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やっぱり「マイナスイオンドライヤー」は効果があった!

Yahoo!ニュースに、「マイナスイオンドライヤー」の記事が掲載されました。

<イオンドライヤー>家電大手4社、不十分な実験で効果宣伝
[http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120823-00000068-mai-soci]

という記事です。
元の東京都の報道発表資料はこちらです。

イオン機能付きドライヤーの実証試験についてメーカーに改善要請しました
平成24年7月11日 [東京都]生活文化局
[http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/07/20m7b300.htm]

ここで不思議なのが、なぜ7月11日発表の資料が、(1か月以上遅れて)8月23日に記事になったのか、ということです。
そして、もっと驚いたのが、「マイナスイオンドライヤー」は、効果が過大に宣伝されているにしても、実際に効果がある!ということです。[ひらめき]

例えば、
消費者の一般的な使用方法とは乖離した試験条件(「冷風モードで20~30分」等)による実証試験であった(3社)
【効能効果の例】
毛髪のうるおい・保湿
毛髪のダメージ抑制
髪質の向上
【実証試験の問題点】
ドライヤーの使用条件を「冷風モードで20~30分」等と設定して検証していた。
⇒ 一般的な消費者の使用実態(※)とは乖離した試験条件による検証結果であり、購入者が実際に使用した際に得られる効能効果と比べ、誇大な表示となるおそれがある。
※事業者が社内モニターに対して行っていた、ドライヤー使用時間に関するアンケートでは、平均5~7分程度であった。(当該アンケートでは、「温風」使用か「冷風」使用かの確認は行っていなかった。)
つまり、「冷風モードで20~30分」なら、確実に効果がある(!?)ということになります。
#東京都が言っているだから、間違いないのでしょう…たぶん。
更に驚いたことに、Wikipediaで「マイナスイオン」を調べてみたところ、東京都生活文化局は、実は2006年の発表を事実上訂正したことがわかりました。
#現在、この発表は東京都のホームページには掲載されていないようです。
東京都生活文化局は、2006年11月、「マイナスイオン商品」に対する注意を喚起し[出典 7]、「マイナスイオンの効果を謳う商品の表示」に関する科学的検証結果を公表した[出典 8]。これによると、景品表示法の観点から、マイナスイオン商品のインターネット表示8件を科学的に検証した結果、マイナスイオン発生量に関する表示には客観的実証が認められず、情報・根拠の表示も不十分であると指摘した。さらに、マイナスイオンの存在自体を否定したり、すべてのマイナスイオン商品の効果・性能を否定するものではないと断った上で、調査対象の8件の商品について、マイナスイオンの効果や性能に関する表示に客観的実証が認められない点を指摘した。対象となった事業者に対して景品表示法の遵守を指導すると共に、通信販売・訪問販売の関係業界に対して客観的事実と根拠に基づく表示の適正化等を要請した。
#奇妙なことに、新しい東京都の発表資料(2012年7月)はWikipediaには掲載されていません。
まぁ、日本のメーカーだから、東京都に営業妨害で損害賠償を請求したりはしないんでしょうが…。

さて、「ニセ科学批判」の人は、どう反応するのでしょうか?
「効果がないなんて言ってない」「効果はあるが、無視できるほど小さい」etc. と血液型と同じパターンなのでしょうか?

なんだか…ですね。[がく~(落胆した顔)]

ところで、東京都が今回調査したのは、日本の4社(パナソニック、シャープ、日立リビングサプライ、東芝ホームアプライアンス)だけですが、他のメーカーはどうなんでしょうか?
ご存じの方も多いでしょうが、実は「マイナスイオンドライヤー」は、海外でも売っています。
家電量販店に行けばわかるように、日本製以外のものもありますし、アメリカのAmazonで"minus ion dryer"で検索すると、いっぱい出てきます。
調査した4社以外は問題がなかったんでしょうかね?
はて?

興味がある方は、次のエントリーもどうぞ!

