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7/19 読売新聞Web版 血液型と性格「関連なし」…九州大講師が解析 [縄田氏の論文]

7/19の読売新聞Web版に、

血液型と性格「関連なし」…九州大講師が解析
[http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140719-00050087-yom-sci]
血液型と性格「関連なし」…九州大講師が解析
[http://www.yomiuri.co.jp/science/20140719-OYT1T50087.html?from=ytop_main1]

という記事が掲載されました。
 血液型と性格の関連性に科学的根拠はないとする統計学的な解析結果を、九州大の縄田健悟講師(社会心理学)が発表した。
 日米の1万人以上を対象にした意識調査のデータを分析した。「A型の人は真面目」「B型は自己中心的」といった血液型による性格診断は、国内で広く信じられているが、就職や人事などで差別される「ブラッドタイプ(血液型)・ハラスメント」の問題も指摘されており、一石を投じそうだ。
ただ、この論文の「統計学的な解析結果」は明らかに間違っているんですよね…。[たらーっ(汗)]
現在は、「血液型と性格の関連性に科学的根拠はないとする統計学的な解析結果」は、どちらかという心理学の論文では少数派です。
読売新聞の科学部で、ちゃんとわかって書いているのか、ちょっと心配ですね。

理由は、以前にちょっと紹介した、金澤正由樹さんの「統計でわかる血液型人間学入門」にわかりやすく書いてあります。気になる方は、この本でも読んでみるといいでしょう。


統計でわかる 血液型人間学入門

統計でわかる 血液型人間学入門

  • 作者: 金澤 正由樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎ルネッサンス
  • 発売日: 2014/07/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


余談ですが、この記事の出たタイミングが、この本の出版のタイミングと一致するのは、妙に気になりますね。まさかとは思いますが、読売新聞の科学部記者がこの本を買って、対抗するために急いで記事にしたとか…。
もちろん、それは考えすぎというものでしょう。(笑)

【2014.7.20追記1】

次の内容で読売新聞に送信してみました。
-----
紹介された縄田講師の論文は、次のとおり計算が違っているようです。
科学部の記事なのでしょうから、検算をされてはいかがでしょうか?
1. 効果量η2の計算
アメリカで最も大きい差が出ているのはAB型です。アメリカでは極端にAB型が少ないので、F検定のF値とη2が見かけ上低く出ています。4つの血液型の割合が割合が同じだと仮定してみると、単純計算で効果量η2は数倍になります。
2. 効果量η2=3%ぐらいの Q22: If you make a critical decision, take risks or avoid は、危険率0.7%で有意で、論文に紹介されているものより、ずっと危険率は低くなっています。なぜ紹介しなかったんでしょうか? 意図的なものとは考えたくないのですが。
なお、詳細は、次のブログに紹介されています。
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2014-07-19
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12

【2014.7.20追記2】

ところで、念のために今日7月20日の読売新聞の紙面をチェックしたところ、それらしき記事は見当たりませんでした。私の見落としなのか、それとも別な日の誌面に掲載されるのでしょうか?

更に面白いのは、Yahoo!のアンケート結果です。
[http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/life/11989/result]
この記事を読んでも、「関係ある」と答えている人の方が断然多いのです。(笑)
なお、男性が多いので、「関係ある」という回答はやや少なめのはずです。
女性は男性の1~2割多めに出るので、男女平均では、65~70%になるのではないでしょうか。
ちなみに、どの調査でも7割程度の人が「関係ある」と回答しますから、標準的な数字です。
となると、この記事の影響で考えを変えた人はほとんどいない、ということになりますが…。[たらーっ(汗)]

yahoo!アンケート.png

【2014.7.20追記3】

ついでに、この記事では「厚生労働省によると、採用面接などで血液型を尋ねられるケースは後を絶たず、同省は『血液型は職務能力や適性とは全く関係ない』として、血液型を質問しないよう企業に求めている。」とありますが、これは明らかに違憲かつ違法です。というのは、「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」と断定する権限は厚労省にはないからです。もし、本当にそう断定しているのなら、明らかに「学問の自由」の侵害ですから、公式に役人がそんなことを言うはずがありません。(笑)
この点も、読売新聞に送信してみました。

【2014.7.20追記4】

この記事のせいで、だんだん話が大きくなってきました。
日本社会心理学会広報委員会から、こんなお知らせが出たようです。
社会心理学と「血液型性格判断」の関連
[https://sites.google.com/site/jssppr/home/bloodtype-personality]
日米の大規模社会調査データの分析にもとづいて「血液型と性格の関連性に科学的根拠はない」ことを示した論文(縄田, 2014)が読売新聞(2014年7月19日付)で紹介され,大きな話題を呼んでいます.…
野次馬としては面白いですね。
が、なぜか今回の大会では血液型と性格についての発表はないようです。また、日本心理学会でも同じくないようですね。

【2014.7.20追記5】

BLOGOSにも出ましたね。
松田公太
なぜ日本で血液型診断が流行ったか
http://blogos.com/outline/90881/
自分で検算はしてみたのでしょうか?

