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季刊 理科の探検 2015年4月号 特集「ニセ科学を斬る!リターンズ」の間違い《ニセ科学批判ムラの掟》 [理科の探検]

前回の続きです。

「血液型と性格」の真面目な研究者なら、もはや統計データに差がないと信じている人はいないはずです。[るんるん]
統計的、心理学的、そして科学的に分析をするなら、差がないということはあり得ないのですから…。
なぜなら、日本人の7割は血液型と性格に「関係がある」と感じているので、血液型と性格に関するアンケート調査をすれば―つまり統計データでは―必ず差が出ることになります。
こんなに単純な内容なら、統計学や心理学を勉強しなくとも理解できる話ですし、当然ながら差があるという事実は、数多くの論文やデータで裏付けられています。[決定]
ではなぜ、こんな単純な事実を、多くの心理学者やニセ科学批判者は理解しないように見えるのか?
その理由を散々考えて続けて悩んでいました。(ちょっと大げさですが・笑)

が、別に深く考える必要はなかったのです。
日本はどこでも「ムラ社会」です。「心理学ムラ」や「ニセ科学批判ムラ」に属している人なら、血液型と性格に「関係がある」ことを認めるような言動をしてはいけないのは当然のことです。なにしろ、それは「ムラの掟」に反するのですから…。もし、掟に反することをしたりすると、仲間内の評判が悪くなって、最終的には出て行かざるを得なくなってしまいます。[ふらふら]

スケールは全然違いますが、同じような理由で、3.11では「原子力ムラ」、STAP細胞事件では「理研ムラ」が多くの国民からの批判にさらされました。問題を解決するには、ムラ内部の努力もありましたが、ムラ以外の人からの〝外圧〟が最大の決定打となったのはご存じの通りです。
内容については、ほぼ書き尽くされているので、あえて私がここで説明する必要はないでしょう。
非常に残念、というしかありません。[もうやだ~(悲しい顔)]

さて、話を元に戻します。
「ニセ科学批判ムラ」の住民としては、長島雅裕さんの行動は実に模範的です。
意外に思うかもしれませんが、クローズドなムラの中では、言論の自由は比較的確保されています。
血液型と性格には「統計データに差がない」と言われているが、実際に分析したみたら差があった(!)というのは実に率直で正直な態度です。ムラのみんなから褒められることはあっても、批判されることはありません。しかし、この事実をムラの住民以外に知らせるのはどうでしょうか? 大先輩であるムラの長老は「統計データに差がない」という過去の発言(失言?)には完全に沈黙しているのです。こういった状態で、長老の昔の〝失言〟を大々的に宣伝するようなことは、当然のことですが「掟」に反します。科学と掟とどちらが大事かというなら、ムラの住民なら誰でも後者を選択するでしょう。[たらーっ(汗)]

季刊 理科の探検 (RikaTan) 2015年 04月号

季刊 理科の探検 (RikaTan) 2015年 04月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文 理
  • 発売日: 2015/02/26
  • メディア: 雑誌

特集「ニセ科学を斬る!リターンズ」の中の『長島雅裕さん 科学教育教材としての「血液型性格判断」』から
決定的ともいえる研究が、1991年に発表されています1)。その要点だけ紹介します。…
血液型性格判断によると、「物事にこだわらない」はB型的な性格だそうですが、実際にはどうだったでしょうか。…
最も「物事にこだわらない」性格となる血液型が、調査ごとに違うのです。これは、この項目の差が有意だったことが、偶然に過ぎないことを示しています。…
最も違いの大きな性格項目でこうなのですから、血液型と性格の間には関係は見られない、という結論になるわけです。
1) 松井豊「血液型による性格の相違に関する統計的な検討」1991、立川短大紀要、24、51-54
このように、彼の「ニセ科学批判ムラ」以外の人に対する主張は、統計データを分析した限りでは「血液型と性格の間には関係は見られない」ということです。

しかし、この記事に先立って行った、2011年の自分自身の研究では、「血液型と性格の間には明確に関連が見られる」とあります。

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書
教員養成課程における科学リテラシー構築に向けた疑似科学の実証的批判的研究
A demonstrative and critical study on pseudo-science for scientific literacy construction at teacher education course
2010年度~2011年度
代表者 武藤 浩二 MUTO, Cosy
研究分担者 長島 雅裕 MASAHIRO, Nagashima
[https://kaken.nii.ac.jp/d/p/22650191.ja.html]
[https://kaken.nii.ac.jp/pdf/2011/seika/C-19/17301/22650191seika.pdf]
《研究概要》
本研究では、疑似科学が用いられた学校教育の実態等を調査するとともに、最近の大規模調査データを用いた血液型と性格に関する解析を行った。…また血液型と性格に関する解析では、過去の研究結果を拡張することができたとともに、21世紀以降のデータでは、安定して血液型ごとに性格の自己申告について有意な差が出ることが判明した。
この報告書では「21世紀以降のデータでは、安定して血液型ごとに性格の自己申告について有意な差が出ることが判明した。」と断定しているのです。彼は分担研究者ですから、この研究は実質的には彼が中心となって行ったと考えるべきでしょう。

では、なぜ彼は2015年4月の『RikaTan』とは真逆の結果を公表したのでしょう? 私の推測に過ぎませんが、この研究報告の対象となる読者は「ニセ科学批判ムラ」の住民だけで、私のような「部外者」が読むことまで想定していなかったので、調査結果をそのまま正直に書いたからだと思われます。

もっとも、ムラとムラ以外の住民との関係にはいろいろなパターンが存在し、日本における血液型の議論では、多くの論争に朱子学的態度が反映される、というようなバリエーションはあるようです。
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