■その後のkikulog
 [http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2011-01-24]
■『日経エレクトロニクス』11/2号 イオン健康家電の正体
 [http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2009-11-18]
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コメント 8

ssfs

こんにちは、ssfsです。kikulogがなくなってせいせいしています。

東京都の2006年の報告書はURLが変わり、現住所はこちらです。
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/etc/pdf/061127ion.pdf

くどいようですが、都は限定的な商品をヤリ玉に挙げているのであり、マイナスイオンの存在やマイナスイオン商品一般の効能をそもそも否定していないことに留意すべきです。

今回の指摘にもいろいろ疑問があるので、ヤフー掲示板に第1報を載せましたが、続報があるかもしれません。

現在、ドライヤー市場でパナソニックに次ぐ2位を占めるのはテスコムです。3位はコイズミ。それを抜きにして、下位の日立と東芝、製品を出したばかりのシャープを取り上げるとはセンスが悪い調査です。
by ssfs (2012-08-24 02:04) 

ダッツ

『イオン発生機能がない商品との比較をしていないケースも2社であり、ドライヤーの使用前後のデータだけで頭皮の脂の低減効果を強調するなどしていた。』

とも記事に書かれてたけど、イオンの効果では無くドライヤーの効果として強調してたのか気になるとこです。
by ダッツ (2012-08-24 15:47) 

ABOFAN

ssfsさん、ダッツさん、こんばんは。

ssfsさん、2006年の東京都の発表資料のご紹介ありがとうございます。
読んでみましたが、やはり、この発表自体は「マイナスイオン商品」の効果・性能は肯定していません。
例えば、

【冒頭】
したがって、「マイナスイオン」の存在自体を否定したり、全ての「マイナスイオン商品」の効果・性能を否定したりする
ものではありません。

とあるので、ではこの発表資料は「マイナスイオン商品」の効果・性能を肯定しているかというと、全然そんなことはないのです。
なぜなら、

【おわりに】
3 表示された効果・性能に関して、提出資料には当該商品が発生するマイナスイオンが関与していることを具体的に示す試験結果等はなかった。

とあるからです。
しかし、2012年の発表資料では、間接的表現ながら、「マイナスイオン商品」(マイナスイオンドライヤー)の効果・性能を事実上肯定しているのです!
再掲しておくと、

【実証試験の問題点】
ドライヤーの使用条件を「冷風モードで20~30分」等と設定して検証していた。
⇒ 一般的な消費者の使用実態(※)とは乖離した試験条件による検証結果であり、購入者が実際に使用した際に得られる効能効果と比べ、誇大な表示となるおそれがある。

「誇大な表示」ということは、多少は「効果・性能」はあるということですから、その意味では2006年とは真逆の結論ということになります。
これでは、「ニセ科学批判者」が沈黙してしまうのも、無理はないのかもしれませんね。

ちなみに、私はkikulogがこんなに早く消滅してしまうとは思ってませんでした。
もう少し、血液型の宣伝をしたかったので残念です。(笑)
by ABOFAN (2012-08-24 19:32) 

ssfs

都生活文化局は2006年段階で、問題視した8商品以外のことは判断していないので、マイナスイオンを肯定も否定もしていません。今回も見るべきところはドライヤーを使っている時間だけなので、とくに肯定も否定もしていません。真逆の結論ではないので、お間違いのないように。

都生活文化局は肝心なところで逃げを打つ巧妙なレトリックを使っています。しかし、それが分からない単純な人間がアクセスすると、「なんだ、イオンドライヤーには効果がないのか!」というイメージを与えかねません。ある意味、誤解を誘う悪質な文章とも言えます。

kikulogが国民の税金を使って運営される国立大学法人内のサイトとして不適切なのは明らかであり、大学当局は菊池氏に閉鎖命令を下すべきだとずっと考えていました。今回はそれがあったのかもしれません。
by ssfs (2012-08-26 01:50) 

ABOFAN

ssfsさん、コメントありがとうございます。

> 都生活文化局は2006年段階で、問題視した8商品以外のことは判断していないので、マイナスイオンを肯定も否定もしていません。

これはおっしゃるとおりです。
つまり、「肯定」はしていません。

> 今回も見るべきところはドライヤーを使っている時間だけなので、とくに肯定も否定もしていません。

これはちょっと違うと思います。
「誇大な表示」ということは、多少は「効果・性能」はあるということです。
少なくとも「ゼロ」ではありません。
つまり、程度は別としても、「肯定」していることになります。
まぁ、おっしゃるとおり、非常に役所的な文章なことは間違いないですが。(笑)