【2014.7.26追記】

なぜか、またBLOGOSに出ました。
ニセ科学の連鎖は続く
http://blogos.com/article/91249/forum/

コメント(9)  トラックバック(3) 

コメント 9

鈴森

http://16296315.at.webry.info/201407/article_21.html
「血液の闇」船瀬俊介・内海聡著、という本が出ました。
「輸血は受けてはいけない」というサブタイトルです。
輸血は有害なのに、ボロ儲けビジネスなので存続されています。
ABO式血液型と輸血には深い関係があるので、1度読まれてみては。
血液型人間学を批判する人たちは、輸血の有害さも認めないとは思いますが、中には血液型人間学の批判材料に使う人もいるかもしれません。
先に読んでおいて損はないと思います。
by 鈴森 (2014-07-22 07:58) 

後藤

> 現在は、「血液型と性格の関連性に科学的根拠はないとする統計学的な
> 解析結果」は、どちらかという心理学の論文では少数派

「少数派」と断言された根拠を示してください。
統計学的に有意な論文のうち、「ある」と「ない」をそれぞれタイトルで列記してください。
by 後藤 (2014-08-01 13:46) 

ABOFAN

鈴森さん、情報ありがとうござまいます。

それから、後藤さんのコメントですが、統計的に有意なものは次の6件です。
聖徳大学 山岡重行 血液型性格項目の自己認知に及ぼすTV番組視聴の影響 2006年
名古屋市立大学 久保田健市 潜在的な血液型ステレオタイプ信念と自己情報処理 2007年
東京女子大学 工藤恵理子 自分の性格の評価に血液型ステレオタイプが与える影響 2009年
東京医科歯科大学 藤田紘一郎 免疫学からみた血液型と性格 2009年
延世大学 孫教授 血液型類型学研究に対する概観」(A Review of Sociocultural, Behavioral,
Biochemical Analyses on ABO Blood-Groups Typology)2007年
成均館大学 金准教授 血液型の分布(Blood-type distribution)
by ABOFAN (2014-08-02 09:35) 

ABOFAN

匿名48さんの次のコメント
-----
>ただ、この論文の「統計学的な解析結果」は明らかに間違っている
>んですよね…。 (中略)
>理由は、以前にちょっと紹介した、金澤正由樹さんの「統計でわかる
>血液型人間学入門」にわかりやすく書いてあります。
具体的にどう間違っているのか説明して頂けないでしょうか。
by 匿名48 (2014-08-01 18:19)
7月16日 NATROMの日記 近藤誠氏による乳がんの生存曲線のインチキを解説してみる
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2014-07-16
-----
は別のエントリーに投稿されましたが、このエントリーの内容なので、ここに書きます。

さて、この論文の「統計学的な解析結果」は、読売新聞にこう解説されています。
-----
縄田講師は、経済学分野の研究チームが、2004~05年に日米の1万人以上を対象に、生活上の様々な好き嫌いなどを尋ねた意識調査に、回答者の血液型が記載されていることに注目。血液型によって回答に違いがあるかどうかを解析した。
その結果、「楽しみは後に取っておきたい」「ギャンブルはすべきではない」など、計68項目の質問に対する回答のうち、血液型によって差があったのは「子供の将来が気にかかる」などの3項目だけで、その差もごくわずかだった。このため「無関連であることを強く示した」と結論づけた。
-----
しかし、これは明らかにおかしいのです。なぜなら、(パーソナリティ)心理学で定義する性格というのは、「自己評定」だからです。
なので、血液型と性格に「関係がある」と思っている人の自己評定なら、必ず思っているとおりの差が出るはずです。
そして、この新聞記事に関係してYahoo!が行ったアンケートでも、「関係がある」と回答したのは過半数です。
つまり、日本人の「統計学的な解析結果」なら、この論文のような性格の自己評定のアンケートを結果なら、「必ず差が出る」ということになります。
#もし差が出ないとしたら、やり方が悪かったということです。
つまり、この論文で統計的に差が出なかったのは、おそらく質問項目が悪いのではないかと考えられます。

なお、以上の考え方は、金澤正由樹さんや私だけではなく、多くの心理学者が認めていることです。

論文の執筆者である縄田さんが、こんなことはを知らないはずはないのですが…。
by ABOFAN (2014-08-02 10:03) 

匿名48

御丁寧な回答ありがとうございました。

なるほど、ABOFANさんの考えが理解できました。
確かに言われるとおりの差が出るはずですね(^^)

しかし自己評定による判定ってどうなんでしょう?
この方式で真の判定が出せると思われますか?

