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NATROMさん 「ニセ医学」に騙されないために [新刊情報]


「ニセ医学」に騙されないために   危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

  • 作者: NATROM
  • 出版社/メーカー: メタモル出版
  • 発売日: 2014/06/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


NATROMさんの発想がわかる本

彼のブログ「NATROMの日記」に掲載されているので、早速買ってみました。
なるほど、彼と議論する前に読んでおけば…というのが正直な感想です。[わーい(嬉しい顔)]
NATROMさんの論理や発想が、極めてわかりやすく書かれています。


簡単にまとめると、
1. 標準医療は無条件で正しい(もはや信仰に近いと言ってもいいでしょう)
従って、
2. 標準医療に対する批判は受け付けない(または無視する)
ということになります。

私は医者ではないので、標準医療は尊重しますが、現在の標準医療が全部正しいはずがありません。治療法のような技術的なことは、これからもどんどん変わるでしょうし、そうでないと医療の進歩もないはずです。

例えば、最近話題の「糖質制限ダイエット」には、日本の糖尿病の権威はまともな反論はしていません(すくとも私にはそう感じられます)。では、この本にはどう書いてあるのかなぁ、と興味津々で読んでも全く何もない。
同じく、日本のがん治療では、グローバルスタンダードの標準治療は行われていない、と主張する近藤誠氏への批判も全くない。
これだけ(日本の)標準医療が正しいと主張しているだから、全く何のコメントないのはおかしい、というしかありません。
となると、低糖質ダイエットや近藤誠氏は「正しい」から批判できないので無視する(?)と考えるしかないでしょう。
では、一般の人が興味を持ちそうな、これらの話題は、なぜ取り上げないのでしょうか?
その理由として一番可能性がありそうなのは、標準医療の信頼性を損なう、ということでしょう。
彼の論理では、

1. 低糖質ダイエットや近藤誠氏は「正しい」可能性が高い
2. しかし、これらが「正しい」とすると、標準医療の信頼性を損なう可能性がある
3. これらの話題を取り上げることは、標準医療の信頼性を損なって医療全体の質が低下するリスクに比べれば大した問題ではない
4. 従って、これらの話題は取り上げるべきではない

ということだと思われます(違うのかな?)。

ただ、私のような部外者からみると、この論理は明らかに「非科学的」というしかありません。まさに、勝間和代さんの著書「専門家はウソをつく」どおりです。
私のような、素朴な科学信者が違和感を覚えるのは、まさにここなのですね。

もっとも、過去の標準治療が間違っているのが悪い、というのはおかしいでしょうし、標準医療に対する信仰があるのも悪くはないでしょう。そういう人もいないと、良質な医療が提供できないということもあるかもしれませんから…。

ところで、彼の態度は、血液型と性格でも同じようです。

165ページに血液型と性格に対する文章がありますが、まさに上のとおりとなっています。だいたい、このページの文章は論理的でもないし、科学的でもありません。

「O型は大雑把な性格」や「B型はマイペース」など、血液型と性格に強い関連があるという血液型性格診断は日本ではポピュラーである。最近では血液型性格診断には科学的根拠が乏しいことも知られてきたのか、メディアで血液型と性格についての話題を扱う際には「科学的根拠はないとされているが」といった言いわけがついていることも多い。
韓国や台湾といった例外を除き、海外では血液型と性格についての迷信はほとんど信じられてはいない。
さらっと読める文章ですが、ちょっ考えると、この文章は意味不明です。

1. 血液型と性格に強い関連があるという血液型性格診断
2. 血液型と性格についての話題
3. 血液型と性格についての迷信

の3つが同じものかどうかは微妙です。ひょっとして1.と3.は同じものかもしれません。しかし、2.には「弱い関係」が含まれるかどうかは不明ですが、素直に読むと、おそらく含まれるのでしょう。ただ、それなら、わざわざ1.で「強い関連」と断る理由もない。初めから、「血液型と性格に関連があるという血液型性格診断」でいいはずです。結局、何を否定したいのかさっぱりわかりません。
定義がはっきりしないのに加えて、「科学的根拠はないとされている」根拠の論文の紹介もありません。また、「科学的根拠はないとされている」から、科学的に間違っているということもありません。科学的に正しくても、その科学的根拠が発見されていないものは、いくらでもありますからね…。

それに、割と最近に公開された、
Donna K. Hobgood, Personality traits of aggression-submissiveness and
perfectionism associate with ABO blood groups through catecholamine activities, Med Hypotheses. 2011 Aug;77(2):294-300.
という、血液型と性格に肯定的な論文[本]もあります。
ですので、「海外では血液型と性格についての迷信はほとんど信じられてはいない」とは必ずしも言えません。

つまり、

1. 血液型と性格に弱い関連がある可能性は高い
2. しかし、これらが「正しい」とすると、疑似科学批判の信頼性を損なう可能性がある
3. これらの話題を取り上げることは、疑似科学批判の信頼性を損なって科学全体の質が低下するリスクに比べれば大した問題ではない
4. 従って、これらの話題は取り上げるべきではない

ということだと思われます(違うのかな?)。
極論すれば、NATROMさんの疑似科学批判は「信念」の問題であって、科学的に正しいかどうかとは別物です。上のこの論理は明らかに「非科学的」というしかありません。
私のような、素朴な科学信者がいわゆる疑似科学批判に違和感を覚えるのは、まさにここなのです!