さて、マイナスイオンドライヤーの効果・性能が「ゼロ」というなら、はじめから方法や時間は問題となりません。
これを、役所的な文章で書くとするなら、「誇大な表示」ではなく(2006年のように)「不当な表示」あるいは「科学的根拠はない」といった内容になると思います。
が、そういう文章はなくなってしまいましたし、はっきり言ってあの発表資料は思いっきり手抜きです。
おそらく、本当は発表したくなかったのだけど、さすがにウソをつくわけにもいかず、さりとて、(理由はわかりませんが)発表しないわけにもいかないし…。
都の担当者としては、前の結果を否定するわけにもいかないので、資料を作成するのに相当苦労したんじゃないかと思います。(苦笑)
マスコミが、ああいう流し方をしたので、ホッと一息というところじゃないでしょうか?
というのが、私の推測です。

2009年11月の『日経エレクトロニクス』の記事が、マイナスイオンを肯定的に書いてしまった以上、自治体レベルでは、あの記事を否定することは不可能でしょうしね。

> kikulogが国民の税金を使って運営される国立大学法人内のサイトとして不適切なのは明らかであり

確かに、あまり適切とは思えませんが…。(苦笑)

> 大学当局は菊池氏に閉鎖命令を下すべきだとずっと考えていました。今回はそれがあったのかもしれません。

例のお茶大の「水商売ウォッチング」の判決を見ると、大学当局が閉鎖命令を下す必要まではなかったと思います。
それよりは、菊池さん本人が「仲間内」からなんか言われるのがイヤだから閉鎖したのではないでしょうか?
例えば、福島第一原発事故については、確かに何らかの「圧力」があって菊池さん本人は発言は取り止めたようです。
また、血液型では、菊池さん本人が間違っている(統計的に差があることは確実)ので、とうという発言しなくなってしまいましたし、他の人もkikulog上で実質的にその間違いを認めるようになってしまいました。

こう考えると、数日前に来た、「お前はキクログを崩壊させた最低野郎だからな!!!」というメールや、 血液型のエントリーの「関西人さん」(菊池さん本人?)の発言「これはもうABOFANさんはご自分のHPで勝利宣言するしかないですね!」(=kikulogではもう発言しないでほしい)とは内容が合致します。

本当はどうなんでしょうね?
by ABOFAN (2012-08-26 08:47) 

AABA

> 2009年11月の『日経エレクトロニクス』の記事が、マイナスイオンを肯定的に書いてしまった以上、自治体レベルでは、あの記事を否定することは不可能でしょうしね。

以前にも書きましたが、日経エレクトロニクスは(程度はあるにしても)単なる雑誌なので、その記事に権威なんてありません。
 そうですね。かの「光速を超えた!」という速報記事(でも誤報でしたね。「速報」と「論文」の区別がつかない人もいましたが)くらいの──いや、もっと低い──ものです。根拠があれば(正確には「効果を肯定する根拠が妥当でないと判断されれば」)いくらでも記事の内容なんて否定できます。

それにしても、ついに ABOFAN と SSFS の夢のコラボですか。対決に向かうのか共闘に向かうのか、楽しみです。──なので「もう出てこない」と書いていたのに出てきてしまいました。ではさようなら。

by AABA (2012-08-30 10:40) 

AABA

追伸(せっかくなのでだめもと)

ところで、SSFS氏は血液型と性格云々についてどのように考えておられるのでしょうか。(私自身はもう議論するつもりはありませんが、ふと気になったので)
 あと、もしお時間があるようでしたら、下記のやり取りについてのご意見もうかがいたいところです。
http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2010-09-30

by AABA (2012-08-30 11:00) 

ABOFAN

AABAさん、ごぶさたしています。

興味深い発言です。
kikulogに参加していた人に割と多いパターンで、本当は自分の言うことを信じていないのではないですか?
百歩譲って『日経エレクトロニクス』は「権威」がないとしても、「影響力」はあるでしょう。
だから、もう反論はほとんど出なくなってしまいましたし、AABAさんだって、マイナスイオンが100%インチキだなんて、もはや信じていないでしょう。
でも、(なぜか?)本当のことは言えない、ということでよろしいですね?

もう一つ興味深いのは、SSFSさんとの話です。
SSFSさんと私がコラボしようがしまいが、あるいは、SSFSさんが血液型と性格についてどう思おうが、マイナスイオンが100%インチキとはなりませんし、血液型によって統計的な差があることが否定されることにはなりません。
データや統計を無視して、SSFSさんと私の関係だけ書くというのは、本当のことは言えない(?)ことの(強力な?)裏付けということになるでしょう。
残念ながら、これまた、kikulogなどの“ニセ科学批判者”によくあるパターンです。
by ABOFAN (2012-09-02 00:42) 

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