamine-beta-hydroxylase activity and the ABO blood group locus.
A F Wilson, R C Elston, R M Siervogel, and L D Tran
これも読まないとダメですね。
コメント(0)  トラックバック(1) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 1