本人が「自分はこうだ」と思い込んでいるだけで、
他人から見たらそうでもないことってあると思うのです。
では何故「自分はこうだ」と思うのかと言うと、
それは血液型と性格に「関係がある」と思っているからでは、と考えています。
そこの点を意識させないような質問方式にしないと、
関係があるかないか、って判定できないと思うのです。

つまり、
「自分はこういう性格だと思う」という質問方式ではなくて、
「こういうシチュエーションだと、自分はこうする」という実際の行動を問う質問にしないと、
判定できないと思うのです。

それが今回、縄田さんが論文で題材にされた質問だったのではないでしょうか。
であるから「関係が無い」と断言されたのではないでしょうか。


・・・と私は考えるのですが、ABOFANさんはどう思われますか??

by 匿名48 (2014-08-04 15:09) 

匿名48

あと、Yahoo!のアンケート結果ですが私は検討対象から外しています。
なぜなら他のニュースサイトだと全く違う結果が出ているからです。

http://www.j-cast.com/2014/07/21211037.html
関係ある=41% 関係ない57%
by 匿名48 (2014-08-04 15:15) 

ABOFAN

> しかし自己評定による判定ってどうなんでしょう?
> この方式で真の判定が出せると思われますか?

「真の判定」なんて、現在は誰もできません。
だから、仮の判定でもなんでも、使えるものは使うということでいいと思いますが。

> 本人が「自分はこうだ」と思い込んでいるだけで、
> 他人から見たらそうでもないことってあると思うのです。
> では何故「自分はこうだ」と思うのかと言うと、
> それは血液型と性格に「関係がある」と思っているからでは、と考えています。
> そこの点を意識させないような質問方式にしないと、
> 関係があるかないか、って判定できないと思うのです。

それはそうなんですが、心理学以外の方法では、うまく数値化できないというのがネックになります。
頭の中では考えられるとしても、実際に数値化できないのでは統計的な分析は不可能です。

> 「こういうシチュエーションだと、自分はこうする」という実際の行動を問う質問にしないと、
> 判定できないと思うのです。

そういう質問でも差が出ていますよ。
ただ、ここで問題になるのは、心理学者がこの方法を認めないことです。
だから私は、あくまで心理学者の方法をそのまま使うことにしています。(苦笑)

> それが今回、縄田さんが論文で題材にされた質問だったのではないでしょうか。
> であるから「関係が無い」と断言されたのではないでしょうか。

いいえ、そうではないでしょう。
7/19 読売新聞Web版 血液型と性格「関連なし」…九州大講師が解析(続)
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2014-08-03
に書いたとおりです。
縄田さんは、差が出ないとおかしいことは、初めからわかっていたはずです。しかし、血液型と性格を否定しながら、かつ自分のデータとの整合性を取るなら、ああいう書き方しかなかったのだと思いますよ。

> あと、Yahoo!のアンケート結果ですが私は検討対象から外しています。
> なぜなら他のニュースサイトだと全く違う結果が出ているからです。

http://www.j-cast.com/2014/07/21211037.html
関係ある=41% 関係ない57%

これは、J-CASTが否定的な論調で書いているから、そういう人が集まって投票するからそう見えるだけですよ。
もし、この数字が本当だとするなら、コンパで血液型の話題を否定すると周りの人から白い目で見られる、といった笑い話はないはずです。(笑)
逆に、肯定的な論調なら「関係ある」は8割ぐらいに伸びます。
ですので、一般的には、何らかの関係があるが7割で、大きく関係するは1割以下です。
by ABOFAN (2014-08-04 23:42) 

匿名48

ABO FANさん
御丁寧な回答ありがとうございました。
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2014-08-03 も合わせて、
とても興味深く読ませて頂きました。
私自身「やはり関連あるんだ」と納得するには引っかかる点がまだある状況です。
もしお時間よろしければ引き続きお付き合い下さい。


>いいえ、そうではないでしょう。
まず2014-08-03のことですが2点気になった点があります。

1つめ。
「もう一度縄田氏の~考えるしかありません。」の部分について。

論文では「違いがない可能性を示す」とする論文の紹介と、
「有意差が見られた」の両者の紹介がされていました。
ここでABOFANさんの指摘されているのは後者の論文に関して記述されている所です。

逆の視点で考えて言うと「後者の質問が悪い(思い込みが反映されやすい質問)から、
有意差が出たのでは?」と言えるからです。
特に前者においては大規模データを用いた研究であることもあり、
どちらがデータとしての信憑性が高いかを考えると、それは前者にあるように思うのです。


続いて2つめ。
「更に奇妙なのは~とは矛盾します。」の点は、
文章のとらえ方が少しズレてしまっているのでは、と思いました。

確かに、山岡氏(2006)のデータは2000年代のもので、
「つまり,血液型性格判断を信じることが自身の性格(少なくともその認知)を
変化させるといえる。」と縄田氏は言っています。
ただ、考察にある「2000年代のデータで血液型間の差は見られないことを示した」は、
過去の他の方の論文に関して言われたことではなく、「本研究」に関して言われたことです。
「本研究」とは、考察の最初に述べられている「2004 年,2005 年に日本とアメリカで~
関連性を検討した。」です。
ですので、矛盾しているようには思えないのです。


>J-CASTが否定的な論調で
納得しました(^^)
逆にYahoo!のアンケートは中立的な考え方だったのでしょうかね…?
見つからなくて良くわかりませんでした。

by 匿名48 (2014-08-08 14:24) 

ABOFAN

新しいエントリーを立てましたのでご覧ください。
7/19 読売新聞Web版 血液型と性格「関連なし」…九州大講師が解析(補足)
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2014-08-08
by ABOFAN (2014-08-08 22:20) 

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