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論文:血液型と性格の無関連性【1桁の計算違い】 [縄田氏の論文]

前回の続きです。

最近、こんな興味深い(私の興味をそそる[exclamation])論文[本]が発表されました。

血液型と性格の無関連性――日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠――
心理学研究 Vol. 85 (2014) No. 2 p. 148-156
縄田 健悟 (京都文教大学)
[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/85/2/85_85.13016/_article/-char/ja/]
本人自身の紹介のページ
[http://nawatakengo.web.fc2.com/works/jjp2_abst_jp.htm]

この論文のポイントは、次のとおりです。
1. 大阪大学のウェブ上で社会調査のデータがSPSSを用いて分析が可能である
2. ビッグファイブ性格検査では差がなかった
3. この論文では、2004年と2005年に日本とアメリカで実施された大規模社会調査データ(1.の大阪大学のデータ)を用いて血液型と性格の関連性を検討した
4. 分析の結果、どのデータにおいても、血液型と性格との間に意味のある関連性は見られていない
が、この論文で、血液型がどれだけ性格に影響を与えているかという「効果量」の数字が奇妙だったので、おかしいなと思って自分で計算してみました。
驚いたことに、1桁小さく間違っていますね。[がく~(落胆した顔)]
たぶん、ソフトの数字をそのまま使ったんでしょう。
査読者も気が付かないというのは、ちょっとひどい…。
読者から文句が出なかったのかな?
例えば、最も大きな効果量η2=0.3%とありますが、私が計算すると2%ぐらいになります。

それから、アメリカのデータですが、意図的かどうかはわかりませんが、差が大きく出る次の質問は(なぜか?)計算されていません。
Q22: If you make a critical decision, take risks or avoid
ちなみに、効果量η2=3%ぐらいですから、この調査では最大です。

面白いのは、この質問では、日本人とアメリカ人では全く逆の傾向が出ていることです。日本人はAB型が一番リスク回避的ですが、アメリカ人では一番リスクを取るという結果になっています。
なお、日本人の場合は、まともに分析しては有意差は出ませんが、少々複雑な分析をすると、ちゃんとAB型が一番リスク回避的という結果が出ます。

そのうち、もう少し詳しくサイトにもアップする予定です。

日本最大の心理学会誌で、誰も1桁の計算違いに気が付かないというのも、正直笑えない話です。[たらーっ(汗)]
ということで、この論文は事実上肯定の論文ということになりますね。

【2014.7.13追記】
1. 効果量η2の計算
この論文ではアメリカで最も大きい差が出ているのはAB型です。アメリカでは極端にAB型が少ないので、F検定のF値とη2が見かけ上低く出ています。4つの血液型の割合が割合が同じだと仮定してみると、単純計算で効果量η2は数倍になります(F値とη2はサンプル数に比例)。また、AB型とそれ以外でt検定を行い、効果量dを計算すると、1桁違うとまでは言いませんが、こちらも何倍にもなります。同じことは、多少の違いはあっても日本のデータにも言えることです。
2. 日本人のリスク回避傾向
有意差はありませんが、2004年度と2005年度のスコア上位・下位20%のデータを比較すると、どちらもO型が最もリスク許容的でAB型が最もリスク回避的です。
ただし、スコアの平均値では、この傾向は2004年度のデータのみ当てはまり、2005年度には当てはまりません。
3. この調査によると、アメリカ人で自分の血液型を知っている比率は63.4%と過半数です。また、血液型判明者のうちAB型の比率は7.4%と意外に高いのです。
4. 上に書いた、効果量η2=3%ぐらいの Q22: If you make a critical decision, take risks or avoid は、危険率0.7%で有意で、論文に紹介されているものより、ずっと危険率は低くなっています。なぜ紹介しなかったんでしょうか?
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