もう少し早く理解していれば、彼との議論に別の展開があったかもしれませんね。

10年前の私の質問、

>>> 「統計データがあればメカニズムは無視してもいい」と考えます。
>>> …私が問題にしているのは、メカニズムの不在ではなく、統計データが不十分であることです。

に彼から返事がないのは、上の論理なら実にうまく説明することができます。
つまり、統計的な(弱い)関連はあることを認めることはできない、ということです。
なるほどねぇ。[ひらめき]

【追記】
肝心なことを書き忘れました。
最近、人間ドック学会が、血圧やコレステロール値の新基準を発表して話題になったのは、記憶に新しいところです。
これは、いままでの「標準医療」の信頼性に大きな疑問を投げかけました。
しかし、「標準医療」が絶対(?)というNATROMさんの論理なら、何のコメントも出すはずがありませんし、現に何のコメントも出してません。
私も「標準医療」は尊重すべきだと思いますが、そんなNATROMさんの姿勢には、やはり相当な違和感を感じます。
日経ビジネスによると、米国医学界ではムダな医療を削減する「Choosing Wisely」という指針があるそうです。
私は専門的な話はわかりませんが、少なくとも事実の前には謙虚であるべきではないでしょうか?

【2014.7.6追記】
予想どおりの反応があったので追記しておきます。
これらの反応は、一言で言えば、山本七平氏の言う科学の物神化です。言い換えれば、疑似科学批判という“宗教”に入信しているということですから、私のいうことが事実がどうかということは関係ありません。“聖書”が地球は丸いというなら、地球は丸いのです。[がく~(落胆した顔)]
[1]あいも変わらず、である。
この方も「あいも変わらず」回答拒否のようです。「回答拒否」の時点で既に科学ではありません。面白いのは、血液型と性格に統計的に関係があることは認めざるを得ないが、自分の“信仰”に反するので沈黙していることです。その意味では、正直な方なのでしょう…。
[2]疑似科学批判者は科学は絶対に正しいと信じ込んでいる」とは典型的なダメな反論だ。/反論の根拠が近藤誠と勝間和代か。インチキ医者と自己啓発屋。/「私のような、素朴な科学信者」とは笑うところか。
肝心な「低糖質ダイエット」と「血液型と性格」そして「人間ドック学会」が抜けています。これは、おそらく意図的に抜かしたのでしょう。なにしろ、これらにかかわると、自分の“信仰”を捨てないといけないですから…。その意味では、やはり正直な方なのでしょうか?
[3]「血液型と性格の関係、マンガ、FAQ、科学的・統計的な検証などの情報を提供して」いるブログらしい。少なくともこの記事のめくるめく論理展開にはめまいがする。
何でもいいので、科学的な反論をお願いしたいところです。少なくとも「めまいがする」のは、反論ではありません。[たらーっ(汗)]
ちなみに、NATROMさん自身も読んでいるようですが、反応はないようです。まあ、私の血液型と性格のコメント(10年間無視された私の質問「統計的に関係があることを認めるのですか?」に対する回答要求[exclamation])が削除されたぐらいですから、今後も反応があるとは思えませんが…。残念というしかありません。

【2014.7.7追記】
なんかアクセスが増えたと思ったら、はてブに登録されたんですね。
登録はどういう基準なんでしょうか?
感情的なコメントだけではなく、興味深いコメントがあったので紹介させてください。
[4]平常運転。血液型性格判断FAQ(ABO FAN氏の主張とは無関係)作ってる途中だけど、参考にさせていただきます。
どんな内容のFAQなんでしょう?ブログを見ても公開されいないようなので、いつごろ公開されるのでしょうか?気になります。
[5]よく分からないんだけど、血液型性格診断にきちんとした盲検の統計があるの?
この方は、おそらく真面目な方なんでしょうね。ただ、血液型はトリッキーなデータが多いので「きちんとした盲検の統計」だけではダメなんですね。例えば、同じ血液型でも、男女で逆になるデータもあります(これは比較的単純な例です)。だから、統計のプロでも、手慣れた手法で簡単に分析できる、という考えは捨てた方がいいと思うんですが、どうなんでしょう?

【2014.7.8追記】
続きはこちらです。


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逃げるな屑

妄想を世界にばらまくなゴミ屑

お前の親と面会してまともな教育を施してこなかったことを
説教したいものだ。
by 逃げるな屑 (2014-07-11 13:17) 

ABOFAN

申し訳ありませんが、具体例やデータに基づくコメントをお願いします。
by ABOFAN (2014-07-12 11:21) 

protomed69

まだ公表はしていませんが、疑似科学扱いされているある物理療法を研究していました。現代医学をはるかに上回る有効性があります。生命とその異常である病気、そして治癒は物理法則にしたがっているのですから、物理療法が有効なのです。現代医学の化学的生命観が間違っている、生体内では物理的秩序の下で化学反応が起きているのですから、その秩序を正常化できれば化学反応は正常化するので薬を使うことなく治癒させることができる。効果が不安定ではあるが、鍼灸が有効であるのはそのためです。物理法則にしたがっている現象は決定論であり、確率論である統計学や二重盲検法を適用することはカテゴリーエラーです。疫学に統計学の適用はOKですが、臨床に適用することは、生命現象がランダムで効果的な治療ができないことになるのでNGです。その程度のことが分からずにニセ医学批判をしても、馬鹿と阿呆の喧嘩であり、永久に決着がつくはずもなく、無視するのが賢明でしょう。

「とんでも医学備忘録」という、ほとんど読まれることのないブログを書いています。
by protomed69 (2014-09-26 07:45) 

ABOFAN

恐縮ですが、具体例やデータに基づくコメントをお願いします。
by ABOFAN (2014-09-27 22:38) 

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